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いろいろなことを、考えてみました。

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自分の能力の足りなさを自覚しながら、いろいろなことを、考えて、書いて、考えました。
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2021年3月の記事一覧

『「ジャーナリズム信頼回復」について、元・新聞読者として、考える』(前編)

 103歳まで長生きしてくれたけれど、約20年間、妻と私で介護をしていた義母は、新聞に親しんでいた。  それも、東京新聞の朝刊だけをとっていたのだけど、理由は、新聞の中では一番安かったから、ということのようだった。  目もそんなに良くなかったし、白内障もあったら読みづらかったはずなのだけど、100歳を越えても、メガネをかけ、新聞を広げて読んでいる姿は、「知識人」のようにも見えた。義母が好きな記事は「あけくれ」という、読者から投稿される日常的な話題だった。  東京なのに、地

「炎上予防対策」について、考えたこと。

 テレビ東京のドラマを見た。  それまでドラマをやっていない枠で、かなり企画色の強い「共演NG」という作品のあと、「アノニマス」が続き、先週、最終回も終えた。 「アノニマス」  基本的にSNSなどの炎上がテーマになり、インターネット上での誹謗中傷で、死まで追い込まれることを「指殺人」と名付け、その対策室が警視庁内にできる、という設定だった。  刑事ドラマなのに、そしてタイトルに「殺人」と入っているのだけど、それほど人が死なず、というよりも、死ぬのを防ぐことにポイントがある

「東京オリンピック→大阪万博→札幌オリンピック」…… “反復呪文”への嫌な予感。

 東京オリンピック→大阪万博→札幌冬季オリンピック。   もう昔の話になるけれど、それぞれ、1964年。1970年。1972年に開催された。  それは、まだ日本という国が、発展途上といっていい時期で、それを契機として、高度成長が達成された時でもあった。  だから、その上り坂の気配とともに、この3つの大掛かりなイベントは、ある世代以上の人にとっては、とても輝かしい記憶として残っているのかもしれない。 「反復呪文」  それでも、こうしたプロジェクトの連続開催は、たぶん、一回

コロナ禍の「確定申告」。

 確定申告は、ここ何年かは毎年おこなっている。  その書類を作るための準備や整理、計算も含めて、考えるだけで、憂うつになる。    昨年から、コロナ禍という、世界を一変させる「変化」に襲われていて、それによって収入が大幅に減った場合は、フリーランスであってもサポートされる、という話も知っていた。  だけど、2018年の年末に介護生活が突然終わり、その後、1年間は、心身を休めることを優先していたし、介護が続いていたここ20年くらいは無収入の時期も長かったし、確定申告を再開した

「保坂和志の小説的思考塾」についての短いレポート

 すごいと思っている書き手がいて、以前は、その人に会いに行く、みたいな行動は、勝手に「違う」と思っていた。  ただ、いつの頃からか、書いているものに対して、敬意を持てる人が生きているのであれば、例えばトークショーみたいな場所でも、直接、その人がいて、話をしている姿を見て、言葉を聞くことで、その後、その作品に対して、さらに理解が深まるような、もしくは違う視点で読めるような気がすることが多くなった。  だから、書き手の人すべてが、「表」で話すとは限らないのだけど、そういう機会