未定.exe

元カレに書くみたいな手紙はイヤ。でも書かなくちゃいけないんで。キミは残酷なんだ、やり口とかそのやにクールな性格とか。透かした顔して知らないフリ(ほんとに知らないのかもしれないけど)しちゃうトコ、今ごろ冷や汗かいてるのかな。キミにとってボクという存在は、厄介で爪弾きしたいもんね。あくまでジャッジするのは君だし介在の余地はないからべつにかまわないし。

書くことで誰かにすくわれたいと思うのは醜い。わかってる、この言葉は思春期あたりからどうもいやな匂いを放ったりする。あまい果実は、忽然とくさってっちゃう。やだね。なにが「元カレ」なんですかね。こりゃ腐れ縁も腐れ縁、クソゲーワールドですがな。切ろうってんなら『さらざんまい』よろしく理の外にでも弾かれるしか手がない地獄(あれについて語ると幾原オタに甘いと言われそうなのでこの辺で止めとく)。

「そうですね。無秩序が過ぎます」
編集の男は顔をしかめた。
「無秩序」
僕はその言葉を反芻した。無機質な部屋に男ふたり。沈黙だけがバック・グラウンド・ミュージック。彼のためだけのオルケストラ。編集の男が原稿を机で丁寧に揃えて、僕の目をじっと見つめた。
「でもね、先生の作品は価値がある」
煌々とした瞳は僕を貫いて遠くを見ていた。期待の目はいつもそういうものである。僕はやれやれ、とため息をついた。ため息もまた、彼を通り過ぎていくのであった。僕は手を握らんとする編集の目を見、呟いた。
「救われたい願望って、辞書にこうつけ加えて欲しいです。」
―その類義語には、自慰行為を含む。ってね。

救われたい願望というものは厄介なものである。故に多数の論者は、数多の文献を読み思考の糸を張り巡らせて蜘蛛のように虎視眈々と書物という毒牙を忍ばせた紙を世界にばらまいた。結果、世界には救われたい願望と独善的な救いが現れてしまったに過ぎないのである。私はこのテクストで警鐘したい。

―結局何が言いたいんでしょうか。
うーん……(苦笑)まるで秩序というものがなくなっちゃってきてるからあれなんだけど、僕は一重にセカイ自身を否定したくはないんですよね。

―他傷にとられる言論、というのも考えものですね
解釈の多い昨今ですからね……。とはいえ1歩踏みとどまって、なんて理想論でしかないので。発言する側なら言葉を削ってやる。んで聞く側も即断しないでどうよ?って聞いてやる。人間は自分のインナーな世界に生きているので、そのすり合わせをしてやらないと、上手いこといかんのですよ。これも理想論だって笑われちゃったら仕方ないって話で。(一同笑)

―僕らはインナーな世界に生きてる、というのは?
解釈の話を深める論旨なんですけど、僕らはあくまで価値観の善し悪し然り、ものの好き嫌いまでも頭、心で解釈するじゃないですか。僕の目に映る他人はあくまで他人でしかないけれど、その人のなかにもその人なりの頭と心があって、その相互交通が「セカイ」なわけなので、解釈は独りよがりであって〜……ってこうさっきの話に繋がってくんですよね。

―世界は脳の中だけにある、っていうやつですね
そうですね。故に僕らは気をつけてやらないといけない。自分の世界だけでなく、他人の世界があるっていうことを片隅に置いておかなくちゃいけない。それに気づく一因になれば嬉しい限りですよね。

えーっ、というわけでこの辺でこの混沌は終わりにしましょう。皆さんご覧頂きありがとうございました!配信のアーカイブは残しておきます!また、誰かがここに来られますように、そんなちょっぴりな期待だけ、ここに置いていきます!じゃあ!また逢う日まで!

―streaming has ended. An archive will be made available at a later date.

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