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パンクな男とノスタルジア


2021年1月、ピッカピカに晴れ渡ったある日、
日本語学校に通う外国人のお客様がご来店された時の話。

通学用にパソコンが入るバッグを探しているとのこと。
時折言葉を探しながらだが、とても上手な日本語だった。

様々な形・大きさのバッグを提案しながら、
「フェールラーベンは、スウェーデンでは国民的なアウトドアブランドなんですよー。」
なんて話をしていると、ニコニコしながら僕の話を聞いていた彼から衝撃の一言。
「ボクはスウェーデン人なんです!」

あいやぁー。
なんで最初に言ってくれへんの。
お兄さん、ホンマいけずやわぁ。

なんてやっていると、さらに衝撃の一言。
「子どもの頃、友達みんなフェールラーベンのバッグを持ってた。でもみんなと一緒が嫌で、ボクは1度も使ったことありません。」
な、な、なんとパンクな男。
シド・ヴィシャスもおったまげ。
しかし、今まで頑なに避けてきたフェールラーベンのお店でバッグを探すなんて、彼に一体なにが!?


話を聞くと、コロナでスウェーデンになかなか帰ることが出来ず、慣れない土地で心寂しい日々が続いていたそう。
そんな時、ネットでFJALLRAVEN by 3NITY TOKYOの存在を知り、ちょうどバッグを探していたので見に来たとのことだった。

「フェールラーベンのバッグがたくさん。懐かしくって、このお店なんだか安心する。」
と笑顔になった彼を見て、なんだか僕もほっこり。

色々お試しいただき、30Lのバッグをお買い上げ。
それを背負い去っていく背中に、
「負けたらあかん、気張りよ!」
とエールを送ったのであった。


物事の移ろいが加速し、得ることよりも失うことの方が多くなった昨今。「大切なモノは失ってから気付く」なんて言葉はよく聞くが、まさにそんなことを考えさせられた。
コロナ禍で圧倒的に増えたおうち時間。
呼吸が聞こえるほど静かな時間を作り、改めて自分にとって本当に大切なモノとはなにかを考えるのもいいかもしれない。

なんつって。

『BUNP OF CHICKEN / supernova』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO 池守


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