ランクル250にハイブリッド追加に見る「高級SUVってなんだろう?」
家々を隔てる緑も豊かな都内の高級住宅街。ガレージに収まるは・・・・。
夜半をすぎて寝静まる人もあるだろう時刻に突如響き渡るエンジンの始動音。
おそらく縦置きエンジンの大排気量、それもフレームを持った四輪駆動車あたりだろうか?闇夜をつんざくような甲高いモーター音とそれに続く冷却ファンの風切り音が向こう三軒両隣にも響き渡る。
たぶん音の主は高価で人気のあるSUVの重量級車種だろう。高級車としても目されているあんな車種かこんな車種だろう。所有する本人にしてみればステータスの頂点を極めるかのような存在に満足度も充分、撒き散らすノイズに不満などこれっぽっちも感じていないことだろう。
が、もし僻みっぽい私が当のSUVオーナーだったら、とても夜中のこんな時間にエンジンをぶん回す気になどなれず、それを咎める側の気持ちも十分に察し得る。
高級車(所有者)のたしなみ、というものが、もしあるとしたら環境性能ばかりではなくご近所へのこんな些細な気配りが備わってこそ、初めて胸を張って所有することを誇示できるのではないのだろうか?威圧感ならこちらが目を瞑るだけでいい。でも音の暴力は時として諍いの種にもなっているのだ。
電気自動車を選ぶ前、4リッタークラスの高級乗用車のステアリングを握る機会を得た。走行音の静かなことと言ったら、それは見事なものだった。ついでに言えばエンジンの回転音すら耳には届かず、ひたすらタコメーターの針ばかり凝視していた記憶がある。もちろんオートマ車だからそんな必要は皆無、だけれどギアが何速に入っているのか知りたくて・・・・・それもはっきりとはわからず。
電気自動車を日常の足に使い始めて、ふと高級車のあり方について考えてみた。
(車室の)静粛性は遮音材をふんだんに使えば得られるもの。不快なバイブレーションもエンジンの多気筒化やサスペンションのチューニングで対処できる。重くなった車重は高出力のエンジンをゆっくり回せば良い、つまりここに高級車=大排気量の比例カーブが成立するわけだ。
電気自動車はこの公式を根底から覆す存在だった。
モーターやその回転数を制御するインバーターのノイズはまず室内では聞こえない。車内に届く主たる走行音の主はロード・ノイズだった。省燃費志向の硬いタイヤでなければウンと静かな車に変身も出来るだろう。もう大排気量のエンジンを積まずとも、静粛でパワフルな走りを数百万円単位で安価に入手できてしまうのだ。
大きなボディ、大きな車体にもそれなりに存在価値はあることは否めない。が、静粛性と効率、環境への親和性を考えると、もう時代に即した高級車の姿は大排気量車ではなくなって行くような気すらしてくる。
Sクラスや7シリーズといったテッパンの高級クラスも相次ぎ電動化の動きだ。
縦置きエンジンでプロペラシャフトを回すのは重量級SUVも同様。
件の国産SUVも発売から10年以上の人気モデルで、御購入から5年は経っているはず。以前の愛車は輸入車SUVの人気モデルだった。果たしていつどんな車種に買い替えるのか・・・・・電動化は??
今度のランクル250系はハイブリッドが追加される。一方70系には同様のパワー・トレインは期待できそうもない。40年近くも前の基本設計だけに簡単にモーターや電池を仕込むのは困難なことだろう。モデルチェンジしないこともある意味では省エネルギーだ。
プラドのサブネームを持つ旧型150系はそもそも70系ランクルから分家した乗用専用モデルだった・・・・・あの頃はパジェロが月販1万台という人気ぶり、パリダカも連続制覇して我が世の春を謳歌していた時代。
5ナンバーサイズに収まっていたプラドはやがて、ハイラックスサーフと共通化を図りつつ代々大型化、90,120系では70系とは別の道を歩んで行った。腹違いのSUV、サーフからはFJクルーザーというレトロ・ルックな車も登場した。思えば今度の250系も路線はこの延長上だ・・・・・・
2トンもあろうかという巨体が粛々と豪邸のガレージを滑り出し、夜の闇に埋もれていく・・・・そんな新しい「高級」が早く浸透して欲しいものだ。ただしエンジンは縦置きでもクーリング・ファンは電動でね。
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