見出し画像

家に帰りたい:(手術後2)

(注:トップの写真は実際のではありません。)

前回のnoteでは王族(私)への村人たちの挨拶が終わってほっとしたところまで書いた。(笑)

部屋に用意されているアメニティ
シルバーのボウルにあるスナック類は付き添いのH君の分
こんな感じ。ミニボトルはシャンプー、リンス、ローション

この挨拶が終わったのは朝9時半~10時過ぎぐらいだったと思う。

先生も体調面から退院を許可しているし、朝の7時に追加の書類は提出しているし、保険金額の最終承認、支払いをしたら、
午後ぐらいには家に戻れるかな~、と考えていた。

実際に家に着いたのはもっとずっと後の時間であった。

インド歴7年もあるのに、時間の見積もりが甘すぎる自分。



挨拶が終わって人心地ついた後、H君は
「ちょっと何時ぐらいに退院できそうか聞いてくるよ。」と
部屋を出てすぐのナースステーションに聞きに行ってくれた。

5分程で戻って来たH君は、
「保険の承認が下りるまで、普通3~4時間かかるんだって。」

なんと???普通で3~4時間???
前はそんなに待たされた記憶ないんだけども。。。
(以前も会社の保険を使って手術&入院している)

「ええと、じゃあ、今は10時過ぎだから遅くても午後の2時ぐらいにはおわるってことかな。」
「多分ね、念を入れて午後の3時ぐらいのつもりでいればいいんじゃない」と、H君とおよその退院時刻を計算し、
「じゃあ、ちょっと外歩いて来ていい?何かあったら絶対電話してよ」と、
H君は散歩に出かけた。

年頃の子が部屋にこもりきっりで大変だったろうと思ったので、私も快く承知した。入院の付き添いだと、とにかく待たされる印象がある。

が、H君はものの15分程度で戻って来てしまった(笑)

「え、なに。どうしたの?」と聞くと、
「いや、暑いし、風が吹くと熱風にあたるだけだったから戻って来た」との事。

その後は、今の予備校のクラスメイト達とグループチャット&電話をしていた。個人的な事には首を突っ込まないつもりであったが、H君が教えてくれたチャットの内容は

同じグループにいるカップルが彼女側の浮気で別れそうになっていて、
それに感づいている彼氏には数日後に迫った誕生日までは、みんなで秘密にしてあげよう

と言う、リアリティ番組みたいな話題だった(笑)

H君もクラスメイトも来月に迫った試験は大丈夫だろうか・・・


数時間は待たなければならないと分かったので、
私もnoteを読んだり、
友人とチャットしたり、
うとうとしたりして時間をつぶした。

お昼の時間になって食事を持って来てもらったが、
昨日と全く同じメニューであった事と、柔らかい食事しか許されていないことに少しがっかりした。うどんがいい。。
(なので写真も無し)

しかし、noteをたくさん読み終わっても、
お昼を食べてしまっても、
お昼寝から覚めても、
ついには夕方の水分補給としてスープが出されても、
まだ、保険の承認が下りた連絡は来ない。


その時にはもう午後の3時半を過ぎていた。

さすがに不安になったので、H君にお願いして、再度状況を確認してもらいに行った。H君が戻って来たのは10分以上後だった。

「どうしたの?何かあった?」と聞くと
「Ground Floorにある保険のカウンターに行って来た。なんか先生のサインがいるとか言って後もう少し待ってって言われた。」

え~インドだなあ。いつもこうやってずるずると遅れていく。

そうは言ってもできることはない。
私たちは仕方なく待つことにした。


しかし、その後、晩のチャイの時間になっても、まだ連絡が無い。

もう一度H君を確認しにやると、「誤った書類を提出したらしく、あと3~4時間かかるって言われた。」

え、今から??もう一度3~4時間かかるって言ってる??本気で?

今からそんなにかかっては退院できるのは晩の8時、9時ではないか。
私だってそんなに待ちたくないが、H君の家は遠い。

とりあえず自分の目で確かめに行くことにした。
インドでは女もなめられるが、子供もなめられる事がある。
ここはガツンと言ってやらねば。

多分、インドに来てからどんどん性格悪くなってるな。。。

自分の服に着替え、部屋を出て、ナースステーションを横切り、Ground Floorの保険カウンターに行く。

しばらく自力で歩いていないので、何かふわふわした感じだ。
ちょっと出産直後の感覚に似ている。

保険のカウンターにはアクリル板で仕切られており、4名のスタッフが据わっていた。一番奥のスタッフに「1102の患者ですけど、保険の承認まで今から3~4時間ってホントなの?」と右の手首に巻かれている入院者のIDをみせる。

すると、「そうそう。保険会社から問い合わせがあってね、1時間半前に返信しているから後2時間ぐらい。」

なんと、後2時間だと???(この時、晩の6時)

ありえない・・・・。

「ちょっとなんでそんなに時間かかるのよ!朝一番に書類は出してるじゃないの!」と強気に出ると、
「保険会社からレーザーは何位使ったのかって聞かれてさ。返信したんだけど。」とカウンターのおじさんは答える。
「ふざけないでよ。こっちは朝からずっと待ってるのよ!なんでそんなに時間かかるの!」
「そう言ってもねえ、保険会社の返事来ないと進めないから。。」

と、ここで私は負けた。インドの分業制に。

この場合、書類を揃えて保険会社に連絡する所までは病院の担当だが、
それを精査して結果を出し、連絡するのは保険会社の担当だ。

この両者の間に「催促する」と言う概念はなく、
連絡が来ればOK
来なければ待つしかない。

入院患者がカウンターでがぎゃあぎゃあ騒いでも、別に返信は早く来るわけではないのだ。


「晩の8時ぐらいには来るはずだから。来たら連絡するから。」と言う言葉を背中に受けて、とぼとぼと私は部屋に戻った。

部屋に戻り、心配そうな顔をしているH君に状況を説明し、
彼には家に戻るように言った。

私の家はここから車で20分程だが、
H君は地下鉄で、1時間半近くかかる。

「ええ、本当に。大丈夫?」と何度も念を押すH君を多少強引に送り出すと、ものの3分で戻って来た彼は
「そこでsister(看護婦さんをそう呼ぶ)に止められてさ、もし保険の承認が下りなくて、もう1泊になったら連絡ちょうだい。付き添いがいないとダメなんだって。」

なんと・・・。もう1泊しなければならないことまで想定が必要なの???
(実は晩の6時を過ぎていた時点で私も少し心配だった)

ちょっと不安ではあったが、「大丈夫、大丈夫。もしそうなったら同じソサエティの友達に頼むから」と安心させ、再び彼を出発させた。


すると、H君が去ってから、5分程で部屋に電話がかかって来て、「承認下りましたんで、支払いに来てください~」と言われた。

あああ~よかった。無駄にもう一泊しなくてよくなった!!
(もう一泊してたらその費用は誰が持つ事になったんだろうか??)

先ほどの階段を今度は軽やかに下りて、保険のカウンターでドキドキしながら最終の請求書を確認する。

さあ、いくらを自費で払わないといけないのか??

「はい、これ。最終の請求書ね。そちらの支払いは1万5千ルピーね。」

ああ~よかった。予想の範囲内だった。
これから、入院時に支払ったデポジット5千ルピーが相殺されるので、この時点で支払うのは約1万ルピーであった。

支払いを終えて、ナースステーションで領収書を提示すると、
やっと『手錠』替わりの点滴の管を抜いてもらえる。
(それまでは逃亡を防ぐ目的なのか、抜いてくれない)

いくつかの書類に記入し、今後の生活の注意点、飲まなければいけない薬などの指示を受けて、やっと、やっと、外に出ることができる。

はあ~待ち時間がムダに長い・・・。
治療するための病院で、かえって悪くなりそうだ。

よくわからないけど、病院を出る時に、看護師の皆さんに写真を一緒に取って欲しいとお願いされた。お世話になったし承諾したが、マスクつけた私の写真なんか一体何に使うんだろ(笑)

病院の建物を出た頃はもうとっぷりと暮れており、
「あ~今日は半月なんだ」と思った事が記憶に残っている。

家に到着したのは結局色々あって、夜の10時ぐらいになってしまった。

部屋の温度の暑さに驚きながらも、にゃんたちと一緒に寝られるのはやっぱりいいな、と思ったのだった。


サポートいただけた場合は、「子供が売られない世界をつくる」を掲げてインドでも活動をしている、かものはしプロジェクトに寄付します。