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ワンピースは実在している-はじめに-

ワンピースには未だに明らかにされていない『謎』がいくつもある。私はこの世界の最も重要な宝について調べていて “ある発見”をした。驚いたことに、それはワンピースの物語と驚くほど一致していた。それにより 、Dの意志が何を意味しているのかも、空白の100年に起きたことも、 真の歴史の本文(リオ・ポーネグリフ)とはどのような概念なのかも、全てが一つの線で繋がったのである。まさかワンピースが実在するとは思っていなかったが、今は何の疑いもなく、「ワンピースは実在している」と確信している。

私が見つけたワンピースの答えは、たぶん「正解」である。これ以外にありえないと思っている。世界中にたくさんの読者がいるというのに、まだ誰もその「答え」にたどり着いていない。私は多くのライバルを差し置いて、一番にこの「答え」を見つけたことが嬉しくてたまらない。この本が世に出るまでには少し時間が掛かってしまったが、私が「答え」を見つけたのは2017年1月10日である。どうせ誰も分からないだろうと、のんびりと筆を執った。私よりも早くに「答え」を見つけた人がいるのなら 、一番の座はその人のものである。是非とも会ってみたいと思う。きっと特別な経験を私と共有することができるだろう。なぜなら、この「答え」 は〝普通の人間〟にはおそらく見つけることができないからである。ワンピースの答えを知り、その意味が理解できる人は、たぶん今の世界が抱えている問題に気が付いている。そして世界の仕組みに疑問を持っている。 そういう人だと思う。

答えにたどり着くためには、「ひらめき」も必要である。少なくとも子供心は必要であろう。「立派な大人」になってしまった普通の人には、一生かかっても見つけることができないだろう。もしかしたら、ワンピース の最終回を見ても、本当の意味を読み取ることができないかもしれない。 海賊のように社会からはみ出して、自分の目で世界を眺める時間が必要なのだ......と今になると思うのである。そして何よりも、今の世の中に疑問を抱き、本気で変えてやるのだ、という想いがなくてはならなかった...... それも今になって思うことである。

自分はワンピースの登場人物で例えると誰だろうか。彼は誰だろうか 。10代のころはそんな話をして盛り上がったものである。残念ながら、 そのような議論をしているうちは、名もなき海兵ですらない。ワンピースの読者の大半は大人だという。私も一応は大人である。しかし子供心はしっかりと持っている。ただ、世間で言うところの〝立派な大人〟ではない。それゆえに、常識派の意見はあまり刺さらない。社会から大きくはみ出して、浮世離れをした人生を送ってきた。その果てに「答え 」を見つけた。

私の人生にワンピースは大きな影響を与えた。ときに影響が大きすぎて 、人生に支障をきたした。力のある者が権力の座にのさばり、弱者を痛めつけ、搾取する。そんな世の中が嫌で、変えたいと思った。世界全体で食糧は十分に足りているのに、飢餓で死ぬ人がたくさんいる。いつでも止められる戦争をいつまでも続ける。世界のどこかで苦しんでいる人がいるとしても、自分には関係ないという態度の人間ばかりである。腹がいっぱいになるまでおいしいものを食べることができるのは、貧しい国から穀物を安く買っているからである。電化製品に囲まれ、便利な生活を続けることができるのは、戦争で資源を奪い合ってきたからである。日本の国内を見渡しても問題は山ほどある。権力者やエリートがルールを作り、ルールに従えない人間や、弱くて使えない人間は排除される。行き場のない人間はたくさんいる。努力してもうまくいかない人間だってたくさんいる。

人間は本来、もっと多様なはずである。そしてもっと自由なはずだ。貧しくても、頭が良くなくても、何の才能も持っていなくても、何も問題なんてありはしない。しかし、この「美しい国」ではそんな人間は許してもらえない。型にハマってもらわないと困る人たちがいるのだ。この世の中は腐り果てている。腐り果てているとは知っていても、誰にも変えられな いと皆が思っている。自分がどれだけ戦争に反対しても、どれだけ「弱者 」と呼ばれる人のために一生懸命になったとしても、世の中の仕組みだけ は、絶対に変えることができないと受け入れてしまっている。やがて歳をとって、腐りきった世の中で「正しい」と認めてもらえる大人になるのである。そして親になり、腐りきった世の中の「常識」とやらを子どもに教えるのである。

今の世の中は何かおかしいのではないか。薄々気が付いている人にとっては、自由に旅をして〝力〟に立ち向かい、次々に猛者どもを倒していくルフィの姿が眩しくて仕方がないことだろう。その気持ちが私にも分かる 。幸か不幸か、常識をきちんと身に着けてこなかったおかげで、私は社会からはみ出して世界中を旅して回った。ルフィのように大航海に出かけたのである。

いろいろな地域へ行った。ハイチの国内避難民キャンプや、コロンビアのスラム街、ブラジルのファベーラ、南アフリカのタウンシップ、ケニアのキベラスラム、インドのダラヴィスラム、エチオピアやジンバブエの農村、シリア難民キャンプにも。そしていろいろな人に出会った。ワンピースに出会わなければ、そんな場所へ行くことはなかったであろう。 世界を変えてやる。そう何度も自分に言い聞かせながら、旅の先では様々な支援活動に関わってきた。しかし、権力の壁に〝ゴムゴムのギガントピストル〟を打ち込むことはできなかった。それはあまりにも大きく、触れることすらできない壁であった。

しかしながら、私は今、「答え」を知り、海賊王に最も近いところにいると言っても過言ではないだろう。夢のような話である。
本書はきっと世の中に衝撃を与えることになる。なぜなら、私の知っている「答え」は漫画の世界にとどまらないからだ。腐り果てた世の中を変える可能性のある素晴らしい発見なのである。同時に恐ろしい発見でもあ る。決してストレートには表現できないような世の中のタブーが漫画の世界に落とし込まれているのである。

「早く答えを教えろ」と、読者の鼻息が聞こえてきそうである。しかし 、読み始める前に考えてみて欲しい。ルフィはレイリーからその「答え」 を聞かなかった。貴方が自分で「答え」を見つけたいのなら、すぐに旅へ出ることを勧める。腐った世の中に服従することをやめて、自由にその「 答え」を探すチャンスがまだある。

確かに多くの人は、所詮は漫画の世界の話だと思っている。私のくだらない挑発に乗らなくてもいいだろう。ただ、一つ忠告しておこう。この本のタイトルにもあるように「ワンピースは実在している」ということだ。

白ひげが死に際に発した最後の言葉、「ワンピースは実在する!!」(59巻 第576話)は、読者に向けられたメッセージであったと、 今になって思うのである。

もちろん、作者は現実の世界からいくつものヒントを得て物語を書いている。現実の世界をそっくりそのまま作品に落としこんでいるわけではな い。現実世界との類似性が高いものもあれば、作者の人並みならぬ想像力によって作り上げられたものもある。ただ、一番重要な部分は、現実世界と驚くほど一致する。本書では、主に現実世界の「何」を参照し、作中で 表現しているかを論じる。その中にはどれだけ本を読んで調べても分からない事実もある。つまり誰も知らない「新発見」がある。その発見の中身 をしっかりと示したいと思う。正直に言うと、本当に作者が自分でこの発見をしたのかどうかは怪しいと思っている。私がこの発見をすることができたのは、先に述べたような「ひらめき」も関係している。そして、表の 社会では語られることのない情報も必要である。しかし、ワンピースの連載が始まったころには、情報を今ほど簡単に手に入れることはできなかったはずである。検証することも容易ではなかったはずだ。この発見をしてしまった私にとっては、作者が何者なのかということが大きな謎である。

本書では、「Dの意志」、「ワンピース」、「ラフテルと空白の100 年」、「真の歴史の本文」についての考察を行っている。また「万物の声 を聞く能力」が何を指しているのか、「麦わら帽子」がどんな意味を持つのか、「黒ひげの正体」などについても考察している。そして、最終的にどのような結末になるのかを予想した。これから私はワンピースがどのような結末へ向かうのか、答え合わせをしながら楽しむことにする。

さて、これまでの話の中で、私はすでにいくつかのヒントを出した。「答え」にたどり着くためには充分なヒントであったと考えている。ここか ら先は、自分で「答え」を探すことを諦めた人だけが読んでくれればいい 。とはいえ、本心では多くの人に読んでもらいたいと思っている。この素晴らしい発見を共有できれば幸いである。

『ワンピースは実在している』宇見野三足

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