見出し画像

初めてゆずに逢った"そのとき"の回想

私は10年以上前から「ゆず」のファンだ。

しかし、何かを好きになることが怖くて、ライブには行きたくないとすら思っていた。

その気持ちに踏ん切りをつけて、2023年9月末に「Kアリーナ横浜」のこけら落とし公演「YUZU SPECIAL LIVE 2023 HIBIKI in K-Arena Yokohama」へ足を運んだ。


という話は以前投稿した。


そして3日間の全公演に参加し、そのうち個人的にもっとも想い出深い"伝説の夜"ことDay2は感想を書いた。

では真のこけら落としだった1日目の感想をどうして書いていないのか。

その答えはごく単純、2日目の激重感情に上書きされてほとんど覚えていないからである。


あれから半年以上が経った先日、待ちに待ったHIBIKIのライブ映像作品「LIVE FILMS HIBIKI」が発売された。せっかく記憶があいまいなので、もう一度純粋な気持ちで1日目「DAY1 BLUE ✕ FUTARI」を鑑賞し、当時の記憶も思い起こしながら感想を書いてみることにした。


"そのとき"が来た

まずは流石に覚えてるライブ序盤の振り返り。


開演時刻になり、ゆずライブではお決まりのラジオ体操が始まる。もちろんライブ初参加の私はこれも初体験。2万人によるラジオ体操はシュールな光景だった。


ユリの花が開花していく映像と共に、最新曲「ビューティフル」をアレンジしたインストゥルメンタルが流れ始める。

そしてメインステージ中央の舞台下からゆずの二人が姿を現した…….

生きてる!!!!

実在してる!!!!!!

ずっと画面越しに見てきた、イヤホン越しに聞いてきた憧れの二人が、距離は遠いけれど同じ空間に居る。。。それが信じられず、この時はまだ実感が湧きませんでした。


二人はゆっくりと花道を進んでセンターステージへ。そしてインストのエンディングに合わせ、リーダー北川悠仁が拳を高くつき上げる。

会場からはもの凄い大歓声が巻き起こった。

新型コロナの流行が始まってからおよそ3年半。人々はやっと長い暗闇を抜け出し、一つの区切りを迎えられた。この大歓声を聞いたときに初めて心の底からそう思えて鳥肌が立った。


拍手喝采が鳴りやまない。映像には映ってなかったので記憶違いかもしれないけど、サブリーダー岩沢厚治もその空気感に押されたのか少しだけ拳を上げてくれてた気がする。

北川さんがゆっくりと手を下ろし、岩沢さんは「シーッ」とジェスチャー。会場に静寂が広がる。

もうすぐ初めて二人の生声が聴ける。一曲目は何だろう…





シュビドゥバー もしも願いが叶うなら
もう一度だけ聞かせて欲しい みんなの歌う声

横浜につくられた世界最大級の音楽アリーナ。そこに響いた初めての音は、二人がこの地で路上時代から歌ってきた「シュビドゥバー」の一節。

マイクを通さない"本当の"生歌だった。


かっこよすぎる。。。。。。(恍惚

シュビドゥバー 忘れないで
あの時 僕らが誓った合言葉は…







あぁぁぁ..............…

そうか。そうだよな。

今が"そのとき"なんだ。


2020年春、「新型コロナウイルスが収束した“そのとき”にしたいこと」をテーマにメッセージを募集して作られたこの曲。ゆずとゆずっこにとっては、再び一緒に歌声を響かせ合える日こそが"そのとき"だった。

腹の底から笑って叫んで 泣いたっていいんだ
顔を寄せ合い 抱きしめ合おう そしてありのままに 歌おう

でも、私にとってはそれだけじゃない。

何かを好きになるのが怖かった、自分の気持ちに嘘をつき続けてきた10年間。そんな過去の自分を捨てて、ゆずに会いに来た。そして今"そのとき"を目にしている。

画面越しじゃなくて 同じ場所 同じ時間を
感じながら 君に触れたい
会いに来たよ そのときには

「ずっとごめんね」「いつもありがとう」
伝えたい そのときには

自意識過剰なことは承知の上で言わせてくれ。

この歌詞、私のことだ…


栄光の架橋

ここからは特に印象的だった場面をフィーチャーしてサクサクいきます。


北川「ヨコハマーーーー!!!"そのとき"が来たぞーーーーーー!!!!!!!」

再び会場が拍手喝采に包まれた。


北川「俺たちを、君たちを称えるように、何度も俺たちを支えてきたこの曲を、2万人の想いと共に歌いたいと思います」

「タイトルは…言う必要が無い!でも一応言おう(笑)」

「栄光の架橋!」


ファンでなくとも言わずと知れたゆずの代表曲。日常生活の様々な場面で飽きるほど聞いてきた曲。その曲を今、岩沢さんのギター1本と北川さんのリードだけで、自分含めた2万人が大合唱している。

なんだかやっとゆずの二人と同じ空間に居ることを実感してきたような、でもまだ白昼夢の中にいるような、そんな不思議な気持ちだった。


境界線

鍵盤ハーモニカのイントロでどよめきと歓声が上がったのは、初期の名曲そして横浜ソングの一つでもある「境界線」。

私も子供の頃に少しだけ横浜に住んでいて、この曲に描かれているような景色を見ながら育った。ゆえに横浜でこの曲が聴けたことは特別だった。

そういえば、この曲を含む序盤の楽曲では、メインステージ後ろの巨大なLEDスクリーンを使った演出がとても控えめな感じだった。これが後半の「響語り」に繋がる良い前振りになっていたと感じる。


眼差し

正直この曲はノーマークというかほぼ初聴きでした。

当時は「うるっせえー!!(ヘィ!!)」のノリも分からないまま曲が終わってしまい、すっかり記憶からも消えていたけど、改めて聴いてみるとめちゃくちゃ熱い歌詞ですね。。

誰かが後ろ指さして君を笑いものにしても
僕は見ているよ 胸を張って生きてゆく
君の眼差しを

目頭を押さえている観客のカットを差し込んだ編集もニクかった。


タッタ

当日この場に居た方ならわかるであろう、北川サイドのイヤモニ不調?によるタッタやり直し事件。自分は直前からイヤモニを気にする北川さんばかりに視線が行って岩沢さんの(怒り気味だったらしい)反応を見逃していたので、もう一度あの場面を見れるのを楽しみにしておりました。


映像ではまるまるカットされてました。

ええええええ~~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?

普通にショックでした。


北川「今日は青の日だろ?これ歌わなきゃダメだよな…」

確かにタイトルからして絶対やるとは思ってましたが、いざホントに来たときは飛び跳ねそうなぐらい嬉しかった。

正直この曲の原曲バージョン(バンドサウンド)は、好きでも嫌いでもないというか、自分にはあまり刺さらなかった。しかし2019年に公式YouTubeで公開された弾き語りバージョンの「青」を初めて聴いた瞬間は、脳天をギターでぶん殴られるような感覚だった。

特に間奏部分のカッコよさは何なんだ??????
2本のギター+1本のハープだけとは思えない疾走感と重厚感。

これを生で聴けたのは最高でした。


響語り

二人だけの弾き語りをベースとしながらも、ここまでは控えめだったLEDスクリーンをフルに使った壮大な演出、効果音や美しいコーラスを交えた約13分に及ぶ大作。「はるか」「Hey和」「1」「虹」「SEIMEI」の5曲からなり、今伝えたいメッセージが紡がれていた。

「命」や「世界平和」などの大きなテーマは「応援ソング」と並んで現在のゆずを代表するジャンルと言える。これを「偽善」だとか「説教臭い」と捉えている人も居るだろう。そういう曲が増えだした時期にファンを離れた人も多いと聞く。

確かに、今この会場から、世界の何が変えられるというのか。それでも、メッセージは2万人の一人ひとりの胸に届いたはずだ。世界中に届かなくたって、今ここにいる「あなた」に届けたい。約1年かけてこのメドレーを制作したという北川悠仁の強い想いが伝わってきた。


アンコール

定番曲「少年」「夏色」で本編が終わり、ライブはアンコールに突入。

「FUTARI」というサブタイトルはどこへやら、多数のバックダンサーがステージに表れると、最新曲の「ビューティフル」「Frontier」を披露して記念すべきKアリーナ開業初日の幕を閉じた。

北川さんは「今日しか来れない人も居るから、明日の雰囲気も感じてもらいたくて」と語っていた。もちろんその気持ちは嬉しいのだけど、せめて最後はもう一度二人だけの曲で締めくくってほしかったのが正直な感想。私の周りの席でも「え?これで終わり?」と言ってる人がいた。


そして記憶は消えた

まぁそんなちょっとしたモヤモヤは別にいいんです。真の問題はこの後に待っていた。

そう、退場地獄である。


DAY1が一気に嫌な思い出へと塗り替わった

初日は規制退場が行われなかったため2万人が一斉に出口に集結。身動きが取れない程の大混雑に見舞われた。私も階段の途中で立ち往生し、もし誰かが足を踏み外したら群衆事故が起こりかねない危険な状況に約30分も閉じ込められた。

この退場地獄によって心身ともにダメージを受け、終演から2時間近くかけてやっとホテルに帰り着いたころには既にライブ中の記憶があいまいとなる。そして翌日のDAY2にて今までの人生で最大の「エモ」を浴びたことで、DAY1の記憶はますます薄れてしまった。


その後はDAY3と翌月のアンコール公演にも参加したので「響語り」などの再演された演目はしっかり記憶に残すことができた。それでも、初めてゆずに逢った"そのとき"の余韻に浸れなかったことへの未練と、魂だけはずっとあの日に取り残されているような虚無感に襲われ続けていた。

しかし映像作品という記録が手元にやってきたことで、ようやくその気持ちにも一区切りがついた。あの日に囚われ続けるのはもうやめにして、未来のゆず活ライフを満喫していきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?