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瀑布に打たれる持国天のつぶやき

瀑布に打たれている持国天からつぶやきが聞こえる。
「自分が馬鹿だったのだ。人間を自由にし過ぎた。
お釈迦様は人間をいつまで甘やかすのだ。
人間は道徳や規律を忘れ、贅沢や自由に溺れている。
生きる権利を盾に我儘放題だ。
お釈迦様はそんな人間を優しく説得しろと指示された。
人間はもう私の説得などに聞く耳を持たない」

お釈迦様には人間の無知無計画で同じ失敗を何度も経験済みだと訴えた。「それでも人間に危機感や自立心を持たせろ」と言う。
もう地球環境には一発勝負で逆転は無い。
お釈迦様の甘い救済に手助けなんて出来ない」
持国天は瀑布に打たれ一心に修行をする。

持国天は雑念に戸惑っている。
「お釈迦様はもう人間をあてにしていないのではないのか?
人間が滅び、他の動物や生物が地球を再生する事を期待しているのでは?
お釈迦様は滅びゆく人間への望みを、最後に自分へ託しているのでは?
欲望の争いの果てにも戦いは終わらない、その先に終末が見える。
人間は贅沢から卒業し、心の渇きに耳を傾けろ。
独裁者の甘言や脅迫から抜け出す勇気を持て。
独裁者はどこにでも存在する。
一人一人が自立心を育む時代だ。
もう忠誠心だけでは未来は開かない」

私は持国天のつぶやきに静かに頷く。

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