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BYDに乗ってみたらPHEVが無性に気になり出したわけ・・・?

今注目の電気自動車の一台が中国から上陸してきた侵攻メーカー、じゃない新興企業のBYD
何よりもその価格(¥4400000)を強力な武器に日本市場に参入!

一体どんなものかと新車の試乗に赴きました。新車のEV試乗は実に新型リーフ以来で、何年ぶりのことか・・・・

サイズはリーフより10センチほど高い車高と185センチを超える車体幅!御多分に洩れず2ボックスのSUVスタイル。電池パックを搭載するのには腰高のこのスタイルが都合が良く、背の低いセダンはますます淘汰されてしまう運命だろうな・・・と思いつつステアリングを握ります。

案の定目線の高いシートは乗り降りこそ高齢者にも優しい高い位置にあり視界も良好。レザータッチのシートは合皮とか。モノグレードの設定なので選択の余地はなし。目を惹くのは前後席ガラスサンルーフ標準装備の明るい車内と縦横配置の変更が可能な大きな液晶画面。ナビ画面が縦か横かどっちがいいかはその土地によってベターな向きがあると思うのでこの機構は理想


ただいま回転中(この角度では止まりません)


ただ、リーフに比べてエネルギー消費に関連する表示項目が少ないのはちょっと不満が残るところ。瞬間燃費に相当する数字が見出せなかったのと、過去のデータ履歴を比較できるリーフに一日の長があるのは明白。でも、逆にあんまり航続距離とか電費とか気にせず乗りなさいよ!というポリシーの表れではないのかとも思う。

レクチャーを受けてシフトレバーをDレンジに、パーキングレバーは自動解除されて(サイドブレーキを解除するというのは行為は設定なし?)アクセルを軽くタッチすると車はクリーピングで前進を始めます。ブレーキのタッチは結構シビアで最初のうちはカクカクしてしまいます。これは1700kgもある車重を止める油圧のブレーキでは仕方無いのかも知れず、慣れるまでは一番神経を使うポイントかも。

最大トルクは31kgもあるので、ECOモードでもパワー不足は感じません。Sportsモードだとダンパーも引き締められるらしく、確かに乗り味は硬めになります。感想としてこれ以上締め上げたら普通のお客は文句を言う、寸前で止めたくらいのレベル?ダンパーのストロークが少ないのか基本硬めのセットを標準としているのか?ノーマルモードでは若干当たりが弱くなった気がするものの運転席では多分違いがわからないだろう。

ブレーキの回生具合は2段階調整ができるもののソフトではガソリン車のトップギア並み、(ガソリン車からの乗り換えでも違和感ないように設定されたとの説明あり)回生ハードでもリーフのエコモード並みかそれ未満で、ブレーキランプの点灯しない、サードでのエンジンブレーキ程度と思ったほうがいいでしょう。EV乗りの一人としてはこっちこそ3段階くらいの選択は欲しいくらいに思った。

走行中にN・ニュートラルに戻すこともDに入れ直すことも可能だとわかり、5分も走れば自分のリーフと同じようなドライビング・スタイルを再現することが可能でした。

面白いのは各種警告サウンドのセッティングで、ブランド準拠のセッティングだとウィンカー音が独特の音色だったり、低速に限りエンジン音のような回転音を主に歩行者向けに発生させて、音の大小でスピード感を実感できるようにすることも可能。(もちろん真っ当な音色に戻すのも可能)どうせやるならここにフェラーリ・サウンドやポルシェ・サウンドも加えて欲しかった気がしますが排気音に著作権ってあるのかな?

セッティングに関しては各種衝突防止センサーや車線逸脱防止のアシストを有効にする事も出来て、事実上ステアリング・アシストの追尾モードも可能にしているようです。

気になる電費データは数字で確認する事ができなかったので不明。1700k以上の車重と31kgのトルクではkwあたり6か7km当たりがいいところじゃないかと推測。で、実際に走り出したオーナーの声を尋ねてみると九州からはるばる購入のために上京したオーナー氏は横浜からの帰路、名古屋、姫路、山口で充電を要したとのことで300km程度(一般道)が標準的な航続距離の模様。最高では420km走った例もあると聞く。逆に心配なのが冬季の暖房込みのデータで札幌在住のオーナーが厳冬期に夏タイヤで(?)記録したのが300キロに近い200キロ台後半。九州オーナー氏のデータと比べればそれほど悪い数字とは思えない。
フル充電でスタートさせた試乗車のメーターにも400km近い数字が表示されていたので、まず名古屋までならこのまま東名に乗って(横浜から)味噌カツ食いにノンストップで名古屋の名店街まで飛ばしても途中充電は必要ないでしょう。

さらに、見落としそうになったのはウィンカーレバーの位置。欧州基準だと右ハンドルでも左手の仕事にされてしまうのがこの車はちゃんと右手仕様に改められている。この辺は日本やタイ、インド市場も視野に入れた作り込みが出来ている、と感心したのでした。

さて結論を急ぎましょう
440万円の価格は妥当かどうか?
装備やスペックを見る限りコスパは文句のつけようがない!と言うのが現時点での感想です。ただし値上げされなければ、の条件付きですが。多分に普及を目論んだ戦略価格であるはずで、同じ車にヨーロッパでは44000ユーロのプライスタグを見つけました。いまのレートで換算したら・・・・

この価格でリーフの60kw(今や600万円弱)並みの電池と航続距離。そして前後ツイン・サンルーフの標準装備や各種センサー、モニター類にバードビュー・モニターカメラからレザータッチのシート地まで標準、オプションを選ぶとしたらスタッドレス・タイヤくらいしか浮かばない程の充実ぶりでこの価格。

さらにはどこの店舗で買おうとも、私が品川ナンバーで登録するなら、いま国、自治体から合わせて110万円のキャッシュバックがついてくる!(神奈川県民だと65万円の補助しかない)
つまり330万円ポッキリで自動車税、重量税、取得税相当の免除も受けられるからライバルはもはやプリウス(PHEVでない方の)と言うことになる。これは悩ましい。事実買い替えに訪れる客にもPHEVオーナーが含まれるという。EV,電池への偏見がないので、エンジン・レスにも抵抗がないそうだ。

ただ、問題も・・・・・
当初の日産リーフのように販売店ならどこでも急速充電・使い放題といった類の充電インフラは未整備で自前の急速充電はこの文章を書いている時点では存在しない(発注済みの充電器がタマ不足によりまだ届いていない)
販売店網も東京・横浜・大阪・沖縄・札幌に盛岡が加わったばかりで千葉のお客は横浜まで買いにくるのが現状とか。

さらに高速道や道の駅にある急速充電器の使用には別会社の充電プランを契約して認証カードを作らねばならず、月額で最低でも4千円からの出費が必要になること。ただし自宅で200v充電の工事を済ませ、行動半径を200km以内に限れば月々の支払いは要らなくなる。

音声認識も日本語対応で緊急時のSOSボタンも備え、1ギガの制限つきながらyoutubeやSpotifyのサブスクも車内から利用できる。simカードを使っているからで、使用料については3年先までは無料とのこと。ただそれ以降はまだ決まっていない。


ダイキャストモデルにしてこの造りは驚異!

安かろう悪かろうの中国製品を感じさせるコストダウンの痕跡は何一つ見出せなかった・・・・と思いきや床下を覗くと皮膜に覆われていない裸の銅線が一箇所露出していた。おそらくアース線の役割を担うはずで実用上は何の問題もないはずだ。けれどそれ以外に破綻や欠点を見出すことができなかったのがむしろ驚きだった。

販売店網の少なさや充電インフラの不安が解消されたとしたら日産リーフやテスラ3には強力なライバル登場となるところだ。それくらい車の出来は良さそう・・・・ただし、リチウムイオン電池をリン酸鉄のものに仕様変更したと言うので性能低下や航続距離の変化が気にはなるのだけれど・・・・・

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