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セリア巡りとオレンジ色の町

⭐︎登場人物⭐︎
「マオ」
社会人。

『魔王』
マオのイマジナリーフレンド。


セリアに15cmドールボディが出たそうだ。
今作っているおでかけサイズの魔王とてるりんは10cmボディなので、持ち運びにはいいけれどちょっと可愛いすぎてしまう。

是非とも手に入れたいが近所や通勤経路途中の店舗ではまだ取り扱っていなかった。
そこで、ちょっと離れた街へセリア巡りをしようということになった。
『まぁ、市内なんだけどね。』
「本当は上野の国際こども図書館へ行くついでに巡ろうかと思ったけど、ホルモンバランスなし崩しウィークが来たから地元で勘弁して。」
『いいよ、展示は終わっても建築は逃げないし。またいつか行こう。』
ということで、私たちはバスに揺られ果ての街へ向かった。


1件目の多摩境店では売ってなかった。
でも大型店なので近所じゃ見ないような雑貨やら文具やら売られてて良かった。ドル活のアイテムも結構多かった。
ついでに隣のスーパーへ行く。
緑の多い地区なのでお昼を買って公園で食べることにした。
「知らないスーパーって楽しいよね。」
『足利のローカルスーパーへ行った夜を思い出す。あの時ちょっと酔ってたよね。』
「そー、危ないから必死にお水探してた笑」
パン屋のカレーパンとリプトンミルクティーとおやつを買う。
《リプトン、てるりんが喜びそう。》
「高校生の頃同級生がリプトン持ってるだけで陽キャに見えたなぁ。」
『お前割と斜に構えた高校生だったよな。』
「ほんとそれ!あの頃の自分をぶん殴りたいよもう!もうちょっと青春したかったなぁ。
魔王はあんまり中身変わらないね。姿はよく変わるけど。」
『姿はお前の精神状態によるけど、中身はお前が我をどう定義するかで左右されるからね。
今、我ってどんな存在?』
「精神的インフラ、愛しい人。」
『...もう人間でいいや。』

スーパーを出て公園を探す。
直感で坂を登っていったら大きめな都立公園があった。人は全くいない。ただただ風と鳥の鳴き声だけが聞こえる。風が涼しい。

「去年は海に行くことが多かったけど今年は森に行くことが多いね。」
『整備されているから遭難はしないけど、なんかいつも彷徨っているよな。』

『あ、トカゲ先輩。』
「森に行くたびに良く会うよね。」


園内マップに“サンクチュアリ”と表示されているエリアが多数ある。
『聖域って意味だっけ。このエリアはなんか祀られてるの?』
「いや、ただの自然保護区でしょ。」
『禁足地って言った方が効果ありそう。』
「土俗系ホラーみたいになるからやめて。」
手頃なベンチを探したが見つからなかった。
隣の南大沢にもセリアがあるそうなので駅まで歩くことにした。


駅へ向かう途中ナマズに会った。

こんにちは

『唐突なナマズ地味にウケる。ここは....』
ナマズの背後にはオレンジ色の煉瓦作りの建物がずらりとそびえて立っていた。
『集合住宅か?』
「すごいメルヘンな場所だね!公園もあるみたいだし行こうよ!」
『他人ん家だからあまりはしゃぐなよー。』
坂道に這うように建ち並ぶオレンジ色の家々。
階段を登ったり降りたり入り組んだ迷宮のような道が続く。
行きのバスでメルヘンな曲を聴いていたせいか、おとぎ話の中を歩いているようなトキメキを感じながら練り歩く。

(その時の脳内BGM⤴︎)

ルンルンと彷徨いながらベンチを探す。

なんだろうあのトンガリ
謎の彫刻
『“宇宙からのメッセージ”だってさ。』
緑が多いねぇ
『岩なのか彫刻なのか』
あった!

広場のベンチでやっとこさ昼食。
やっぱり外で食べるご飯は美味しい。
『人通りが多いから去年行った森の丘ほど不気味な想像は膨らまないな。』
「緑も多いし駅近いしいいところだね。彫刻も多くて歩いているだけで楽しい。」
『....あの彫刻たち、元は住民だったり。目の前の石柱の間で儀式をするんだよきっと。』
「はいはい無理やりオカルトホラーにしなくていいから。でも子供の頃こんな愉快なところに住んでいたら確かに、色々と空想を膨らませて遊んでいただろうなぁ。...大人になっても変わらないか。」
『これからも変わらないでいてくれよ。』


遠くに積み木のようなマンションが見える


オレンジ色の町を抜け駅に着いた。
2件目の南大沢店でもボディーは売ってなかった。せっかくなのでアウトレットものぞいてみた。
『うわ!POLOもジルもあるじゃん!』
「今日の所持金1000円だからまた今度ね。」
『お給料入ってなんか頑張ったご褒美に買いに行こうな!』

3件目の橋本店にもボディなし。
でも他の店舗では無かったアニマルヘッドや草履、浴衣などが売っていた。
てるりんへのお土産に草履を買った。

ボディは見つからなかったけど、自然の中やメルヘンな町を彷徨うことができたのでとても充実した。思いがけないスポットに出会う散歩はやっぱり楽しい。


【おしまい】

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