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両手に女子。ひとりぼっちの始発電車②(全3話)

かっこ悪く、切ない記憶

青く不器用だった記憶

だけど、それすら今は美しい。

「両手に女子。
ひとりぼっちの始発電車」

(第1話はこちら)


第2話

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

今僕の両隣には女子がいて、

薄いタオルケットの下、
僕たちは並んで寝ている。

あれはどこの誰だったかのかも
忘れてしまったが、

とにかく僕たちは
女子とコンパをすることになった。

大阪市内中心部よりも
南へ30分。

一戸建てやマンションが
建ち並ぶ所に
いまだところどころ
田んぼのある街。

そんな郊外に住む僕たちが
市内中心部、
大阪ミナミと呼ばれる
繁華街に行くのは、

ちょっとした遠征だった。

大したオシャレもないが、
気持ちだけは背伸びしていた。

そんなわけで、
コンパの相手が、

「大阪市内の女の子たち」

と聞いただけで、
みんな俄然やる気を出していた。

僕も負けじとやる気を出していたが、

男子校で柔道ばかり
やってきた男子には

女子に対する振る舞い方が
わからなかった。

大阪市内の飲食店で
アルバイトをする同級生が、

少し大人に見えた。

今日はその同級生が
「僕たち田舎者に施しを
してくれた」わけだ。

なぜこんな嫌味な言い方かというと、
この後の展開が僕にそう言わせている。

この頃の少し前に、
「あすなろ白書」というドラマが
流行った。

若い男女の青春を
描いたドラマだったが、

若い世代の人は
知らないかもしれない、

キムタクが、
「俺じゃダメか?」というドラマだ。

僕には、
男女のグループという青春は
まだなかったので、憧れていた。

市内の飲食店で働く彼は
それを持っていたので、

僕は嫉妬していたんだ。

かくして、
その同級生の自宅マンションで
5対5のコンパは開催された。

彼がこのコンパの主人であり、
僕たちは女子をエスコートする係だ。

軽快に冗談を交えた話を
する奴もいれば、

話を引き出し、
ひたすら聞き役に徹する奴もいる。

妙に気配りができる奴もいる。

僕はといえば、
澄ました顔をしているものの、

目が泳いでいたと思う。

別世界にひとりぼっちで
いる気分だった。

幼い頃、
近所に双子の女の子がいた。

その子たちと
僕はいつも遊んでいた。

虫を捕まえたり、
木に登ったりしている兄とは
対照的に、

女の子とおままごとを
しているのが楽しかった。

以前にも書いたが、
ある時点から、

僕は僕を書き換えている。

だから、
この時も本来の自分を
知らない間に覆い隠している。

そんなだから、
僕自身のイメージが、

「男っぽい、硬派な人」

を演出していた。

硬派な人は軽快なトークは
しないし、
妙に気が利いたりしない。

ほんとはチャラチャラしたい。

軽薄な感じに憧れた。

それは、
本来の自分と違うことをやっている
ギャップを埋めたい
と思っていたのかもしれない。

というのは、

もともと
なにも飾らなくても、
武装しなくてもいいんだ。

女の子とおままごとが
できる子だったんだから。

男女5対5。

数字は合っている。

しかし、

僕はあぶれてしまった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これは、

「両手に女子。
ひとりぼっちの始発電車」の第2話です。

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思ってくれたら、
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僕にとって
初めての挑戦になる

青春時代の心情と、
今の僕にどうつながっているのか
という物語を描いています。

僕が今やっていること、

それは僕の経験を通じて

たった1人の誰かに、
届ける手紙を書くこと。

本当に大切なことは
何だろうか?

という自分自身への
問いかけでもあります。

だから、
よかったらあなたの後押しが欲しい。

続きを書こうと思うんだ。

僕にとっても大切なことだけど、

僕が書くことで、
あなたに大切なことを
感じてもらうことが、

僕の仕事でもある。

僕にとっては、
大仕事のつもりなんだ。

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