長女の手紙


昨年、私の父が癌で亡くなった。

私の母が自宅で父を看病して最期を看取った。

3月のお彼岸をすぎて長女(5歳)が私の母に手紙を書きたいと言い出した。ひらがなの読み書きができるようになり、家族や友達、先生にお手紙を書くのがブームになっていた。そのブームの延長で母への手紙を書きたいと言い出したのだ。

長女はお気に入りのレターセットに文章をしたため、封筒に入れて「ママ、バーバに手紙書いたから切手を貼って〜」と私に手紙を手渡した。

私「ばあばに何てお手紙書いたの??ママ、中身読んでもいい?」

長女「いいよー」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ばあば

じいじがなくなって いま どんなきもち ?

(長女の名前)より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私はド直球すぎる文章に驚かされた。

かなりエッジが効いたエグる質問だ。

私の両親は恥ずかしながら仲が悪い夫婦ではなかった。私が思春期の頃からずっと仲が悪く家庭内別居のような感じだった。

私は母から父の愚痴を聞かされて育ってきた。私はそこまで父を嫌いではなかったから、愚痴を聞くのがとても辛かったし、2人の喧嘩を見るのが何より嫌だった。

そんな両親だけど、父は在宅ケアを希望し、母はそれを受け入れ、一生懸命介護をして最期を看取った。

夫婦関係が悪かったのに、どういう気持ちで父の口にスプーンでお粥を運び、 ヘルパーさんと共に下の世話や着替えの介助をしていたのだろう。

そして亡くなった父をどう思っているのか、、

父の死により忙しく大変な介護から一気に解放された母。

父のいない自宅でひとり有り余る時間の中何を思うのか母の気持ちを聞きたいけど母は自分の気持ちを素直に言う人ではないから、私を含めて兄弟は気になりつつその話題には触れられなかった。

それなのに、長女の手紙。

正直、ドキっさせられた。。。

何度もお見舞いに行き、自宅で亡くなった父に会っている長女は“死“を認識しているはず。それを持って私の母の心うちに関心を向けた質問、、5歳ってこわい。

そろそろ手紙が私の実家に届く頃だ。私の母は何と返事を書くのだろう。

長女にウソやごまかしは通用しない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?