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かほちゃん

小学生5年生の頃かほちゃんっていうお人形さんみたいにかわいい女の子がいた。ピンクと茶色のフレームのかわいいめがねをかけてた。ふつう小学生がめがねなんてかけちゃったらダサくて仕方なくなるはずなのにめがねをかけてもとびっきり可愛かった。羨ましかった。妬ましかった。憧れた。
かほちゃんはいつもフリフリでレースとかキラキラがたくさんついたメゾピアノのお洋服を着てた。
朝読書で読んでる本はいつも12歳とかキミは宙のすべてとかキラキラしてる女の子が持ってる本だった。持ち物はぜんぶピンクだったし、歯の矯正の器具だってピンクでそんなものまでかわいかった。
かほちゃんと友達になりたくてママにおねだりしてメゾピアノとかJENNIEとかの服買ってもらって水が入ったシールとかぷくぷくのシールとかも持ってた。かほちゃんと友達になりたくて必死だったわたしにかほちゃんが話しかけてくれて、お家にもお呼ばれして自分もかほちゃんみたいにかわいくなれたと思ってた。かほちゃんと同じくらいキラキラしてるって信じてた小学5年生のわたし。かわいくて健気だね。いつからだろうそんなことなかったって気づいたの。メゾピアノもきらきらシールも香り玉もフリルの靴下もピンクの習字セットも持ってたけどわたしはかほちゃんにはなれなかった。かほちゃんが着たら素敵なメゾピアノもわたしが着たらその辺のイオンに売ってる服と変わんなかった。きらきらシールだってわたしが持ってても意味無かった。かほちゃんの隣は似合わなかった。10年経って21歳になってもかほちゃんにはなれていない。10年前に取り残されている。

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