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上場企業は2月決算がお得?!

今日は『決算日』について書いてみようと思う。

世の中的には3月決算会社っていうのが大多数を占めると思う。学校も4月からスタートするから、なんとなく慣れた感じで、社会人になった当初も特に違和感を感じなかった。

そもそも、なんで4月なの?って話だけど、これは、国の会計年度ってやつが、1886年に4月始まりってことに法律で決められたから、ということらしい。

この国の会計年度に合わせて、学校の年度も4月からになったと。学校は国や自治体から補助金やらをもらってるから、年度を合わせた方が何かと都合が良いって感じ。

企業会計年度もこれに合わせて4月はじまりが多いのだと思われる。ただ、法律的には、決算日はいつにしても良いことになっている。

例えば、社長の誕生日の1月23日とか、縁起が良さそうな7月7日とかでも全く問題ない。経理さえ対応できれば(笑)

実際、弊社の親会社も2月末が決算日になってる。なので、4年に一度決算日がズレることになる。

実際、小売業には2月末決算の会社が結構あって、小売業は、2月と8月がヒマになりやすいらしく、決算はとっても手間がかかるので、そのタイミングにしたって言われている。まあ、本当だろう。

あと、月末じゃなくて、15日とか20日を決算日にする企業もそこそこある。決算なんてその会社の習慣や都合でやりやすい日にやれば良いから正直いつでも良いとは思う。

まあ、諸々の『締め日』ってやつが月末という会社さん、特に取引先では多いだろうから、自社が15日が決算とかだと、請求書に載ってこない15日分の仕入額をどうやって収集するか、とかって問題も出てくるよね。

まあ、これは経理が対応できるなら、まったく問題ない話だけど(笑)

私自身のこれまでの経験から考えると、上場企業においては、2月決算会社の方が3月決算会社に比べて、お得だと思っている。

その理由は、企業会計基準の適用が1年遅れてやってくるから。

上場企業の経理担当者ならなんとなく共感いただけるかもしれないけど、これって、担当者ベースで見たらかなり助かるポイントだと思う。もちろん、企業ベースで見てもメリットは多いと思う。

新しい企業会計基準が作られた場合、たいてい3月決算会社から適用されていくことになる。

例えば、最近だと『収益認識に関する会計基準』というのが制定されたが、これの適用開始時期は『2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する』となっている。

つまり、3月決算会社は現時点では既に、この会計基準の適用を受けてから1年が経過したことになる。一方、2月決算会社は、この基準を適用し始めてまだ数日という感じ。

これの何がお得なのかというと、2月決算会社は1年間、他社の状況を見られるってこと。

まあ、何事もそうだけど、新しいことを始めた時って、結構バグだったり、解釈の問題というようなことが結構起きる。

当然、上場企業を監査する立場の監査法人においても、前例がないことなので、判断の基準がブレブレで、監査法人の監査スタイル(保守的なのか、革新的なのか)などに左右されるなんてことも起きたりする。

決算担当者は、新しい会計基準を理解するために、様々な書籍やセミナーなどに参加して、1年以上かけて準備していることだとは思うが、それでも、自社の実務に当てはめた場合、本当にこれで良いのかという悩みが出てくる。

その悩みは、当然、監査法人にぶつけられるのだが、上記の通り判断基準がふらついてるので、なかなか回答が得られなかったりする。

最悪の場合、第3四半期になってから、判断基準が確立され、第1および第2四半期の開示資料の修正をしないといけない、なんてことも起きる。まあ、かなりレアな例えだけど、なくはないと思う。

決算作業中も極力手戻りしたくないし、ましてや連結決算会社の、とある単体を修正するとかなると、とんでもない工数がかかることになる。

開示の修正についても、かなり面倒な手続きだし、公表される文章は、まるで、自分が大きな過ちをしでかして、反省文を書かされている気分にさせられる。

という感じのことなど、色々な事象を1年間体験することで、監査法人の考え方もまとまってくるので、1年遅れで適用される2月決算会社は、色々なストレスが減った状態でスタートできるという感じ。他社事例を参考にした対策も立てやすい。

監査法人はもっと前から準備しているからブレるわけがない!というご意見もあるだろうとは思う。それでも未来を確実に見通す見聞色の使い手なんて、そうそういないだろうから、1年間の実務をふまえた体験というのは、かなり大きいと思う。

まあ、担当者ベースのメリットなんて、会社が黒字であれば全くもって些末な問題なんだろうけどね(笑)

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