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一時帰国:飛び入り参加、大歓迎

木曜日は朝から雨だった。

8月の最終週に入ってから実はずっと悩んでいたのは、「インドへ戻る時に陰性証明書を取得するか?」であった。

日本に帰国する時の規定は明確で、必要であった上に、インドの陰性証明書の検査は安価で、家に検体を採取しに来てくれるので、証明書の書式以外は全然問題なかった。

対して、同じ陰性証明書の検査&証明書を入手するだけなのに、日本では「英語」と言う要件が一つ加わると、途端に全ての値段のゼロが一つ増える様に思える。

つまり、たった一枚の紙にかかるお金がバカみたいに高いのだ。

インドで受けた検査は家に来てもらって900ルピー(約1500円程度)だが、日本で英語の陰性証明書を発行してくれる検査機関は安くても5000円程度からだった。(調べた時は)

その上、インドのデリー国際空港のホームページに記載されていた入国規定では、「ワクチンを接種した署名書(英文)」または「陰性証明証」と記載があったので、ますます迷った。

自分は既にワクチンの接種を終えているし、インド政府発行の英文のワクチン証明書がある。これだけで入国が可能の様に思えるが、入国は良くても出国(搭乗)がダメかもしれない。フライトでは万が一のトラブルも避けたいので、念のため陰性証明書は準備しておきたい。

これが、必須なのであればたとえ値段が高くてもしぶしぶ私も払ったであろうが、「念のため」持っておきたい証明書にそこまで払いたくないので、悩んでしまい後回しにしてしまっていた。

日本に住んでいるインド人の元同僚達にも色々聞いてみたが、みんな口をそろえて「無料でした」「ちょっとだけお金払った」などと言う。よくよく聞いてみると、みんなもう日本に住民票があって、保険に加入しているので、無料(または安価)なのだ。逆に、日本人なのにここに住んでいない私は外国人(笑)

自分でも色々調べてみたが、PCR検査じゃないといけないのか、抗原検査でも大丈夫なのかはっきりしない。(一般的にPCR検査の方が高い)

しかし、金曜日の午前中のフライトなので、これ以上グダグダするわけにもいかず、元同僚が教えてくれた「木下グループ」で、時間枠に空きがあった新宿の会場で検査をすることにした。



新宿駅は迷宮なので、念には念を入れて行き方を調べた。

・・・調べたのに迷った(笑)ここは一体どこ?
散々あちこちの人に聞きまくって、やっと近くのところまで地下道を使ってくることができたが、もう予約時間過ぎてしまっている。wifiしかないので、アプリ経由ではない(普通の)電話ができず、SMSを試しに送ってみるも、返事が無い。

インドと違って日本は予約時間の遅刻に厳しい。検査できず→書類なし→フライトに乗れず→帰国できない、の最悪パターンが一瞬頭をよぎったが、考えるのはやめて、まずは目的地を目指すことにした。

新宿駅に迷路を設計した人を呪いながら、あちこち走り回った結果、検査会場の看板が見えた時は嬉しさにバンザイしたくなった。雨に濡れながらも慌てて中に入り、謝りながら予約済みである事を伝える。バイトと思われる若い女性たちが、テキパキと手続きをしてくれる。幸いな事に、遅刻については何も言われず、検査キットを渡してくれた。

大慌てで来たため、検体取得ブースに入っても検体の取得方法が頭に入ってこない。数回深呼吸してから、改めて説明を見ながら、検体を接種、保存して、自分の名前が書かれたシールを貼り、提出する。一般的に来店後30分程度で結果が確認できるとの事なので、本日中には結果が出るだろう。

検査会場を出た頃にはもう一日が終わったぐらいの気持ちでいたが(笑)、メインのイベントはこれではない。私は、同僚達が待つオフィスに向かった。



うちの会社の日本のオフィスは中央区にあるので、新宿から都営新宿線→半蔵門線に乗り換えて向かう。最寄り駅で降りて、案内を見ながら地上に向かう。4年前にも一度来ているので、記憶を頼りに歩く。幸い、以前から大きくは変わっていなかった様で、迷うことなくたどりついた。

同じ会社の社員ではあるが、今回はインドの社員証を忘れてきてしまったので、オフィスの中に入るためにはエスコートしてくれる人が必要で、いつもお世話になっている日本の上司にお願いした。

着いてメッセージすると、すぐに下まで降りてきてくれた。他の日本の同僚達と同様に、日々話をしているが、対面で会うのは4年ぶりである。

久しぶりなのは対面である事だけなので、まるで昨日も会っていたかの様にお互いの近況を話しながら、エレベーターで上にあがり、オフィスに先に着いていたYさんとも再会。今日はこの3名に、プロジェクトメンバーのTさんと、別のお客様オフィスにいるSさんも合流してみんなでお昼を食べる予定になっていた。

10時過ぎにオフィスに着いたが、検査に行っていた為、数時間メールを確認できていない。慌ててパソコンを開きメールを確認していると、今日の参加メンバー用のグループチャット(つまり私たち5名のグループチャット)がピコンと鳴った。

Sさんから、「直前ですいません!Gさんも参加希望なんですが。。。間に合いますかね?」とメッセージが入る。

おお?この方はどなた??

お店を手配してくれたYさんは会議で手が離せないので、Sさんがお店に電話して追加1名OKをもらえたので、急遽1名飛び入り参加となった。

このGさんとは面識がなかったのだが、どうやら同じプロジェクトのSさんから私の事を色々聞いているうちに、このお昼の会に参加してみたくなったらしい。

面識が無い人が自分に興味を持ってくれるのはありがたい事だ。水たまりに小石を投げると波紋が広がっていく様に、自分がみんなが集まるきっかけになったのであればそれも嬉しい。

私以外はそれぞれ面識があったためか、急遽の飛び入り参加もみんな温かく受け入れていて、そんなオープンな雰囲気もとても好きだった。



お昼はオフィスの近くでお魚が美味しいと言うお店へ。小さいお店で混むらしく開店直後に予約を取ってもらったので、早めにお店に向かう。
私は上司とYさんとオフィスから、TさんとSさん、飛び入り参加のGさんはそれぞれお店に現地集合の予定だった。

ぽつぽつとメンバーが集まり始めると、上記の通り、元上司と部下だったり、新入社員時の指導係だったり、元々面識があるが久しぶりに顔をあわせるメンバーばかりだったので、
「よお、久しぶり!」
「XXの作業、無事に終わったんだって?」
「今はXXで忙しくしてて。。。」
「XXさんって辞めたんだっけ?」等々、
プロジェクトが変わったり、コロナの為に顔をあわせることも無かったのか、それぞれが近況報告に忙しく、お店の開店時間まであっという間だった。

さて、開店と同時に入ったのに、既にしてランチメニューのほとんどが残りX名のみ、となっており、人気のほどがうかがえた。

私とYさん以外の男性陣は全員大盛りを頼んでいた。私はそこまでたくさん食べられないけど、たくさん残さずに食べる人を見ているのは気持ちよい。

最初に一口いただいたお味噌汁の美味しさがまだ印象に残っている。

お出汁をしっかり取ったのが分かるじんわりと沁みる味わいだった。
日本の定食屋さんの素晴らしいところは、定食についてくる小鉢じゃないかと思う。小さくても、1、2品ついているとお得な気持ちになる。

お昼にみんなでごはんを食べに行くと困った点が一つあって、それは(昼休みは)時間制限があるのに、話していると時間が無くなるし、逆に黙って食べていると話ができない、と言う事だ。

同じ悩みを抱える人はいないだろうか・・・?

昼休みの時間制限を気にしながらも、美味しいごはんを前に、久しぶりに会う同僚達と話しながら、また、時々慌ててごはんをかき込みながら、楽しいお昼休みはあっという間に過ぎて行った。



お昼を食べた後、現地集合組はそれぞれに戻って行き、私と上司とYさんの3人はオフィスに戻った。

みんなに会うのも目的ではあったが、今の会社を退職後、日本に戻る事を検討するために、上司と1on1をすることももう一つの予定であった。日本の会社に入社できる可能性があるのか、入社したらこの上司と一緒に仕事したいと思っているので、それは可能なのか、待遇はどうなるか、などを相談させてもらった。

この上司は、私がプロジェクトマネジメントの方向に進みたいと思うきっかけとなった人なので、できるならもう少しこの人の元で(だめなら、同じ会社の中で指導してもらいつつ)経験を積みたいと思う。

今後の方向性の一つとして、日本も選択肢の一つに入れることを決めて、同僚達に別れを告げてオフィスを後にした。

楽しくて忙しい1週間だった。明日はもう帰りのフライトだ。
次に来る時は、ここの社員としてだろうか。
それとも、全く別のご縁が待っているのだろうか。

これからの自分の人生を色々と想像しながら、駅に向かったのだった。


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