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感想_君たちはどう生きるか

以下の記事には多分にネタバレやその類の情報が含まれます。
私はネタバレ無しで見に行って良かったと思いました。
未だ見ていない方はご注意ください。
(ストーリー解説などはありません。ただの感想文です)

(以下、不意に見ることを避けるための改行が少し続きます)












感想

とても面白かった。
何より、ジブリっぽくて良かった。
ジブリ風の別物を色々と見ていたので、
本家本物のジブリとは何かを存分に味わえて良かった。
本当に久々に映画館に行ったが、行って良かったと思えた。

色々と好きなところはあるけれど、
なにより、エンディングがこの上なくあっさりとしてたのが本当に好き。
比較的思想の強い方である割に、
アニメ自体にはそこまで思想を載せない稀有な表現者である宮崎駿が、
「生きねば」の次に作った「君たちはどう生きるか」のいう題の物語が、
ものすごくあっさりと終わったのが、
この上なく好きな終わり方だったし、
とても寂しい。

鳥しか見せない宣伝広告のお陰で、
鳥がどう立ち回るのかに注目して見れたし、宣伝は中々に上手かった。

色んなジブリの既作のフレーバーを様々なシーンでふんだんに感じた。
日本の田舎に洋風の塔というトトロ×ハウルみたいな、
みんなが好きなものを出してくれるサービスをやってくれたかと思えば、
ほぼ趣味なんだろうなと思ったかっちょいい戦車のシーンもある。

やっぱり、ある種の自伝なんだろうなとは終わってからの余韻で感じた。
どう考えても、異世界の主こと大叔父は監督の宮崎駿本人なのだろう。
彼が何者かに託された夢の世界が、もう壊れかけていて、いつ壊れてもおかしくないというシーンは、なにより監督がもう作れない/作らないということを表しているのだろうな、と伝わってきた。

その世界が、その世界の住民(ファン?スポンサー?社員?)の乱暴によって崩れていくというものは何かを示唆しているのかも知れないし、そうではないのかも知れないが、私は知らないのでそれは良く分からない。
けれど、主人公がそういった異世界でのアレコレを引き継ぐことなく、帰っていくという選択をし、主がすんなりそれを受け入れるというのが、
いいなあ、宮崎駿らしいなあと思った。

「君たちはどう生きるか」
この上なく「こう生きろ」と提示してきそうな物語タイトルで、(タイトルの原作は割と導いてくれる(個人的にかの原作の内容に異論はない))
特に強いメッセージ性を出さずに、あっさりと異世界から帰して終わる、
自分の作ったアニメの世界から現実へと帰して来るのは、
なるほど、宮崎駿らしくて、
(恐らく宮崎監督が作る最後のアニメと思われるこの作品まで)
それを貫き通したのは、格好良くて、
やはり、少し寂しい。

きっと色々と分析できることはあると思う。
思うけれど、
この映画についてアレヤコレヤ頭を使って語り続ける、
この映画に捕らわれるのは監督の本位ではあるまい。

感想書きたくて書いたけど、
世界設定とか考察とかするのはあんまり粋じゃないよね。

ともあれ、
君たちはどう生きるかは面白かった。
僕は好きだ。

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