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〇〇と僕『ぬ』~ぬけ毛と僕~

僕の髪の毛は、細くて真っ直ぐでサラサラだ。
そいつが最近、どうも心もとない。


札幌で暮らしていた頃に髪を切ってもらっていた美容師には、
「30代でツルツルってことはないけど、年をとるにつれて薄くなります」
と宣告されている。
しかしだね、最近30代を乗り切る自信がなくなってきた。


中学、高校と、髪を染めたことはない。
染めたいと思ったこともない。
ずっとバスケットをやっていたもんだから、伸びて邪魔になりゃバリカンで坊主の繰り返し。
そんで大学。
バンド活動を開始。
ロックっていやぁロン毛でしょ。
ってことでロン毛。
卒業してからもロン毛。
この頃はまだしっかりした艶やかな毛で、目の前には明るい未来が広がっていた。

そんな僕の毛が岐路に立たされたのは、26歳。
そこで僕は誤った道を選択してしまった。


26歳になってもロン毛でバンド活動。
ボロボロのジーンズとカーディガン。
完全にカート・コバーンへの憧れを隠せていない出で立ちで、マイナーコードを弾き散らかしていた。

そりゃあ売れない。
いくらやっても売れない。
「髪でも染めてイメージ変えようか。」
「そりゃあいいね。で、誰が?」
「ボーカルでしょ。」
「だよねぇ。……。って、お、おれ?!」
ってなわけで、僕は生まれて初めて髪を染めることになった。

やるならとことんやらなきゃね。
あたしゃ中途半端が1番嫌いだよ。
茶髪なんて染めたうちに入らんね。
よし、やったろうじゃない。
んで、美容室へ。
「染めるの初めてなんですね。何色にします?」
「銀!!」


まずブリーチを4回。
完全に色素を抜く。
艶やかだった毛は、テロンテロンの釣り糸状態。
頭から毛が生えている感覚がない。
そこに色を入れていく。
銀1色だけじゃコンクリートみたいな色になるからと、緑や青を重ねて色を作っていく。
そんで、美容室に入ってから4時間、ようやく完成。
クタクタの美容師。
ヘロヘロの僕。
テロテロの毛。

その後4年に渡って、僕は銀髪を貫き通した。
4年の歳月は、頭皮を傷つけ、毛を痛めた。
バンド活動の終焉とともに黒に戻したが、積み重なったダメージは残ったままだった。
とっぴんぱらりのぷう。


最近、抜け毛が増えている気がする。
髪もさらに細く頼りなくなっている気がする。
一寸先になにがあるかはわからないが、この先順調にいくとするならば、ちょうど人生の折り返し地点。
ギリギリまでしがみつきたい気持ちもあるが、みっともなくなるくらいなら、いっその事刈り上げる覚悟だ。

ある日僕が丸坊主で店に立っていた時は、そういうことだと理解して、温かい目で見守って欲しい。


『Coldplay / Yellow』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO 池守


『〇〇と僕』←過去の記事はこちらからお読みいただけます!是非!


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