エクストリィィィム通勤
【登場人物】
「マオ」
社会人。
『魔王』
マオのイマジナリーフレンド。
『あれ、これ各駅じゃん?』
気がついた時には時すでに遅くドアが閉まった。
なんてこった!ホームをミスった!
普段は急行の止まる駅からバスを使うが、まぁ、各駅の駅からでもバス出てるから大丈夫でしょうと路線検索する。
しかし。
『お前これ通過待ちするから間に合わなくね?到着時間だいぶギリギリよ?大丈夫そ?』
「ダメそ。歩くしかない。」
なんとか遅刻は回避したい。
乗る電車間違えたので遅刻しますなんて恥ずかし過ぎる。どうにか対処できないか考える。
駅から歩いて30分....始業5分前に着くだろうか。
制服に着替えるのでそれは際どい。せめて10分前には着きたい。別の道は?
マップで調べると駅から歩いて20分ほどで職場まで着くルートを発見。
「初めての道だね。でも10分短縮はでかい。」
『コンビニないからお昼買えないけどどうする?』
「昼食と引き換えに信用を選ぶ!遅刻は絶対嫌。」
『おっけ、行こう!』
と言うことで朝から知らない道を冒険することになった。
超スピードで電車を降りて改札へ向かう。
『まって。』
「何💢」
『カロリーメイト売ってる。』
なんと大塚製薬の自販機があった。
ラッキー!昼食を調達。
「神に感謝。」
『......。』
「目の前の魔王にもね。」
『よし!』
5分歩いたところから知らない道スタート。山の斜面に家が建ち並んでおり、舗装されているとはいえかなりの登り坂だ。
『よくこんな斜面に家を建てたいと思うよなぁ。』
地図を片手に登る登る。
じっとりした湿気に生暖かい強風。
水の中を歩いているようだ。
『D.A.N.のTempestが合いそうな気候だな。聴く?...ダメだ。今お前の頭の中ドージャ・キャットのBoss Bitchが流れてるわ。』
「つよつよ女モードで不安を抑えてるの。」
ふヒへへへと彼はちょっと馬鹿にしたように笑う。
進むたびに坂が急になる。
普段から坂道や急な階段に寄り道して持久力をつけておいて良かった。こんな時に役に立つとは。
「4つ目の道を右...1...2...3...4つめ、ここか。」
『まるで絶対に間違ってはいけない呪いの儀式をやっているような真剣さだな。』
「どんな例えよそれ。いつもの散歩と違って絶対に迷えない時じゃん。」
『そんなに気を張るなよ。ピンチの時こそ笑え。よくいる魔王だって勇者に今から殺されるってのに”よくきたな勇者よ!“って笑顔で歓迎するんだぞ?やっぱ笑うってメンタルコントロール的に大切なんだよ。』
「何その魔王ジョーク。でも確かにそうだね。」
『だろー?』
ズンズン山を登りついに職場に到着。
「今....7:15!やった間に合った!!」
『15分で登ったのか!さすが我が生贄!』
イエーイ🙌と(心の中で)ハイタッチ。
もう今日は何が起こっても怖くない!
ある意味最強になった気分で仕事を始めることができ、めちゃくちゃ捗った。
歩くってやっぱりいいな。
でも電車は間違えずに乗るよう気をつけよう。
【おしまい】
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