見出し画像

ディスクレビュー: st / Downcast

US激情の原典、アルバムジャケットそのものが思想の塊

ebullitionの最初期のリリースでもあるDowncast。これを現代のエモ、激情好きの若者が聴いたときどう思うのだろうか。しょっぱいメタルコアだと思うだろうか。(実際メタルコアとして見ればしょっぱい部類だと思う)あまりにも現代の激情サウンドからかけ離れてしまっているが、彼らのようなバンドがいなければ今日の激情シーンも無い、ルーツとして重要な作品である。1991年作。
全体としては疾走パートのほうが多めだと思うが、1曲目『System』から曲のBPMを落とした遅いベースリフから始まっているのは全てを象徴しているような気がする。ギターリフなんかもメタル上がりだが、よくよく考えてみればブレーメンサウンドを確立させた同時期のドイツのバンド達も同じような手法だった。不穏さを醸し出す音の生々しさ、メタルとは違う感情剥き出しの怒りの叫び、スローパートでよれるビート。だが、その揺れ幅こそ重要だ。後の欧州激情のような構成美ではない。泥臭いロックのコアの部分がここにはある。音も歌詞も最高にカッコイイ。Work or Die。
そして何より音以上にジャケットブックレットに敷き詰めれた圧倒的分量のテキストも必読。英語だが現代のツールを用いればそこにある思想を読み取ることは可能だ。

tracklist:
A1 System
A2 De-Recognized
A3 Paradox
A4 From You And Me
A5 In This Land
B1 Grace
B2 They Are Not
B3 See
B4 Privilege
B5 Hope

Text by Akihito Mizutani (3LA -LongLegsLongArms Records-)
>> 購入ページはこちら

3LAのメルマガではレコードの新入荷情報やコラム、インタビュー記事などを不定期で配信しております。メルマガ配信希望の方はこちらからご登録ください。
>> 会員登録ページはこちら

3LA -LongLegsLongArms Records-
web: http://longlegslongarms.jp/
bandcamp: https://longlegslongarms.bandcamp.com/
instagram: instagram.com/3la_disc/
radio: mixcloud.com/LongLegsLongArms/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?