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2024年10月 売上ランキング / レコード屋で売れる作品とライブ会場の現場で売れる作品は違う

10月は久しぶりに3LA主催のライブイベントをした。
スペインのSVDESTADAのボーカルはKhmerでも2度来日しているMarioで、ギターのFerは前年のAsakusa Deathfestで来日したTEETHINGのメンバー、今回の来日はもちろんAsakusa Deathfestをメインにしつつその他日程の主催を分担するような形で実現された(他日程の詳細は詳しくは知らなかった)。最新作のリリース元が3LAとはいえ、自分単独では来日をしてツアーをしてというところまでは実現できなかっただろうと思う。金銭面だけの問題でなく、そもそも東京以外でのイベントを主催してバンドのケアもしながら一緒に回るということは中々に難しい。一方メタル界隈のツイートでは費用をペイするためにはチケット代を高価にする他ないという意見も見られ、そうだよなチケット代だけでペイしようと考えるとそうなるよな、とも思うが、何より我々レベルの招聘というのは友人同士のそれであり厳密には興行と呼べるような代物ではないので別物だと思う。ペイするというよりは負担を一部に集中させないよう分散し、来日したいという強い想いを持つバンド側にももちろん費用を負担してもらう。でもこれがイーブンな関係だと思う。友達なんだから。

SVDESTADAのCDについては初回プレスは海外側との共同だったため100枚しか国内で流通していない。それが売り切れてから2ndプレスを行ったのだが、合計しても200枚も国内では売れていないと思う。それくらい小さい規模のバンドなので来日公演をしてもCD買ってくれた全員が来たとしてもと普通のライブハウスではソールドしないと判断して、スタジオライブに近い雰囲気にはなると思うけど規模の小さい西荻窪FLATで開催することにした。Vive Bergradoのライブもここで見ているけど、普通にライブハウスでやるよりも一体感が生まれやすいとも思うので、規模だけではなくてその箱の特性も考慮している。2014年のHexis Japan Tourでもここを初日にしているけど、ツアーの初日をするにはかなり良いシチュエーションが作れる場所だと思っている。

そういうことなので、ライブとしての売上云々ではなくて、SVDESTADA初日を共演するに相応しいのは誰かという基準だけで国内バンドに声をかけており、日本国内で希少なネオクラスト要素を持つILIAS、そしてSVDESTADAからも共演を熱望されていたlang、かつブラッケンドとして国内希少なPale、つまりはKhmer来日時の繋がりも若干意識しつつ、これで赤字でも知らねーよという意識で組んだイベントで、幸運にもそれはうまく転がり、当日はソールドしたしバンド側もこの日が特別だった(それはSVDESTADAを見に来たオーディエンスの割合が一番濃かったという意味で)と言わしめた盛り上がりを見せ、物販はかなりの勢いで売れていったのだった。途中なんどか物販に溜まった紙幣をFerに渡しに行くくらいツアー初日でかなりの物販が売れたと思われる。ちなみにツアー中に大きいサイズのマーチはなくなりコーナープリンティングに急遽追加で生産してもらうほどだった。みんながめちゃ買ってくれたおかげで、ツアー全体での赤字金額は想定よりもかなり少ないものになっていると思います。

レコード屋で売れる作品とライブ会場の現場で売れる作品は違うと思う。ライブの現場では、その記念品という意味合いが強くなる。良かったライブの記憶を持ち帰るものでもある。なので、バンドはその記念品としての価値を高めるべきだし、素晴らしいライブをする必要がある。
しかし、レコード屋での作品はそれとは違う。ライブがいくら良いとか関係なく、アートワークや音源のクオリティとして高いもの、作品として優れている必要がある。そしてその作品に何度も注目があたるよう作戦が練られているかどうかでレコード屋で売れるかどうかは決まる気がする。つまりリリースしました、レコ屋に置いてもらいました。それだけで売れるほどこの仕事は甘くはない、そんな楽な仕事ならみんなレコード屋やってる。
フライヤー配ったか?インタビューとか誰かに頼んだか?MVを作ってリリースのPRをしたか?
してない?そうか〜。おつかれ。

10月の売上ランキングです。


No.1 AGATHA - AGATHA
久しぶりのリリースは遂にアルバム、都内マスロックAGATHAは数年前のquiquiレコ発以来会えていないような気がしますがリリースの声かけてもらって嬉しかったです。現在メンバーの体調的な部分でライブが出来ないようですが、それも乗り越えてレコ発をしてもらいたいですね。
https://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=3115


No.2 Habak + Lagrimas - split
3LAからアルバムリリースして、そのトレードによってHabak関連作品はたくさん入荷されましたが、その中でも最新となるLagrimasとのスプリット作はかなり売れました。どちらのバンドも超RAWだし戦ってる。このスプリットは近年このジャンルでも相当良いところに位置すると思う。
https://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=3105



No.3 ILIAS + the un - The Stranger's howl
SVDESTADAライブから販売開始した日本国内ネオクラストスプリット、入荷後なるはやでwebアップしましてなんとか10月のランキングに間に合いました。ILIASは自分でもニュースクール派生のネオクラスト経由と言っている程なので、北欧勢のようなビートとは違うんだけどこれはジャパン感としてアリなんだよなと今は確信を持って言えます。
https://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=3118


No.4 青い薔薇 (aoibara) - Aster
前作EPがめちゃくちゃ売れた大阪の女性voのシューゲイズ、青い薔薇の最新作。レビューにも書いていますが前作にあった邦ロック感やセカイ系感は薄れて、よりダウナーかるインディー感を増して浮遊感や哀愁のある作風になっています。むちゃくちゃな物言いですがMVで媚びた女感みたいなものを一切出してこないところが好きです。多分ストイックな人たちなんだと思う。
https://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=3121



No.5 joliette - Luz de Bengala
メキシコのカオティックの最新作。jolietteは過去作も一挙入荷することになりましたが改めて聴いてみると初期から上手すぎるし作品の質が高い。でもメキシコであることで流通面でも不利だったかもしれないし過小評価だと思うんですよね。
https://longlegslongarms.jp/music/products/detail.php?product_id=3104


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