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奇跡に導かれた"伝説の夜" ゆずKアリーナこけら落とし公演2日目

ふいにそっと 聴こえるよ それは決まって同じ声だ
「無意味な事など何一つない 全ては君へと繋がっていく」

確かにそうだ。全てがこの日に繋がっていた。



横浜みなとみらい21地区にオープンした世界最大級の音楽特化型アリーナ「Kアリーナ横浜」。こけら落とし公演は地元横浜出身のフォークデュオ「ゆず」が務め、9月29日から10月1日の3日間にわたって「YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama」が開催された。

今回のライブは1日目が2人だけの弾き語り、2日目がバンド編成、3日目が2つを混ぜ合わせたダイジェスト版という異なるコンセプトで行われ、もちろん3日間とも良かったし本当は1日ごとの感想を書きたかった。だけど個人的には9月30日の2日目公演が奇跡としか言いようがない内容だったので、その話に絞って感想を書くことにする。


私とゆずの10年間

私はゆずのファンになってかれこれ10年以上経つが、今回ついに初めてライブを観に行った。なぜファンなのにずっとライブに行かなかったのか、その理由は1日目の開演直前に投稿した。

内容をざっくりまとめると…

2012年のシングル「REASON」でゆずに興味を持つ

当時の最新アルバム「2-NI-」で本格的に沼る

しかし「何かを好きになりすぎることが怖い」性格のせいでライブに行く勇気が出なかった

2022年のシングル「君を想う」を聴いた時、ようやく自分の気持ちを認めることができてライブに行く決意がついた

こんな感じです。しょうもない話ですが、なんせこの境地に辿り着くまで10年を要したのだから、自分にとってはすごい大きな決心だったんです。


しかし、そんな一大決心もむなしくチケットの抽選販売には全て落選してしまう。でも諦めることができず、SNSでチケットの譲渡を募集している方にお声がけして、1日目と3日目はチケットを譲っていただけることになった。本当にありがとうございました。


リセールの奇跡

これで入手してないチケットは2日目のみだが…

よくよく考えると、真のこけら落としとなる1日目と、最終日でサプライズ要素がありそうな3日目に行けるのなら、最悪2日目は行かなくてもいいか….と思い始めていた。そもそも一番安い席で1万1千円もするのだから全日参戦は出費もバカにならない。

でも、胸騒ぎがした。

「2日目に行かないと一生後悔することになる」

そんな予感がした。

だから行けるかどうかも分かんないのに2日目のライブTシャツも事前に購入した。なぜかその時には「自分は絶対に行ける」と確信していた。


本番の10日前から公式リセールサービスが開始された。しかし2日目のチケットはものすごい人気で、出品されても一瞬で消えていく。だいぶ長いことサイトに張り付いてリロードしまくってみたけど全く取れる気がせず、さすがにあきらめそうだった。

奇跡が起こったのはリセール開始から3日目、ライブ一週間前の夜。

電車に乗っている時にいきなり「今、リセールサイトを開け」という神の啓示が聞こえた気がして、サイトを何度かリロードしてみると、突如現れた「09/30 着席指定席」の文字❗❗❗❗


購入手続きが完了した直後、ニヤケ顔を必死に隠しながらX(旧Twitter)に投稿した内容がこれである。

ゆずの特に好きな曲の一つ「慈愛への旅路」の歌詞を引用した痛々しい投稿だが、まさかこれが壮大な伏線になってしまうとは…


セトリの奇跡その①

9月29日に人生初のゆずライブを体験し、その興奮さめやらぬなか、いよいよ"伝説の夜"となる2日目を迎えた。

リセールで奇跡的にゲットした私の席は、最上階の7LEVELとはいえ最前列ほぼ真ん中というなかなかの良ポイント!!一つ残念だったのは、スタンディングできない席なので手すりが目線と被って見え難かった事だろうか。

2日目のサブタイトルは「RED×ALL STARS」。その名にふさわしく総勢12人ものバンドメンバー、ストリングス、ホーン隊が控えるステージに北川悠仁と岩沢厚治が姿を現す。1曲目は「ヒカレ」、続けて2曲目は「うたエール」と、ゆずを代表する応援ソングの連続披露で幕が開けた。

そして3曲目は2020年のシングル「公私混同」。なるほど、1日目のセトリは懐かしめの曲が多かったから今日は割と近年の曲で固める感じかな。個人的にはそのほうが世代だから嬉しいな~


なんて思ってたら、現実は予想を超えてきた。

4曲目、聴いたことあるようなドラムスティックのカウント音。まさか…

まじですか。泣いていいですか。

「from」は私をゆず沼に叩き落したアルバム「2-NI-」の収録曲であり、私がゆずの曲で初めて泣いた曲でもある。

さらに言えば「ゆずで一番好きな曲は?」と聞かれたら色々ありすぎて答えられないけど、「岩沢曲で一番好きなのは?」と聞かれたらこれと即答するぐらい好きな曲です。

あれから いくつの夜を越えたろう
相変わらずの 君と僕だけど
偽りだと 目を疑う様な
悲しみにだって 出会ってしまうだろう

ライブで演奏されるのは10年ぶり(?)らしく、あの包み込まれるような温かい歌詞と岩沢さんの美しい歌声を生で聞けたのはもちろん超嬉しい。けど、再演を熱望する声はかなりあったみたいだし、その熱意は本人やスタッフにも届いていただろうから、まだギリ想定の範囲内だった。

問題は次の曲ですよ。

2 収 録 曲 2 連 続

しかも「from」→「彼方」はアルバムの曲順通り。うそでしょ。

演奏されるのは12年ぶりなんだとか。「from」はシングル曲だけどこっちはアルバム曲だからもっとマイナー寄りなのに、それをこのライブでやるのはさすがに予想外すぎた!

ふいにそっと 聴こえるよ それは決まって同じ声だ
「無意味な事など何一つない 全ては君へと繋がっていく」

確かにそうだ。全てがこの日に繋がっていた。

「2-NI-」をきっかけにゆずを好きになって11年、もっと早く自分自身でその気持ちを受け入れることができていれば、もっと早くライブに行ってただろうし、もっと幸せな人生になってたかもしれない。

でも、このKアリーナこけら落とし公演を初めてのライブに選んで、一度はあきらめかけた2日目のチケットを手にすることができたから、今この曲を聴けたことの感動もより大きい。奇跡ってあるんだな。


この時点で今日のチケット代1万5千円は実質タダみたいなもんだ。まだ序盤なのにもう感慨に浸りそうだったが、奇跡はまだ終わってなかった。

2 収 録 曲 3 連 続

信じられません。

さっき岩沢曲1選が聴けたばっかりなのに、今度は北川曲で10選に入るぐらい大好きな曲が聴けるなんて!!!(1選はとても選べない)


そして思い出されるのがあのときの投稿。

いや奇跡すぎん??????

人生のあらゆる伏線が回収されていくようで恐怖すら感じた。


この曲の後、MCでリーダー北川悠仁は自ら「神セトリでしょ(笑)」と発言していた。今の時代「神」という言葉はずいぶん軽々しく使われるようになってしまったが、私にとってはマジで神のご加護があったとしか思えない真の神セトリだった。


セトリの奇跡その②

7曲目は地元横浜をテーマにした「桜木町」。生で聞くスーパー岩沢タイム…最高でした。そして8曲目の「タッタ」で座りながら踊り狂い、9曲目「夢の地図」の後は1日目に引き続いてゆずの2人が日産サクラで横浜のおすすめスポットを巡る幕間映像へ。

幻かと思うような怒涛の前半戦があっという間に過ぎ去った。予感してた通り、もし来てなかったら一生後悔するとこだった。あぶね~

でも、その奇跡もまだ前半戦だった。

後半戦の最初は私がゆずに興味を持つきっかけだった「REASON」!!!レーザー光の演出がバチバチにカッコよかった。あれは高層階の席だからこそ味わえた光景だったんじゃなかろうか。

まぁ「REASON」か「表裏一体」のどっちかはやるかな~という気はしてたからそこまでの驚きはなかったけど、やっぱり思い出の曲が聴けるのは嬉しい。それにこの曲の歌詞は時間が経つほど響くものがある。

向かい風と知っていながら
それでも進む理由がある
だから友よ 老いてくためだけに生きるのはまだ早いだろう


さて、ここまででどれだけの伏線が回収されただろう。

ゆずに興味を持つきっかけ「REASON」←やった
本格的に沼るきっかけ「2-NI-」←3曲もやった
ライブに行く決意がついた「あの曲」←???

正直ライブ中は興奮のあまり「あの曲」の存在を忘れかけていたのだが、「REASON」のアウトロからそのまま「あの曲」につないだ時、やっぱり奇跡ってあるんだなと実感した。

今、君を想う 眩しい僕らの日々を
今、君を想う 痛ましいあの日々を
今、君を想う 輝く僕らの日々を
今、君を想う 暗闇のあの日々を


ライブはこの後、TeddyLoidをゲストに迎えてのメドレー「ULTRA HIBIKI PARTY」に始まり、定番曲の「雨のち晴レルヤ」「少年」「夏色」、そして新曲の「ビューティフル」「Frontier」で会場を盛り上げ、最後は2万人の観客による「栄光の架橋」の大合唱で幕を閉じた。


もちろん本当は奇跡なんか無くて、全部ただの偶然ってことは分かってる。私は2万人の観客の中のたった一人でしかなく、個人の過去と照らし合わせて奇跡だ奇跡だと騒ぐのは自意識過剰すぎる。

だけど、そう思われてもいいから言わせて欲しい。

2023年9月30日、私は奇跡に導かれるようにこのライブを訪れ、私とゆずの11年間を総括する"伝説の夜"になった。


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