テレビと原作、どっちが優秀??大富豪同心〜漂着うつろ舟〜&〜大統領の密書〜
この時期テレビの番組表を見てもみたい番組が見つからないタイミングが読みかけの品を楽しむ絶好のチャンス
暮れにNHK=BSで放送された大富豪同心、たまたま書店に並んでいたのが双葉文庫版のこのシリーズだったのだ。#早川隆『幕府密命弁財船・疾渡丸” の隣に並べられていたのが表題の〜漂着うつろ舟〜
ペリー来航以前の江戸末期、難破船から命拾いした美しい金髪少女、琉球王国、薩摩藩に鉄砲購入・・・・ここまでおいしい餌を撒かれたんじゃあレジまで直行するしかないじゃござんせんか!
倒幕を目論む薩摩藩と密輸入品が横行する江戸の界隈。すでに黒船が沖合に出没し・・・・そんな最中に難破船から命からがらうつろ舟(救命ボート)で茨城の海岸に漂着した娘はある重要文書を託されていたのだった。瓦版の速報でたちまち江戸の街でも噂に!
外交のない異国人、ともすればキリシタンと目され迫害の対象にも。幕府としてはどう対処すべきか?この噂を聞きつけた薩摩藩も別の意味でニュースに注目していたのだ。娘が携えていた密書にあのことが記されていてそれが幕府側に知られるとたいへんなことになる・・・・・・刺客を送り込む薩摩側と保護するべくある男を派遣した幕府。
そう、この男こそがシリーズの主役=大富豪同心なのです。
テレビドラマ版では飄々としたお人好しの好人物に描かれていますが、なかなかどうして・・・・・今風に言い換えれば大手銀行のジュニアでありながら官房副長官の重責も併せ持っており・・・・・ひたすら芸者遊びと楽しいことばかりが好きなお人・・・・・なのに
腹心たちも一癖も二癖もある個性派揃い、美人剣豪の美鈴と金髪娘が散らす火花が・・・・おっとこれは原作本には描かれないテレビ版脚本の見どころ!89分に編集されたドラマ版では後半のストーリーを巧みにテレビ化していてオリジナルのセリフも上手に生かされています
一方原作の方もテレビドラマに負けず劣らず、テンポの良い展開とダイナミックな描写で魅せてくれます。これを完全実写化するには予算があと一桁・・・・・
結局〜漂着うつろ舟〜は一冊では完結せず、〜大統領の密書〜が続編となり、2冊で完結するのですが、おかげで今年も年初から楽しい作品に出会いました。(駅前書店の目論見通りに)