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帰宅すれば満タン?

かれこれ10年も電気自動車に乗っていると、ガソリン・スタンドにはまず足を運びません。正確にはバイクとレンタカー以外には、ですが。道路脇にある安売りスタンドの価格も気にならしないのは安全上も好ましいことかもしれません。

電気自動車には(発電用エンジン搭載を別として)原則、ガソリン・タンクがありません。代わりにもっと大きく重い電池スペースが必要です。それはハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッドでも同様。(こちらはガソリン・タンクと電池の二つとも装備する必要があります)今は床下やシート下に電池を並べるやり方が主流。ガソリン・タンクよりも遙かに重たい重量物を抱えることになるので、今後はどこまで電池を軽量化できるかが課題です。燃料電池車だと太い水素タンクを収める場所はさらに限られてしまいます。

最初期の日産リーフは電池のキャパが24kwh,改良版は40kwhや60kwhの強力版も登場していますが、急速充電器などで再充電して詰め込める容量は大雑把に言っておよそ半分。リーフ初期型では24kwhのうちの12kwh弱です。ガソリンが最後の一滴まで使いきれるのとはちょっと訳が違います。1kwhの電力で大体5ないし10km走行できるので、ガソリンタンクで言えば一度に10リッター分といったところでしょうか?


確かに少ない容量です。(これでも非常時には家庭用電源として流用も可能で、追加の設備があれば数日分の家庭用電力にはなります)が、それでも電池の価格は当初百万円以上もしたし、その重量も車体の1割を軽く超えてしまいます。航続距離を伸ばしたいならウンと軽い車体に乗せ換えるか重たい電池を沢山積むかの二択です。どちらも高価な買い物ですが,後者は一番簡単な方法です、金さえあればですが。

こんな所が,いまだ電気自動車に抵抗を感じる人が多い理由なのかもしれません。燃料電池の給(油)所?水素スタンドなら、たとえ順番待ちの列が出来ても一台あたりの待ち時間は数分と、ウンと少なくなることが期待できます。

クルマのガソリンは自宅で給油できないのが普通です。昔オイル・ショックの時代には合法的に20リットルほどのガソリンを入れられるガソリン専用の携行缶がかなり売れましたが・・・・

電気自動車の強みは自宅で給電,満タンに出来ることです。ただし街中で簡単に充電設備を探すことは、まだまだガソリンスタンドよりは難しいのかもしれません。水素ステーションなら尚更です。リーフの場合には当初から日産系販売店の大多数の店舗で24時間、急速充電が可能な設備が整っていました。高速道のサービスエリアや道の駅などでも今は容易に急速充電器の看板を見つけることが出来ます。

例えば24kwの電池容量を持つ日産リーフをフル充電するには住宅用200v充電器で一晩とかかりません。充電一時間あたりだと10ないし20㎞分の走行距離は充電できる計算です。他方、最高で500v高電圧を使う急速充電器なら30分で8割以上の電力をバッテリーに蓄えることが出来ます。高速道のサービス・エリアは平均で50km前後の間隔に設置されています。上手くすれば、一つおきのSAごとに急速充電を繰り返すと東京、大阪間の往復も実際に可能です。ただし、100kmあたり30分余計に所要時間を見込んでおかねばなりませんが。これが休日夕方の上り車線ともなると、充電器の前に順番待ちの車が並んだりして、予想外の時間を浪費したりもします。

しかも全国どこでも現金で買えるガソリンとは違い,電気の場合はいろいろと厄介な仕組みがあって、最大の難問はいかに課金するかという問題。今のところ電気を売って商売として利益を上げることのできる事業者は限られているので、むやみに料金を取ることは出来ません。施設利用料とか充電器の使用料とか他の名目を考えるなり、会員制にして指定の場所で充電を認めたり、・・・・

せっかく充電器を見つけても、急速充電用のカプラーが自分の車にぴったり嵌っても、その充電器が会員制限定だと認証カードが無ければ充電は始まりません。自宅に200ボルトの専用充電設備を設置してあるなら帰宅すれば済みますが、マンション住まいだったり、遠出の旅先では困ります。ガス欠したガソリン車のようにその場で給油するなんてことはまず不可、そうなる前に確実に充電器のある場所にたどり着くことが必須となります。そのため、充電器のマークが表示されるナビ画面は必須です。

お金の話は置くとして急速充電器を設置するのはガソリン・スタンドや水素を用意するよりは遙かに簡単。駐車場所と案内看板と、地図に連携した通信インフラを整えれば済みます。電気がひける場所であることは大前提ですが。

それに比べたらガソリンは本当にどこでも入手できるし種類も均一。価格も能動的に選択できるのは魅力です。ただ、ナビ表示どおりに山の中の農協スタンドを充てにして行ったらすでに廃業した後だった、と言うこともこれからは覚悟しなければ・・・・・


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