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空飛ぶ卵

淀川には太古の昔から翼竜の卵が住み着いていると言う伝説がある。

親鳥は絶滅しているので、卵は大きく成長するが孵化する気配はない。

満月の夜、淀川河川敷きで耳をすませばさざ波に混じり、野生のうごめきが聞こえるだろう。

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大阪梅田駅前は都心化で開発が進み、近くを流れる淀川も河岸工事が続いている。卵は環境の悪化に耐えられず、親鳥を呼んでいるが親鳥からの呼び掛けはない。もう覚悟を決め、自分で探すようだ。

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ウメキタのビル街を彷徨ったが親鳥が居そうな豊かな自然は見えない。

見下ろすと、小さな働きアリたちがせわしなく動いている。

人間社会は平和の祭典の下で領土拡張の為に、共食いを始めている。

文明や自由は人間に狂気を目覚めさすらしい。

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もう淀川には帰れず、太古に親鳥のお腹で過ごした、巣箱に似たねぐらで深い眠りに着いた。

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大阪には卵が安住できる豊かな自然はない。

眠りの中で、親鳥の呼ぶ声が聞こえる。

親鳥の呼び声に従い、風に吹かれ、深い自然を探す旅に出る。

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