【短編小説】お花を咲かせるために。
ある人は、勝手に育てば良いと、植えた種に水やりをしない。
注いだ水が多過ぎても少な過ぎても、申し訳ないと要望を言えないし、そもそも育てようと思わない。
咲かなかったらどうしようとか、水を注いだ人に責任を負わせるのが申し訳ないと思うんだろうから、「がんばれ」とだけ言っておこう。
もし枯れた時、自分に責任が負わないようにしてるんだったら、雨が降った時の水と晴れの時の日光で、自分の力で、育てば良い。
だから、種だけ植えて、放置する。
ある人は、誰かが植えた種でも水やりをする。
朝、昼、夜…沢山の水を注ぐ。
でも、時には存在を忘れて、何日も水やりをしない時もある。
種が、もう要りませんと言ってたとしても。
水を下さいと訴えかけてたとしても気付かずに。
そして、その種が咲いたり、水のやり過ぎて死んでしまったら、その人は次の種を探して水やりを始めてしまう。
さあ、種を咲かせよう、と。
世の中には、沢山の人がいる。
世の中は、沢山の人で溢れています。
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