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「場とデザイン - CXO Night #5セミナー」レポート ほぼ書き起こし 2/2

今回のCXO Nightのテーマであった「チームBANK流のプロダクト開発」「場とデザイン」の後編の「場とデザイン」の内容をほぼ書き起こしました
CXO Night#5の参加レポート第一弾から1週間以上たってしまいましたが、noteにアップしたいと思います。

場とデザイン
・中村 真広 / 株式会社ツクルバ
・谷尻 誠 / SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd.
・モデレート 坪田 朋 / Basecamp CEO
目次
0.自己紹介
1.お二人の考える「場とデザイン」を聞きたいです。
2.建築家×起業家で建築設計にとどまらないスタイルを志したきっかけを教えてください。
3.手がけたプロジェクトで建築家×起業家だからこそできたエピソードなどありますか?
4.事業作る時にこだわっている手法や、必殺商法(リサーチ)などあれば聞いてみたいです。
5.Q&Aセッション
6.まとめとぐっときたこと。

発言した方の名前を頭に記載。間違えていたらすいません。
※敬称略で失礼します。

0.自己紹介

【谷尻】
僕は普段建築の設計やっていまして、B型、寅年。
協調性のあるB型で一人にしておいてほしいんだけど構って欲しい魚座w
事業としては広島と東京に事務所があって、代々木上原で社食堂というスタッフの健康管理を目的に始めたパブリックオフィスをやっているところ。
設計だからこそできる事業を意識的にしています。

【坪田】
建築×なにか(デザイン経営事業)を最前線でやられていて、そこのUXするロールモデルを話を聞けると面白いかと思います。

【谷尻】
Kata-logという建築のプラットフォームを公開予定。
手のひらにカタログというコンセプトで、
建築家が材料調べる→ネットで検索→メーカーにメール→カタログ見て品番みてメールして
→現物のサンプル送ってもらっうというサンプルにたどり着くまでに時間がかかる姿を見て最適化できるなと思った。

メーカーも営業してくるが時間とってカタログ見てくれといってくるけど忙しいから空いていないくて状況が水を油の関係でよくないと思いまして。

わかりやすくするためにメーカーにタグつけて、洗面台の水面器具を押すとメーカーポップがでて商品のメーカー名と品番がすぐわかりボタン押したらすぐカタログ請求できる。
かつ、地図連携して洗面ボールがどこに使ってあるかがわかり日本中をショウルームかしてしまおうというプロジェクト。
写真も取ればメーカーも認識できるようになっていて仕組みをつかってメーカーはポップアップが出てくる権利に広告費を5万円程度で月々課金してもらう。
でそうすれば誰がどこでなに興味をもってカタログ請求したかわかるし、雑誌に広告を売っても効果がわからない時代。
まだリリースしていないが100社くらい契約が集まっている。

【坪田】
すごいなと思ったのは建築の事務所だがアプリのモックアップを作っている。

【谷尻】
事務所のグラフィックデザイナーに企画書を依頼したらエンジニアに伝えるために必要だといって作ってくれた。

【谷尻】
エンジニアの知り合いは猪ノ子さん、真鍋さん、川田十夢しかいなくて、川田さんに出来上がった時にバズらせたかったからめちゃめちゃ美女のエンジニアか高校生のエンジニア紹介してくれと依頼した。
→川田十夢さんに企画書見せたら面白いから俺が作るとなった。

【坪田】
すごいですね。デジタルに参入したい業界はあるが実際に実現していってますし、事業を立ち上げていく上で領域問わずやっていくっていうスタイルですよね?

【谷尻】
設計事務所を18年やっているが、やってみてわかったのは「答えはそこにある」ってことがわかって、結局みんなこうアイデアは誰でも持っている「こんな風にやれたらいいよね」とか。
自分の中のアイディアが形になって初めてアイディアになる。形になってないうちはただのアイディアでしかない
形になって初めて答えがそこにあるということがわかるので形にすると言うことをスピード感持ってやらないとダメだなと思う。
やりたいって言うのではなくてどうやったらやれるかを考える。
「went」を「have to」にしようっていつもいってる。

【坪田】
谷尻さんはストイックに見えそうだけどビジネスのことも考えながら形にして行っている。

【谷尻】
僕は誰よりも腹黒いんでw
でもその腹黒さが社会性を持っているから黒って言われない腹黒さって普通自分のために利己的に使いますよねこれできたらみんなが良くなるし、腹黒く考えて社会性を持つということを意識しているし、利己的か利他的かだけで価値が変わるから。

【坪田】
やっぱりちゃんと稼いで行かなきゃいけないよねと言う話をされていいたと思うんですが中村さんと経営していっているのか話を聞きたいと思います。
中村さんずっとデザイン経営をやられていていくつかスライドを見たことがある人もいると思います。このスライドをご説明いただいてもいいですか。

【中村】
デザイン系は最近経産省の資料にもなりましたけどその言葉ができたことによってみんなが議論するようになってきたし、こういうイベントでもみんながセッションするようになってきていいことだと思ってます。

僕が谷尻さんをお呼びしたかったのは最近建築家、起業家というふうに書かれていて僕も建築出身なんですがなかなかそういうモデルがなかったです。

先輩にいなかった、いないなら自分でやってみようかと言うことで作る場としてそういうことをやってみようかと思っていた中でツートップで共同創業共同代表で相方がビジネス、僕がデザインでやっていった。
そんな中でTwitterでデザイン経営宣言の資料が出たときに「7年前からとある会社がそれをやっている会社がありますツクルバといいます」とツイートしたら経産省の人が拾ってくれて会いに行きませんかと言うことで経産省に行ってきたら一緒に登壇しましょうと言う形になってそこからイベントに呼ばれ始めた。
イベントに呼ばれたんでまとめなきゃいけないと思って作ったのがこれだった。

デザイン経営なんですけどデザインだけじゃないなと正直思っていて、起業家ってアート的な側面もすごいあるかと思っていて0→1を生み出す時ってどっちかって言うとこの時代に生きてきて何が課題にあるか自分の中にあるアイデアを出すと0→1の部分が生まれるような気がしている。
そこはアートだなと思っているただ生み出した0→1のものってふわっとしていたり、整理されなかったりがあるので。
それをちょっとデザイン的な視点ではき出したものを整理して移動していくと1→10くらいになってようやくグロースしそうだなとなる。
そこからはビジネスの出番かなと。
この辺の「0→1アート>1→10デザイン>10→∞ビジネス」で事業を作っていくんじゃないかなと思っています。

次のスライドでツクルバでも考えているのがこの図で考えてみたときにソーシャルバリューの軸とエコノミックバリューの軸があったりしたときに、0→1の新しいアクションで儲かんないじゃないですか?パイがかかったりとかマーケットがそもそもないとか

【坪田】
作っていかなきゃいけないですからね。

【中村】
これから作るもんじゃないですか。
ただ何とかそこに自分が課題があるなと思って始めてるから何かしらのソーシャルバリューはあるはずなんですよね。
利他的な腹黒さというか。
だけどそこにマーケットが徐々に花開いていくとエコノミックバリューを帯始める。
さらにそこから新規参入で他の会社とかも入ってくるとどんどんソーシャルバリューが解決されていくので下がっていくと思うんですけど、ただ、マーケットもできエコノミックバリューはどんどん最大化されていく。
この過程で追われる利益をもう一回0→1のほうに投資していくことを事業体として握るといいなと思っています。
こういうスタイルとかができると会社経営とかも面白いんじゃないかと思います

【坪田】
中村さんはプレイヤーでガツガツやられてたと思うんですけど、どうやってそういうシフトして行ったんですか

【中村】
プレーヤーから経営側にと言うことですか?

【坪田】
プレーヤーから次のステージに上がりたいときにプレイヤーをやり続けるひともいると思うんですけど。中村さんや谷尻さんのキャリアのパスをお聞きできますか?

【中村】
作るの好きなんですけど自分が担当してた案件が炎上しはじめちゃった。
メンバーを頼ってバトンをパスし始めたらうまく行き始めた。
そこからメンバーが楽しく仕事するにはどうしたらいいんだろうとか会社経営としてやっていくためにはどうしたらいいんだろうとか考え始めた。
コミュニティ経営とか言ってるんですけど組織をどうデザインしていくのかとかを考え始めて経営側に移っていったのがあります。

【坪田】
お二人の関係で言うと谷尻さんがロールモデルになったと言う話がありますがもともとどういうきっかけで谷尻さんとつながったんですか。

【中村】
谷尻さんはもともと建築家の先輩として知っていて多分建築家、起業家と言い始めたのは最近ですよね?

【谷尻】
そうですね。それまでずっと建築家としてやってたんですけど、企業のランキングでIT会社が上位にきているがなんで設計事務所が上位にランクインしていないのかをなんでだろうと考えた。
設計事務所ってクリエイティブだし、いいことやってるし、いいんですけど自分たちの上の世代の人たちが言ってることって、「こんな設計料じゃやってられないよ」と言っている。
なら上げるべきだと思うんですが、なかなか上げづらいし、上げらた頼みにくくなるだけとも思っていて、このビジネスモデル自体が良くないなと思ったんですね。
もう少し設計というノウハウを生かしてちゃんとマネタイズできる仕組みを今の時代だからこそできるやり方にしないとこの流れの歴史がずっと続くと思った。

それをやるために自分をベンチャーなんだというマインドセットにしようと思って。
わざと肩書を起業家にして設計事務所を改めて事業としてどう捉えたらいいのか?ということを考えた。
実際に肩書を変えたらもっと「あれできるな」「これできるな」と言う意識改革が自分の中でおこなわれて行きましたね。

【中村】
なかなかマネタイズと言う単語を使う建築家さんはいないと思う。

【谷尻】
建築家さんだけでなく違うジャンルの人たちと会っていると「もっとこういう視点で建築業界を見たほうがいいな」とか言う考えになり。気づきが多いですね。

【中村】
自分も建築というとそうでもないしベンチャー界隈と言うわけでもないし中間の状態かと。

【坪田】
今、文化を作っていると言うことですよね?
谷尻さんの記事をいろいろ調べたんですが僕が調べたときは大体起業家の文脈の方が多かった気がします。
起業家と言い始めたから周りの人も取材しやすくなったっていうのがあるんですかね?

【谷尻】
起業家とか言いながら会社の売り上げを知ったのは5年位前からですかねw
売り上げが上がってますと税理士に言われた。
ちゃんと会社の売り上げが伸びてるってことは理由があるし、ちゃんとやっていかないと従業員との関係も良くならないと思った。
経営もクリエイティブにやった方がいいと思ったんです。

【坪田】
それまではプレイヤーに徹していたんですか?

【谷尻】
がむしゃらに働いてましたね!
365連休っていってました。つまり休みがないってことなんですがw
いつでも休めるけど毎日働いているっていう働き方でした。

【坪田】
最初に言っていた設計料が安いって話ですが、デザイナーの給料が平均値が安いのが統計で出ているののですが、IT業界で結構下の方で苦労している所があるんですが、どうやって設計料を上げていくんですか?

【谷尻】
設計料は上げていないです。
例えば5,000万の住宅建築を頼まれて設計料で10%で500万もらえるんですが出来るまでに2年かかる。
仮に5億の仕事をうけて10%だとしたら5,000万もらえるんですよね。それも担当者が増やすだけで2年で仕事が終わる。
どっちがいいかってなった時に大きい仕事もできると経済的に潤うし、住宅建築も好きなのでその仕事もいい物を作れる会社なんだというブランドになるので両方の仕事を貰えるようにバランスよく仕事を受けている。

【坪田】
社食と事務所が一緒になった空間のアイデア(社食堂)はどうやってうまれたんですか?

【谷尻】
事務所に食堂があるってなると普通だしその時点でわけているですけど、
働いている風景も観れるし、ご飯食べてる横で模型作っているのとかすごい新しいなと思った。
これは仕切りをつくったら負けだなと思った。

みんなに反対されたんですよw
匂いが、、とか守秘義務どうなるのとか、、
場所も駅から離れていたので飲食としてお客さんがくるの?とか
すごい反対されました。
で、みんなが反対するってことは「まだ世の中に認められてない価値」だなと確信しました。
だから絶対やった方がいいと思って、できる方法考えてオープンしたんです。
実際にオープンしたらみんなが「すごくいい」で言ってくれた。

【中村】
否定されると盛り上がっちゃう感じは起業家ワイドな気がしますよね。
0→1のアートの領域って理解されずらいですよね。

【谷尻】
反対されればされるほど「可視化されてない価値だ」ってなる。みんなの反対によって顕在化されて確信に変わってくる。

【坪田】
ツクルバも「KOU」とか新しいコミュニティアプリとか新しいサービスをやっていると思うんですが、新しいことやる時に反対されたりとか「これだ!」みたいなこと決めた時になにかあったりしましたか?

【中村】
マーケットがないと、どこにだれに対するサービスなんだっけ?となってしまってなかなか位置づかないんですが、
確信めいたものは自分のなかにはあって新しい種になるなと思うとお金もなんとか手繰り寄せながらなんとかして実現します。
「KOU」に関してはツクルバだけではなくて共同でサービスを立ち上げました。

1.お二人の考える「場とデザイン」を聞きたいです。

【坪田】
割と抽象的な質問なんですけどどうでしょうか?

【谷尻】
そういう場を作る仕事なんですけどすごいシンプルに自分の行きたい場所を増やしているかんじですね。
仕事を頼まれるんですけどそれあんまり面白くないんじゃないかとか自分の感覚ですけど考えます。
こういう場所じゃないと人こないでしょとか自分の感覚で真剣に考えて能動性を喚起させるようそがどれくらいあるかを考えますね。

【坪田】
クライアントの方からこういう場所を作りたいですとなっって話合いからはじまるんですか?

【谷尻】
例えばホテル「hotel koé tokyo」を作らせてもらった時はそれぞれの大きさの部屋を押し並べて部屋数を増やしたいと相談されたが、一泊25万くらいで一番大きい部屋を100㎡にした。

25万だと一般常識では稼働率30%くらいになりますよと言われたのた。
だけど25万の部屋があることでホテルの価値が上がるから絶対やってくれといいました。じゃないと泊まりたいと自分が思わなかった。
自分は25万の価値の部屋に泊まったことがあったので絶対に価値があると思って提案したら社長がOKをくれて今実際の稼働率は90%くらいで回っている。
東京のど真ん中で1日にたった1人、「25万の部屋に泊まりたい」という人を見つければいいだけなのでいけると思いましたね。

【坪田】
そういったことを理解されない時のとっぱ術はどのようにされているんですか?

【谷尻】
最初に仕事を受ける時に自分が「絶対」と言ったことを通させてくれなければこの仕事を受けないと説明した。

採用の話でも応募しちゃうと来てくださいになるのでここの人と働きたいここで働きとという能動性をどっちに置くとどうなるか?ということを考えていて、建築の事務所での採用に関しては採用ページを出さないと決めてます。

【坪田】
仕事の受け方など若い時や下積み時代から僕が作りたいものしか作りませんのようなスタイルだったんですか?

【谷尻】
そこはツンデレ商法ですw
ツンツンしてるように見えて本当は仕事を受けさせてほしいところもだしますw
高飛車になっちゃうんで全部ツンツンしてるわけじゃないです。

【中村】
自分が欲しいもの作っていくというのはホントそうだなと思いますね。
0→1とかは自分の内側から生み出されるので、自分が作っているサービスの一番の欲しては自分になるかなと思います。

【谷尻】
サービスを作ってできるなってなったら飽きないですか?

【中村】
0→1、1→10が自分の主戦場で10からその先は人に任せたくなります。
3年に1個くらいのサイクルで新規事業をつくっている。

【谷尻、中村】
トリエンナーレですねw

【坪田】
その状態を最近言語かできるようになってきて、クリエイターの人って不確実性の部分を実現ししていくスタイルが好きで、事業が確立されてきたところで不確実性の部分が可視化されてくる。
そうするとある程度サイクルが回り始めた時に新しいことをやりたくなるのかなと思ってます。

2.建築家×起業家で建築設計にとどまらない事業を作るスタイルを志したきっかけを教えてください。

【中村】
きっかけでいうと大学院の頃に経験させて頂いた渋谷の宮下公園のプロジェクトですね。
宮下公園をリノベーションしようとNIKEの方が人と交渉してインターナショナルな予算引っ張ってきて、区と交渉したり。
建築家として参加させてもらっていたがそのプロジェクト立ち上げてる様がカッコいいなと思っていた。上流側にいきたいというか。
原点はそこですね。

はじめに入社したのは不動産のデベロッパー→ミュージアムデザインして会社の立ちあげをしました。
そこから一番最初は仲間と一緒にカフェを始めてその場でいろんなコミュニティが混ざり合っていくのが楽しくなっていきました。
そういった場を作ることがしたいと思い「ツクルバ」を立ち上げた。

建築家でいうとレム・コールハースが僕は好きでしたね。
リサーチしてブランディングまでしているところが好きでした。学生時代に崇拝してました。

【谷尻】
僕は大学も行かずに26歳に独立した時に周りが優秀な人ばかりだったので同じ方法で戦ってもダメだなと思った。

建築の雑誌みればみるほど、みんな建築系の大学でて優秀な達流れ独立していっているのを見た時に違う方法論が必要だと思った。
その時にダメなやつが活躍したら周りが評価してくれると思って、
映画やアニメの主人公が落ちこぼれっていうロジックにはまると思ったんですよねw
そこのポジションが空いていると思った。

とはいえ建築業界ってアカデミックな世界。
建築雑誌にでてないと子供扱いされちゃうのでそこにもちゃんと発表しながら改革していった。
雑誌社とかいってましたね。
作品を郵送するだけだとなかなかまともに見てくれないので、広島から東京行って、見てもらう為にわざわざきてるから見てもらわないと帰れない。と言って無理やり見てもらってましたね。
マガジンハウスのブルータスの編集部まで入っていって、編集長いないけどテーブルの上に置いて帰ったりしていましたね。
広島にしか事務所なかったのでメディアの人とも繋がりもないしとにかく直接会いにあってました。
扉をこじ開けて進めていった、熱量で人は絶対に動くと思っていますね。

【坪田】
広告業界ってカンヌとらないと認められない。とかって話もあるんですが
ポジショニング変えて若手の世代が活動していくのが大事なんじゃないかなと話を聞いていてそう思いました。

【谷尻】
世の中の評価軸が偏っていますよね。

【中村】
軸をずらしながらポジションを獲得するっていうのは今ここにいる皆さんもそういう生存戦略ってあるんじゃないかなと思います。

【坪田】
今活躍されている50、60代の方達と同じことしてても勝てない時に「どうポジショニング変えていくか」の動きがどの業界にも必要になってきてるのかなと思います。

3.手がけたプロジェクトで建築家×起業家だからこそできたエピソードなどありますか?

【谷尻】
絶景不動産と21世紀工務店っていう会社も作って、土地を仕入れて企画して設計して作って運営するところまでできるんですが、
家建てることにして自分のお財布と相談してたらこれくらいの家しかたたないなと思ってたんですが事業にしようと思っていて。

自分じゃ買えない土地だけどテナント入れたり併用しながら企画して、自分の自宅をこれから建てるんですが僕の家賃は多分5万くらいですね。

【坪田】
自分の自宅にテナントを呼んで事業化しちゃおうってことですか?

【谷尻】
そうです。そういう事業モデルをつくっておけば自分が住んでる家に家賃を入れるとすごくいい利回りモデルになるからいつでもバイアウトできるんですよ。

【坪田】
数年後に谷尻さんの家兼事業モデルが出来上がってるんですね。

【谷尻】
着工前にテナントも決まっていますね。全部。

【坪田】
中村さんどうでしょうか?

【中村】
初めに作ったのが「co-ba」っていうコアワーキングのブランド。
スタートアップで二人で企業してその中に入居者兼管理人としていたんですが、周りがみんなIT系のスタートアップが多かったんです。
なので空間デザインできるのが僕らのチームしかなくてアウェイに飛び込んで存在意義が高まるというか、いろんなベンチャーオフィスのデザインとか頼まれたりしてたのはありましたね。
co-baを企業して始めたらIT系スタートアップの入居者が多かったですね。
入居者の人たちと話をする中で資金調達してスタートアップでこうやってやるのか?とか聞けました。
最初に渋谷でco-baをしたのがひとつの転機でしたね。

4.事業作る時にこだわっている手法や、必殺商法(リサーチ)などあれば聞いてみたいです。

【中村】
自分が体感として体験したことしか作れないと思っているんです。

例えば「KOU」はいろんな地域通貨の現場にいって体感するんですよね。
どんな営みが地域で行われているのかを肌で感じて体験することがいちばんのリサーチかなと思っています。
それだけだと広がりはないんですが深く体験したものが自分の次の一手につながることが多いですね。
場の盛り上がり、コミュニティを可視化したくて作った。

【谷尻】
僕はインスタで何書くと誰がどれくらい見てるとかわかるのでこういうネタあげるとこれくらいの興味があるんだね。とか見てます。

中村さんのコウバも僕らの食堂もリアルな空間ポートフォリオを作って見にきた人がいいねとなって仕事に結びつくと最初に投資したものがすぐ回収できると思っています。

それが建築はリアルな空間ってなかなか作らないんですけど周りがどうなるかわからないものにお金をかけれないってなってればなってるほど、作った方がいいよねとなっているところがあります。
空間は実際見なければわからないですね。

実際に事務所がショウケースになったりしていてコンペで案出さなくても選んでくれたりもして作ってすごいよかったなと思っています。
何個かオフィスも決まりましたねそれで。

【中村】
デジタル方面でもプロトタイプ作って資金調達する話あると思いますが同じだなと思っていて
空間の場合はお金が若干高いですけど跳ね返ってる恩恵も大きいしそういう戦略かなと思います。

【坪田】
我々側のデザイナーでも作って表現してそこで集客するっていうスタイルは必要になってきますね。

5.質問タイム

Q.谷尻さんがKata-logのサービスをリリースされる前に契約する人がいることに対して、製品に対する体験設計や仮説のようなものがあればお伺いしたいです。

【谷尻】
まず何よりも月額5万円にした理由はクライアント担当者で決済しやすい価格設定にした。
なにより建築業界のみんなが便利になる仕組みなので自分の為だけにやっているんじゃなくてウチの事務所も効率化になるし、メーカーさんの営業が重いカタログを持って夏に移動しなくてよくなるし。違う営業形態になっていくと思うし
最適化すれば皆んなハッピーになる。業界として競争から共創にしたいと思っています。
競い合うことから共に作る時代になるからそれをやった方がいいなって思っていますしうまくいくんじゃないかな。

【中村】
中の人が中の人の為のことをやるっていうことが当事者性があるというかニーズを捉えてますよね。

【谷尻】
食堂も一緒で偏食になりがちなスタッフのためにやったことを社会にパブリックにすることで価値化されるので、内向きに考えたサービスなんですよね。

【坪田】
食堂は第三者人の人もはいれるんですか?
知らない人がやってきて隣で仕事をしてるいるんですよね?

【谷尻】
皆すぐになれるし、なにより人は負荷がある方が成長できるんじゃないかなと思っている。
僕たちの会社は常に頭を使って考え続けれ為に負荷を好もうとスタッフに話してます。
なによりもみんなで一緒にご飯を食べるんでみんなの細胞形成のリズムが揃うってことはチームとして強くなるんですよね。

だからもう「細胞改革」しようっていってやってます。

【坪田】
「細胞改革」僕も今後使っていきたいです。

Q.デジタル業界で働いていてものづくりをしているんですが、建築に比べると作って壊すのが比較的容易なんですが、実際に作ってからピボットとかしやすいんですですが。
建築は一回作りを初めたら直すのが難しいイメージなんですが、その辺の判断軸とか行ける行けないみたいなジャッジはどういう風にされてるんですか?

【中村】
改変されていくものというか建築ではなく場にすると場って結構流動的だなと思っていて初めに想定したコンセプトとぶれぶれだったんですが始めてからそこにアジャストしていくというか。寄木みないなもので考えてますね。場作りに関して言えば建築の設えとかも影響をうけますが若干柔軟かなと思います。

【坪田】
すごいなと思うのがデジタルで受託とかで作って出した後にチューニングできません。ともし言われたら意思決定迷うと思うんですよね。今は出しでも3ヶ月後にこうしていこうとかやりやすい形で仕事させてもらうことが多いので意思決定ライン低くなってくるんですけど、
建築でいうとそこの不安みたいなものはないものなんですか

【谷尻】
デジカメとフィルムカメラの違いみたいなものでデジカメだと皆パシャパシャとるじゃないですか。なんかいいの一枚とれたらいいなみたいな。
フィルムカメラはどうこの一枚を丁寧にどれくらいに大きさでどの位置にどういう角度で配置するべきなのかと考えぬいてとった一枚となんか偶然とれたらいいな人だとまったく結果が違うので僕らはそこをすごく慎重にやっています。

そして大きな腰になる部分は絶対にぶれないです。
で、かつ自分が行きたい場所を作るという確固たるものがあるのでそこが守れないならやらない方がいいよねと判断するんですよね。
でないと自分たちがやる意味がないしその案件に責任がもてないから仕事の受け方もそういった受け方が信頼してもらえる。

なんとなく作ってるとなんなく頼む人がやってくるんで、その会社の人格作りは丁寧にやろうと思っています。

【坪田】
実際に作って見てちょっと失敗したなみたいのあまりないんですか?

【谷尻】
ちょっとだったら自腹をきって直すくらいの覚悟でこういう風にさせて欲しいと言うしすごく慎重にやろうとしますし、現場やってて少しでもよくなるの見つけたら少々だったら設計料やすくしてでもここやってあげようよ。ってやっちゃうんですよね。

【坪田】
軸はぶらさずに若干のチューニングくらいだったら手弁当でもいいからちょっとやりますよみたいな感じでとお客さんと進めていくんですね。

【中村】
建築の竣工後の実際の中のどう使われるのかとデジタルのプロダクトは結構近いと思いますね。
実際にどう回遊しているのかを観察してじゃあこういったオペレーションに組み直しましょうがありますね。

デジタルの場合も僕はエンジニアじゃないので詳しくはないんですが奥の奥のサーバーサイドの深いところやデータベースの設計は変えにくいんですよね?
それと建築は近いような気がしますね。

【谷尻】
建築も構造自体は変えれないけど表層は変えやすいですね。

6.まとめとぐっときたこと。

『自分の中のアイディアが形になって初めてアイディアになる。形になってないうちはただのアイディアでしかない。
『「went」じゃなく「have to」にする』
谷尻さんらしい有言実行なスタイルならではの言葉でした。
デザイナーは何かについて話をしたり意見を言うでも形にできる力を持っていると思います。アイディアを形にしたり、可視化する癖を普段から意識していかなくては。

『「0→1アート>1→10デザイン>10→∞ビジネス」で事業を作っていく』
中村さんの言葉ですがこの考え方がすごくしっくりきた印象です。自分がやっている業務で今どの位置の仕事をしているか俯瞰して見直すと進めやすいかな。
坪田さんが10→∞の行程はデザイナーが飽きやすい。という状況を丁寧に言語化していたのも印象的です。

『みんながから反対するってことは「まだ世の中に認められてない価値」』
『扉をこじ開けて進めていった、熱量で人は絶対に動くと思っていますね。』

谷尻さんならではの仕事に対する推進力やエネルギーを感じました。単純にすごいと思いましたし、奮起させられる言葉でした。

『軸をずらしながらポジションを獲得するっていうのは今ここにいる皆さんもそういう生存戦略ってあると思う。』
キャリアを積んでいく上でポジションニングを定めながら進んで行った二人の話はとても参考になりましたし、自分のキャリアを考えていく上でも改めて考えさせられる内容でした。

『人は負荷がある方が成長できる』
セルフマネジメントできる人でも無意識に負荷を軽減してしまったりしてしまうことはあるかなと。
なのでこの社食堂に込められた思いというのは感慨深く聞いていました。
と同時に主にIT系で進められている「リモートワーク」の働きかけが進んでいくと「経営の課題としてはここに行き着くのかな」とも考えさせられた内容でした。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。どの話も聞き逃せない内容でした!
なので、初めは簡単にまとめようかと思っていましたが、気がついたら12,000字以上の書き起こしになっていました。。誤字脱字かなりありそうです。次はもっと簡単にまとめたい。。

宜しければフォローしていただけると嬉しいです。
それではメリークリスマス🎅そして良いお年を🎍

場とデザイン - CXO Night #5セミナーレポートの1 /2はこちら
https://note.mu/ippai_nereru/n/n3c9dfae00424

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