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雑穢 #1001

雑穢とは、実際に体験した人の存在する、不思議で、背筋をぞっとさせるような、とても短い怪談の呼称です。今夜も一話。お楽しみいただけましたなら幸いです——。


 まだ小学校に上がる前のことだが、いつも実家の寝室に佇んでいる幽霊のようなものが見えていた。
 家で友達と遊んでいるときに「お姉ちゃんが寝てるから静かにしないと」と口にして、そんな人はいないと言い張る友達と喧嘩になったりとか、「お姉ちゃんがトイレにいたから後でもう一回トイレに行くね」などと言っては家族を困惑させたりした。
 その後も実家の寝室には「お姉ちゃん」は住んでいたように思うが、小学校に上がる頃にはあまり見なくなり、中学の頃には年に一度か二度くらい「今日は久しぶりにいるなぁ」と感じるくらいになってしまった。
 そして数年前に実家が建て替えられてしまったので、今は彼女のことを感じることすらできなくなった。それを少し残念に思っている。


It was before I started elementary school, but I always saw something like a ghost standing in my bedroom at my parents' house. When I was playing with friends at home, I said, ``My sister is sleeping, so I need to be quiet,'' and then I got into a fight with a friend who insisted that no one else was there. I'm going to go to the bathroom once,'' he said, confusing his family. After that, I think my ``big sister'' continued to live in my bedroom at my parents' house, but by the time I entered elementary school, I stopped seeing her so much, and by the time I was in junior high school, I only saw her once or twice a year, thinking, ``It's been a long time since I last saw her.'' It's gotten to the point where I feel that way. And since her parents' house was rebuilt a few years ago, she can't even feel her anymore. She feels a little sorry about that.

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雑穢

note版雑穢の前身となるシリーズはこちらに収録されています。一話130文字程度の、極めて短い怪談が1000話収録されています。

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