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missing you is killing me distroによるDaitro インタビュー (2006年)

説明:
このインタビューは2006年5月のDaitro Japan Tourを前にmissing you is killing me distroによって発行されたフリーペーパーに掲載されたものです。slydingman/no-eleの藤田さんからの頂き物で読ませてもらったことから始まり、ネットには上がっていないこの貴重な日本語のインタビュー...そして内容も今に伝えるべき重要な内容を含んでいると思い、今だからこそネットに公開させてもらえないかと打診させて頂きました。きっかけを与えてくれた藤田さん、そしてその申し出を許可してくださったインタビュアーMomo氏と翻訳を担当している吉武さん(killie/otoRECORDS/envy)にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

内容については2006年当時の文章をそのままに、実際の紙面で印字されている誤植以外はできる限り原文通りに掲載しています。今も激情ハードコア、Screamoを信じている人はここから得るものがあるはずです。

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Q1. どうもこんにちは、みんな元気にしてる?いきなり定番の質問で申し訳ないんだけど、バンドの紹介と今までの経緯とか教えてもらえるかな?

Julien (以下,Ju): ハーイさとみ&Momo!! インタビュー本当にありがとうね。まずDaitroについてなんだけど、メンバーは全員で5人で、Gwenがベース、Aurelienがボーガル、Samがギター、Benoitがドラムを叩いてて、僕がギターとコーラスを担当してるよ。もともとDaitroを始める前から僕はBenoitとSamと1997年頃からずっと一緒にバンド活動をやってきて、2000年から真剣に活動を始めようと思ってThomas(最初の2枚のリリースでベースを弾いてます)を迎え入れて、そこからDaitroの名前で活動を始めたんだ。それでヨーロッパツアーを3週間前に控えた2004年1月にThomasとボーカルだった人が抜けちゃったから当時MomoがボーカルをやっていたSimfelaっていうバンドでベースを弾いてたGwenと仲良かったからヘルプとしてツアーに同行してもらった。ツアー中もツアー後もGwenとは最高の時間を過ごせたからそのままDaitroのベーシストとして加入してもらったんだ。全てが自然に完璧なまでにいったから本当に満足してるよ。今のところDaitroではデビュー7inch、MiniCDを1枚、Raein/Lhasaとのsplit 10inchとCD、そして去年と今回リリースしたフルアルバムが今のところのディスコグラフィーだね。あとはいろんなコンピレーションにも参加してるよ。

Q2. メンバーの何人かがAlchimiaというレーベルに関わってることを知ってるんだけど、DaitroにとってもAlchimiaにとってもDIYと新しい活動や表現がとても大事だと感じるんだ。それに関してもう少し詳しく教えられるかな?君たちにとってもそれは大事なものなのか、それとフランスではDIYの思想は大事なものとして捉えられているのかな?

Ju: そうだね、僕におってDIYの思想は人間関係に基づいた新しい動きと表現の創造と刺激である一方で、僕たちが住むこの消費と奇怪な社会に対する反抗と忍耐を得るための大切な考えであると思うよ。自分の周りにいる人達に対して、自分達はただ国の言う事に従ったり働いたりしてそれが代価に変わることを望んだり、頼ったりしなくても自分達でほしいものを手に入れられることを見せることが大切だと思うんだ。それは例えばバンドでツアーしたり、自信を持って作ったアルバムをみんなに聞いてもらったりする事によって得られたりするし、別にロックスターになってみんなからチヤホヤされる必要はないんだ。世界中に張り巡らされているこのDIYネットワークは、すべて人と人の間にある信頼と尊重の関係によって出来上がっていて、僕は強くこれを信じているし、DaitroもAlchimiaもこのシーンに関わっていることが非常に意義のあることだと思ってる。そうだな、フランスでもDIYの思想は広がってるんじゃないかな... まぁ、アメリカほどではないかもしれないけど、ここ数年では良い考えを持って取り組んでいる人が増えてきたと思う。DIYのレーベルもここ2年くらいで急激に増えてきたし、これから彼らがどれだけアクティブに活動して続けられるかが楽しみだし、肝心だよね、それはバンドにも言えることかもしれないけど。

Aurel (以下,Au): DIYは僕らにとって重要なことだよ。自分自身を表現するための一番の方法だと思ってるから。僕らがやっていること、やろうとしていることはDIYムーブメントの一部になっているんだ。DIYムーブメントは完璧じゃない、だって僕ら人間のやっていることだからね。だけどDIYってのは尊敬・信頼・友情なんかからできてるんだ。あきらめ、無関心を生み出す資本主義の利益や競争とは全く違うとてもオルタナティブなモノなんだ。
他と比べようがないからこのムーブメントがフランスにおいて重要なことかはわかんないけど、今話したように、ものすごく人間的なことで、重要なのはこのムーブメントに関わる人の数じゃないんだ。一番重要なのは少人数でもその人達がどれだけDIYムーブメントにハマっているかってことなんだ。

Q3. 日本のパンク/HCシーンをどうみますか?現状として問題点が多いと私は思いますが、あなたはどう思います?あと、ヨーロッパに住む人達はどれくらいアジアのシーンで起きていることに関心を持ってますか?よくアジアの人達は自分達の音楽とか活動を海外にまで及ぼそうとしていない傾向があるけど、それもどうか教えてほしい。

Ju: とりあえず僕は日本のシーンには良い面と悪い面があると思う。個人的にはGauze, Nightmare, Disclose, The Comesとかが好きで、最近ではTotal FuryとFramtidが好きなんだ。日本のHCシーンは大好きだし、すごく興味を持ってるよ。激情のシーンにおいてもDipleg, Heaven In Her Arms, Envy, 1000 travels of Jawaharlal, There is a light that never goes out, killie, 3cm tour, Nitro mega prayerがすごく好きだね。ただ残念なことに、ごく少数の日本のバンドしか海外にツアーをしたり音源を出したりして自分達の活動を広めようとしないし、逆にくだらないアメリカのバンドがしょっちゅう来てるよ。あと日本にはヨーロッパのように発展したDIYの精神だったり、活動がそこまで大きく存在していないことが一番の驚きかな。スクワットがないと聞くし、DIYなDistroをしてる人も少ないし、HC自体がこっちのように極左的/アナーキー思想的なものはなくて、あまり政治的な関わりを持たないと聞くしね。日本人はあまり自分達がやりたいことを自由に表現出来ていないのがかなりの驚きかな。間違ってなければいいんだけど、アメリカにはたくさんのアナーキー思想を持った機関があるのに、日本には極少数しか知らないしね。ヨーロッパの人が日本に惹き付けられる理由としては、経済的にも技術的にも欧米とひけをとらないにも関わらず、まったく異なる文化と宗教、生き方が存在していてそれが私たちを刺激するんだと思う。日本人がヨーロッパに魅力を感じると同じように。でもその一方でヨーロッパの人達は、日本人に対しての過労働、宗教の混在が生活の中にあることでとても「おかしな人種」であると思っているのも事実じゃないかな。まぁ、これについては難し過ぎるね、実際に日本に行ったこともないからさ笑 行ってからのお楽しみだね。

Au : 正直なところ日本のパンクハードコアシーンはおしゃれなバンドやキッズが作った一種の流行のように見えるんだ。何人かの人々(ごくわずか)はそうじゃないけどね。間違ってるかな...。日本(アジア全体)のシーンについて十分な情報が僕らにはないからかな。なぜかはわかんないけど。僕のセオリーとしては、もし僕の思っているとおり、日本のシーンが流行モノだとするなら、これらのキッズは友達や家族のため以外には行動しないだろうしね...。 本当は、それは島国独特の傾向だと僕は思ってる。イギリスのパンクハードコアシーンについても、僕らはほとんど何も知らないからね...。アイランドメンタリティーかな...。アジアの人達は自分達の音楽とか活動を海外に広めようとしてないと思うかって????それは僕には判断できかねるなぁ...ごめんね....。

Q4. ここ日本ではあまりフランスのパンクシーンについて知ってる人は少ないんだ。少しその辺りについても説明してもらってもいいかな?今どういう状況で、今に至るまでどういう経緯があったのか、それとこのパンクムーブメントに関わってる人増えてきているのか教えてもらえないかな?

Ju: これは難しい質問だな(笑) そうだね、この一連のパンクムーブメントに関わってる人は増えてると思う。ただ残念なことにエモに対するミーハーというか、流行りみたいなのも芽生えて来ているのも事実で、それはHCのシーンや考えからほど遠いものなんだ。これに対しては僕は嫌な気持ちがあるんだけど、それでもDIYな考えを持って商業亭な手法を取らない活動をしている人もいっぱいいるからあまり気にしないようにしてる。フランスのシーンは非常に活発で、フランスのレーベルが海外のバンドをリリースしたりツアーを組んだりしてるし、フランスのバンドが海外でツアーする機会も増えて来てるよね。しかもフランスではどこに行ってもライブは出来るし、フランスの隅から隅までディストロをやっている人はたくさんいる。昔に比べて政治的なメッセージ性を持った活動や音楽は少なくなったけどね。でも、それはHCと政治の関連性が段々薄れていっているからじゃないかな、少なくとも無意識の内にね。

Au: 他のシーンと同じように友達と、ショウやバンドやレーベルをやってるよ。シーンがどのように動いて行っているか僕は教えてあげられない。なぜならそれはそれぞれの人々によるものだから。それに僕は神様じゃないしてん...。だけど、日々このシーンに興味を持つ人が増えていっているのは確かだと思うよ。それと同時にこのシーンから離れていく人もまたありきで。時間がなかったり、モチベーションが下がってきたりしたんだと思うよ。いい人たちに出会えなかったか、パンクハードコアシーンをエリート主義だと感じたんだろうね...。一般的に人々は、僕らのことをエリート主義が偏屈なヤツだって思ってるみたいなんだ。ただ彼らが僕らのことをよく知らないだけなんだけどね。

Q5. 歌詞を読んで思ったんだけど、すごく「美しい」と感じた。詩的であると共に、歴史、人間関係、疎外感といったいろんな要素を含んだおもしろい内容になってると思う。自分達にとってDaitroは政治的メッセージ性の強いバンドだと思う?バンドをするにあたってそれはやっぱり重要なことなのかな?

Ju: 歌詞は主にボーカルのAurelienと僕の二人で書いてるんだ。僕は少なからずあまり個人的なことは書きたくないし、むしろ皮肉っぽいことを書くことが多い。歌詞を書くにあたって一番影響を受けたバンドはDropdead、Ekkaia、Lisaboのフルアルバムで、彼等が書く西欧社会に対する皮肉の視点がすごく好きなんだ。正直Daitroは政治的な要素を含んだバンドだとは思わない......なんていうか、別に僕達は鮮明な政治的メッセージは持ってないし、そういう立場を持とうとも思わない。まぁ、完全に政治的な要素を含んでいないわけでもないけど、「政治」という言葉に対しては慎重に考えようと思うんだ。僕たちは兵士でもなんでもないからさ。僕達はパンク/HCのカウンターカルチャーが自治権、創造、自由、友情、団結、平等といった価値の保護や権力、性差別、縦社会に対する戦いを含んだ動きだからこそこのシーンに興味を持って入ってきたけど、バンドでそれを訴えようとは思わない。だからこそ、僕達はAlchimiaというレーベルを通してCDをリリースしたり、企画をたてたりしていろんな人と関わることが肝心だと思うし、人からお金を巻き上げようとも思わない。第一、僕が思うに、こういう音楽をやっているからこういう考えを持たなければならないというのはおかしいと思うんだ。HCもそうだし、一般的に音楽もそうだと思う。DropdeadとSinaolaはまったく違うことを歌っているけど、そこに共通の自分達の信念と誠実さはあるし、他のジャンルにはない多様な思想と信念を共有できるシーンであるからこそHCが好きなんだ。僕はそこに注意深く耳をすませたい。誰かがこういうから自分もそうするとかではなくて。確かにHCが政治と関係性を保った方がいい面はあると思う、それはパンク/HCが社会問題や政治に対する怒りによって生まれた音楽だし、そうすることによってDIYやそのネットワークが強く大きくなってきて自分達だけでも出来ることを証明する手立てになったわけだから。今でも自由や平等を訴えかけるためにこの怒りは大きくなって来ているわけだけど、だからこそ「政治」という言葉に対して僕は慎重になるんだと思う......

Au: 僕らはポリティカルバンドじゃないよ。僕達は政治的メッセージを含む活動はやってないからね。ポリティカルバンドに親近感は感じているよ。僕はバンドを通じて人々と人生のアイデアをシェアしようとしてる。何らかの票(考え)を誰かに押し付けることじゃなくてね。音楽と政治が関わりを持つべきなのか、僕は何ともいえないな。だってそれは、各個人の考え方によるし、メッセージは時々誤解されることもあるだろうしね。どんな種類の政治思想でも夢中にはなりたくないし。僕は誰かに聞いたことじゃなく自分の目で見て、ちゃんと考えるようにしてるよ。みんなもそうだったらいいんだけど。僕はメッセンジャーじゃない、自分のしたいことをするだけだよ。

Q6. 政治的な話になるけど、最近人種差別/ホモ拒絶を訴えるJ.M.ルパンっていう酷いフランスの政治家について聞いたんだけど、この人ってフランスではまだ支持されているの?こんな人が実権を握ると考えると、フランスの未来が本当に心配になるよ。あとSarkozyとDe villepinっていう政治家についても。彼らについてはどう思う?

Ju: 最近はあまりルパンと彼の政党"National Front"に関しての話はあまり聞かないかな。彼の娘が次の幹事長になるとは聞いたけど...選挙前になると彼らは同性愛の根絶だったり、人種差別を掲げるくらいで、ただそれでも15%の票をフランスでは得るから本当におかしな国だと思っちゃうよ。でも何より怖いのは最近新しく結成された右翼派のSarkozyとVillepinなんだけど、完全に真っ向から彼らに対して対抗する政党がいないんだ。社会民主党は内側のごたごたでめちゃくちゃになってるから、ほとんどこの右翼的な政党が実験を握っている状態にあるんだ。それによって政府は移住だったり、労働、義務に対して右翼的な思想を働かせてるんだ。まあ、彼らの計画はこんな感じだよ。Sarkozyは他の人に圧力をかけてVillepinが彼を華やかなスピーチでそれをサポートする(女性からの人気が半端ないしね)。ただ、俺の意見からすれば、次の大統領はVilepinになるんじゃないかな。Sarkozyはただの目立ちたがり屋で頭が悪いし、逆にVillepinは目立たずにその人気を勝ち取る方法を心得ているからね。けど問題なのは、誰が大統領になろうと、二人とも右翼的な思想に基づく同じ価値観と目的があるから右翼政治になってしまうのは変わらないんだ。本当にこれは僕達フランス国民にとって恐ろしいことだよ。2007年はまだ誰に投票するかわからないけど、間違いなくこいつらには票を入れるつもりはないよ。

Au: Le Penはミステリーだね。大きな政治問題のたびに彼のことを耳にするよ。フランスは民主主義の国だし、本当に彼がjewsに関して愚かな不法なことを言っていない限り、僕らは彼に何の文句もつけれないんだ。SarkozyとDe Villepinの間には、大統領選という大きな戦いが控えているから、彼らは大人しくしてると思うよ。彼を恐れる必要はないと思うな。Sarkozyが2002年の大統領選(前回)にLe Penに投票した民族を唆しているので、彼はちょっと危ないかな。彼は右翼の政治家で、フランスのメディアを統治するすべての人々とグルだし、僕らは毎日TVや新聞、ラジオで彼を見かけるだろうね。彼は全く社会的じゃなく、すべての自由主義のばかなやつに近い感じで、フランスのすべての移民に非常に失礼な行動をするヤツなんだ。De Villepinが非常に魅力的な男で女性にモテモテでも票には繋がらないんじゃないかな。Sarkozyみたいにメディアの権力も持ってないし。だけど彼は、すごい力を持ってる現行の大統領シラクと仲がいいんだ。彼もまた右翼だけど、Sarkozyほど無礼なヤツではないね。

(3LA注: その後、2007年の選挙ではサルコジが大統領になりました。退任後は汚職事件などで起訴され、最近も裁判中。2021年には有罪判決も出ていますね。)

Q7. 日本ではパリとかにおいて暴動が多くて、街が燃えたりしてブラウン管を通してすごく怖い記憶を持つことが多いんだけど、今でもそういうのはあるの?フランスの街の治安はどうなのかな?家族とかに怪我はなかった?メディとかもそういった報道に関してはどういう反応を見せるのかな?

Ju: どうやら海外のメディアはフランスで起きたことを少し間違った伝え方をしているようだね。別に内紛とかそういった類のものではないよ。雇用問題に悩まされる田舎に住む若い世代の人たちがフランス政府に対する残虐で自発的反抗としてああいうことをやったんだ。フランスの中心部では、彼らに対して密かな差別心があって、そういう田舎の若い世代の人たちは暴力でしか自分達の声を聞いてもらうことが出来ないと思っているんだ。田舎に住む人のほとんどはマグレブから来てることから、この問題はアルジェリアん戦争と少し混ざり合っていて、戦争が終わった後たくさんの人がフランスの中心部に仕事を求めてやってきたんだ。ただ、当時のフランスの経済状況は第二次世界大戦が終わったばかりで、すべての人達を住まわせるのは無理だったんだ。そこで政府は早急に田舎に住むための建物を建てたんだけど、これがひどいもので、多くの人達はここで共同生活を強いられたんだ。田舎では宗教団体や麻薬の問題とかが多くて......もちろんこれは田舎に限った問題ではないけど......とりあえずね、もしこれについて話しがしたい日本人の方がいれば、是非僕達と連絡を取ってほしい。俺の拙い英語でこれをメールで説明しても、誤解される可能性もあるし、真意は伝わらないと思う。この問題は特に難し過ぎる。

Au : メディアはこの暴動に関して立派にプロパガンダを成功させたみたいだね。Good job!と言ってあげたいよ。実際はこの暴動はそんなにひどくなかったよ。僕が住んでる街では何もなかった。車や廃屋がいくつか燃やされたりはしたけど。メディアは大騒ぎしすぎだね。人々を怖がらせるために...。世界中の町々でもそうであるように、フランスの町も治安が良いとは言えないよ。確かにあの暴動で被害を受け、つらい生活を今強いられてる人々もいるけど、1968年に起こった大きな学生の暴動よりはマシだったと思うよ。

Q8. 実はその問題を訊いたのも、日本ではなかなか世界の出来事がうまく伝わって来てないと私は思うから。フランスでも同じようなことは起きてない?ちゃんと報道は行われてる?地震だったり、マンガだったりそういった以外の中国、北朝鮮との摩擦に関する報道とか。日本を見てどう思う?

Ju: そうだね、フランスでは日本の報道はほとんどないし、だから地震とか過労働とかそういった偏見が強く存在していると思うんだ。まあこれはほんの一部の事実にしか過ぎないけど、本当ごく少数の人しか日本に対して興味は持ってないよ。でも、ついこの前日本に関する本を買って読んだんだけど、本当に興味をそそられる文化と生活形態を持っていると思うし、ヨーロッパに住む人間としては考えられない事実が多い気がする。どのようにして現代文化と技術が精神論と融合するのか、どのようにして異なる宗教を一人の人間が生活の中で取り入れているのかとかね。とにかく、日本に行って少しでもそれを理解しに行くのが楽しみで仕方ないよ。

Au : 人々は自分の家の周りで起こったことにしか興味がないんだ。彼らに迷惑がかからない限り興味を持たないんだろうと思うよ。そうだね、メディアでは十分な正しい情報は得られないよ。そう、だから僕らが自分で読んで、聞いて、見て、真実の平和を探さないといけないんだ。
日本に関しての情報は全くと言っていいほど無いよ。一番最近、ニュースで見たことといえば、テレビゲームを真似て日本のティンエイジャーたちの間で自殺が流行ってるってことだった...。そんなこと信じると思う????数人(ジャーナリスト)がこんな馬鹿げた情報をフランスのニュースで流してるんだよ。大多数のフランス人にとっての日本人のイメージといえば、肩に25個のカメラをさげてエッフェル塔の写真を撮ってる科学技術の進歩した仕事中毒の旅行者って感じなのかな。

Q9. OK。それじゃ音楽の話しに戻ろうか。日本人はフランスのバンドを思い浮かべる時、Jasmine、Anomie、Fingerprintとかを挙げるけど、そういったバンドからの影響ってあるの?何らかの形でこれらのバンドとリンクするところがあると思う?あとその他の影響(本、バンド、映画、アーティスト)とかあったら教えて。

Ju: うーん、そういったバンドからの影響っていうのはあまりないかな。もちろん僕らはそういったバンドのDIY精神を受け継いでるだろうし彼らのそういった活動に興味を持っているけど、音楽的な面での影響はそんなないと思う。音楽的に言えば、Sinaloa、Yage、Children Of Fall、Breach、Lisabo、Envyとかの影響が強いかな。多くの異なるジャンルのバンドに影響は受けてるし、フランスのHyacinthとSed Non Satiataとかの新しいフランスのバンドの演奏から楽曲にも影響を受けるしオススメだよ!あとフランスのHCシーンについてドキュメンタリーを書こうと思ってるし、それについてすごく調べてる。あとはFoucaultとかDebord、Beaudrillardとかを読んで現代の革命について知るのも大好きだよ笑 あとはコミックとかも読むけど、そこまではハマってないかな。気が向いたら買う感じだね。

 Au : このバンドたちはヨーロッパでもすごい人気だよ。昔僕が初めてのバンドでドイツにツアーにいったとき、ドイツの人たちはフランスのバンドはFingerprintしか知らないって言ってたのを覚えてるよ...。僕らはたぶんこれらのバンドに無意識に影響を受けてると思うよ。なぜなら、僕らの進む道を示してくれたし、彼らの考え方は僕らには新鮮で衝撃的だったから。だけどこの頃は、本当に彼らのレコードを聞かなくなったなぁ...。他にも聞くべきレコードがたくさんあるからね。彼らはクラシカルで、僕らは彼らを知ってるし、彼らのメッセージも知ってる。それが一番重要なことなんだよ。

Q10. ここ最近に出した作品(アルバム、オムニバス)はいろんなヨーロッパのレーベルから出てるみたいだけど、それはどういうきっかけでリリースすることになったの?そういう誘いだったり、話があった時はどういう風にバンドをマネージメントしてるの?

Ju : 嬉しいことにすべて友達とかによってリリースされたものなんだ。別にでもとかを送ったわけでもないし、ツアーとか手紙、メールを通して仲良くなったレーベルの人とかと作り上げた自然な流れだったんだ。まあ、僕達はレーベルを選べるほど有名でもなんでもないし、すべてみんなのおかげです(笑) 僕達の作品を出したいという友達が話を持ちかけてきて、それでOKを出しただけなんだけど、僕達にとっても彼等にとってもすべてうまくいったから嬉しく思うよ。これがDaitroにとって一番理想の形だし、パンク/HCを通してこういった誠意と友情を感じることはすごく励みになるし、頑張ろうと思える。みんな本当にありがとう。

Au : 僕らは今まで一度も僕らのレコードをリリースしてくれるレーベルを探したことはないよ。ただシンプルに、何人かの人が僕らのやっていることに気づいてくれて、それを好きになってくれたんだ。だから僕らがレコードをリリースしたレーベルは、皆、知り合いや友達ばかりなんだ。そして、それはとてもありがたいことだと思っているよ。
僕らのバンドのあり方は完全にDIYスピリットだよ...。自分達のツアーは自分達で組むか友達が手助けしてくれたりね。人を雇ったこともないし、金儲けのために誰かに何かをさせたこともないし。数ヶ月前かなぁ、ある男が僕らのツアーをブッキングしてもいいかって尋ねてきたんだ。彼はバンを借りたりとか、すべて任せてくれって感じだった。僕らもその話に結構乗り気だったんだ。チケットの売り上げの10%が彼らの取り分になるってことを聞くまではね...。そしてさらにその男は、チケットの売り上げの10%とは別にDaitroのギャラとして、各地のライブを企画してくれる人々に、お金を要求するってことがわかったんだ。そしてもちろん、その話は断ったよ...。僕らに本当に協力してくれる人たちには常にフェアでいようと僕らは考えてるからね。

Q11. あと少ししたら初めてヨーロッパ以外の海外、特に日本に初めてツアーしにいくんだけど、今の心境はどう?このツアーをどう想像し、何を望むのかな?何か心配なこととか、今までのツアーとは異なる点を感じる?

Ju : あーもうかなりみんなエキサイトしてるね!!僕にとっては人生、というより何かを1から始めて世界とそれを共有して表現出来ることが素晴らしいことに感じるよ...まさかこんな風になるとは予想もしてなかったからね、なおさら興奮するよ。音楽を始めた時は、海を飛んで自分達の音楽を演奏するなんて考えたこともなかったし、自分達を呼んでくれたことを光栄に思うよ。そういう仲間が世界中にいることはすごく幸運で、自分達が恵まれていると思うし、こういう機会を与えてくれた人達に本当に感謝してる。特に何年もコンタクトを撮ってるYoshi(otoRECORDS/killie/cleaner)と会うのはすごく楽しみにしてるよ。よく連絡を取ってるし、彼と一緒に時間を過ごせると考えると魔法のようだね。今回一緒にツアーを回るHeaven In Her Armsのケントとメンバーの人達もそうだし、僕達の大好きなフレンチ兄さんMomoとサトミに会うのも楽しみで仕方ないよ。クリスマスプレゼントを待つ子供の心境だね(笑)。このツアーはとにかく感情的に高ぶりが止まないツアーになるだろうし、回る一つ一つの美しい場所で一生懸命プレーすることを楽しみにしてるよ。

Au : そうだね、かなり不安だよ。なんせ初めて飛行機に乗るからね(笑)すごく興奮してる一方で、あまり高望みはしないようにしてる、いろんなことで落ち込んじゃうが嫌だからね。でも、今まで通り自分達のツアーとライブをやって、自分の人生においていろんな意味を持つようなツアーになることを期待してるよ。いろんな友人に会えるしね、誰だかはわかってるよね?(笑)

Q12. フランスで幸運にもみんなのライブを見ることが出来たんだけど、すごく好きだったんだ。感情を強く感じ取ることが出来たし、お客さんと言葉を交わす以上に、もっと奥深いところでの一体感を生む演奏とパフォーマンスには本当に感動したよ。笑の言いたいことがうまく伝わっているかわからないけど、ライブとかツアーの時はいつもどのような心境で演奏したりしてるのかな?みんなにとってはそれは自分の奥底を表現する上で大事なもの?あとDaitroのライブはどんな感じか説明してもらえるかな?

Ju : そうだな、とりあえず僕は自分達の演奏とかを外からは見えないから、君が思ったことが一番Daitroを表してるんじゃないかな(笑)僕達にとって音楽を演奏したり、作ったりすることが一番誠実で正直であれる時なんだよね。音楽はすごくおもしろくて、バンドのメンバーでしかわからないような言語を生むような感覚で、お客さんにもそれを感じ取ってもらえることがテーマだよね。「ライブとかツアーの時はいつもどのような心境で演奏したりしてるのか?」うーん、いい質問だね。僕にとってはこの世界で音楽以外のものでこの独特な感情は得られないんだよね。なんていうか、こう音の壁が自分に強く迫ってきて、メンバーのエネルギーを強く感じながら演奏することによって得られる満足感って本当に独特なものなんだ。もしお客さんに同じように感じ取ってもらえるなら、この感情はさらに強くなっていくしね。ステージ上でギターを投げたり、去ったりして音楽によって生まれる感情に僕は侵食されることはよくあるし、それは音楽の本当にすごいところなんだと思う。今バンッドは僕にとってすごく複雑なもので、個人的にいろんな感情や想い、エネルギーを起こさせて自分に自信を持たせてくれる一方で、DIYの精神の元で活動することが自分達にとって一番の表現方法だし、会社に頼らなくても自分達だけで自分の音楽を発信出来るし、本当に自分達に与える影響は計り知れないんだ。Daitroの音楽はステージでも外でも感情を大事にしているよ。

Au : ライブの時はとにかく「自分達の音楽」を感じ取りながら、発散するように心掛けてるよ。たとえハコが満杯であろうが、1人しかいなかろうがね、お客さんの動員数は関係ない。僕は自分を表現することと、自分の想いを人に伝えることはすごく幸せなことだと感じてるし、だからこそライブを作り上げてるお客さん一人一人が何かを感じ取りながら僕達と何かを共感してもらうことが重要なんだ。僕は歌ってる時に自分が伝えたいことを全身で感じ取りながら、それに共感する人たちと一緒にライブの空間を思う存分楽しみたい。一緒に肩組みながら歌ったりとかね!もちろん日本でもそうしたい!ライブでボディーコンタクト(もちろん一方的で暴力的でないもの)を嫌う人はたくさんいるけど、自分達の想いを伝える一つの方法であると思うし、僕は重要なことだとつくづく思うよ。Daitroのライブで一番重要なのは、素直に、正直にプレイすることだね

Q13. japanツアーの前と後の予定を教えてくれる?

Ju : ツアーはフランスで腐るほどライブをやって、3月にアメリカのAmpereとSinaloaとミニツアーをやるよ。あとJapanツアーの後は、アルバムのCDをリリースしてくれたチャーリーのためにイタリアでいくつかライブをしようとも考えてるよ。その他にもSed Non Satiataとのスプリットのレコーディングとか、年末にもう一度ヨーロッパツアーをやろうかなと考えてる。めちゃくちゃな年だね(笑)

Au : もしかしたら2006年の終わり頃にもう一度ヨーロッパツアーをやるかもしれない。あとはアメリカの超かっこいいバンドAmpereとスプリットを出したりね。それとtoulouse出身のすごく仲の良いSed Non Satiataと一緒に来年の夏アメリカに行けたらいいなと思ってるよ。楽しみにしてて。

Q14. ありがとう、じゃこれで最後だけど、何か日本の人達に伝えたいことがあれば、最後にメッセージお願いします。

Ju : インタビューありがとうSatomi。まず何年も僕達をサポートしてくれたYoshiに感謝してるのと、彼と一緒に時間を過ごせることを本当に心待ちにしてる。それと今回ツアーを一緒に回るHeaven In Her Armsのみんなに本当感謝してるし、こんなかっこいいバンドと回れることがすごく光栄に思う。特にツアーを企画してくれてるケントには本当感謝してる。こういうツアーが組めること自体すごく僕達は恵まれてると思うし、関わってる人達に多大なる感謝の意を表したい。このツアーは自分達の生きてきた中で一番ぶっ飛んだものになるのは間違いないし、楽しみにしてるよ。あとMomo...本当おまえには言葉には表せないほど感謝してるよ。僕達にとっては君は欠かせない存在だ。ちなみにもし役立つならフランス後を少し....

merci(メルスィー)=ありがとう!
salut(サリュー)=こんにちわ!

ツアー行く前になんとかして「どうもフランスから来た大トロです」って言えるように頑張るよ笑 だから僕達とHeaven In Her Armsを観に来てね!!みんなと会うのを楽しみにしてるよ!

Au : これは音楽だけの話ではない
CDやシャツを買うだけの話ではない
ファッションや着飾りでもない
これはみんなが平等に生きられる世界を作ることなんだ
善くすること、誰にでもできることだ、信じれば、行動すれば
判別せず、許しを
読んでくれてありがとう
あとはみんな次第だ

日本で会おう
ありがとう

お疲れ様 otsukaresama [おつかれさま] merci bien (de vos efforts)
有り難い arigatai [ありがたい] merci / reconnaissant

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