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雑穢 #1002

雑穢とは、実際に体験した人の存在する、不思議で、背筋をぞっとさせるような、とても短い怪談の呼称です。今夜も一話。お楽しみいただけましたなら幸いです——。


 小人というものが、本当にいるのかどうか、半信半疑でいる。通常ならそんなことを疑問に思う必要はないのだが、先日の法事の時に、叔母には小人が見えるらしいという話を聞いてしまったからだ。
 小人が見えるだけではなく、彼女には霊感もあるという。自分にはそのような感覚がないからとても不思議だ。
 その法事の後での食事会の際に、叔母は普段しないような奇妙な話の数々を、自分と妹の二人にこっそり教えてくれた。その中で一番印象に残っているのは、寝ている時に、叔父のお腹の上で何人もで大縄跳びをしている小人たちを何度も見ているという話だった。その時、叔父は苦しそうにしているらしい。起こしてあげようよと言ったが、叔母は笑っているだけだった。
 帰宅してから母にその話をすると、「霊感なら私にもちょっとあるわよ」と衝撃的なことを言っていた。このような能力は遺伝するのかもしれないが、自分たち姉妹には霊感がないので、きっと父方の遺伝子が強かったのだと考えている。


I'm a little skeptical as to whether dwarfs really exist. Normally, there would be no need to question such things, but at the memorial service the other day, I heard that her aunt could see dwarfs.
Not only can she see dwarfs, but she also has psychic powers. It's very strange because she doesn't feel that way.
At the dinner party after her memorial service, she secretly told both her and her sister a number of strange stories that her aunt would not normally tell. The most memorable story is that while she was sleeping, she would often see a group of dwarfs jumping rope on her uncle's stomach. Ta. At that time, my uncle seemed to be in pain. He said he would wake her up, but her aunt just laughed.
When I told her mother about this after she got home, she said something shocking: ``I have some of her spiritual power, too.'' Such abilities may be hereditary, but since none of her sisters have psychic powers, she thinks that her father's genes must have been strong.

次の話


雑穢

note版雑穢の前身となるシリーズはこちらに収録されています。一話130文字程度の、極めて短い怪談が1000話収録されています。

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