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失敗したけど、ただでは起きない

3月も下旬、と言うか、もう最終週になり、もう少しで入社して1か月が経とうとしている。

今月は大きなお祭り、Holiがあったため、入社手続きが遅れたがパソコンももらい、お客様との会議にも参加したり、メールを返信したりと、少しづつ慣れてきている。


今月は3月なので、インドでも年度末となる会社が多く、我が社もそうだった。

だから、同僚のみんなも快く協力やサポートはしてくれるのだが、各自の数字を追いかけるのに忙しく、私はなんとなく手が空いた状態になってしまっていた。

私のチームには10名程度の営業がおり、彼らの顧客が日本企業でかつ日本人が決済権限を持つ場合に私のサポートが必要になる。(最近はインド人がトップだったり、決済権限を持っている事も少なくない。)

既存顧客以外にアプローチをかけている企業があって面談の設定ができたら、それにも同行する。

それらに加え、もし私が新規に顧客を獲得できれば、もちろん私の成績として評価してもらえる。



上司や同僚は、「今月は年度末だから自分たちも忙しいし、日本企業は人事異動が多い時期だから、ゆっくりでいいよ。」と言ってくれていた。

しかし、同僚達と違って時間ができてしまっている自分は何に時間をかけるべきか、明確になっていなかった。

日本にいた時に営業をしていた経験から、営業を開始して結果が出るのは、数か月後ならかなり早い方で、数年近くかかる事も十分承知していた。

その上、私の前任者は元々金融機関にいた為、既に自分の顧客やネットワークを持っていたが、私はゼロからのスタートなので、始めるのは早ければ早い方がいいと分かっていた。

前任者と同等の動きを期待されている事はひしひしと感じるのだが、前任者が作ったと言う既存顧客のリストはいつまで経っても出てこない。

一人で毎日LinkedInを眺めてひたすらポチポチ繋がり申請をするのは効率が悪いし、誰にも言わなかったがちょっと飽きてきていた。



そんなある日、とある名の知れた企業の担当者名と連絡先をもらう事が出来た。

「3月末だから、忙しいよなあ~」などと思いながらも、「人間は、2択を提示されると、ついどちらかを選んでしまう。」と言う、営業時代に習ったテクニックを使ってメールしてみると、これまたあっさり「じゃあ、XX日でいいですか?」と約束ができてしまった。

やった・・・!

私は自力で約束を取り付けた事に有頂天になっていた。自分に商品の知識が無い事などすっかり忘れ、約束を取り付けたら何とかなると思っていた。

なので、面談のinvitationを送る事や、リンクの準備(オンラインの面談になった)にばかり躍起になって、最も大事な「お客様は何を必要としているか?」が全然見えていなかった。

それに気づいたのは、面談が終わって、上司と同僚からフィードバックをもらってからだった。




前日は他のお客様の所に行っていて一日中外にいた為、準備も直前でバタついてしまった。

その上、オンライン面談を始めたら音声が聞こえず、入りなおしてもらったりと、予定していた時間になってもしばらく会話ができなかった。

やっと会話ができる様になったので、挨拶とお礼を言い、自己紹介を終えた後、なんと言っていいか分からなくなってしまった。

・・・はて?ここからはどう進めればいいのかな?

営業としては致命的だったが、この時はまだ自分の問題が自覚できていなかった。

隣に座っていた同僚を呼んで、話をしたり質問してもらったが、恐らく何度も営業をかけられているのだろう、向こうの方からすらすらと状況を教えてくれた。

どこの銀行を使っているか。
それらの目的。
うちの会社のサービスを検討する余地はあるか。

あまりにすらすらと答えられて、元々メモを取るのがヘタな上に、緊張で上手く描けない。

ものの5分で現状を語ってもらい、こちらにはチャンスが無いとお互いに分かってしまったので、お礼を言って、他の会社を紹介してもらえないか聞いてみた。

すると、「XXXってところでは毎月エライ人が集まってるらしいよ。」と言うではないか。(以降、このnoteでは『なんとか会』と呼ぶ)

「それに参加できますか?招待してもらえます?」と食いつくと、

「う~ん、うちとそちらでは取引無いからねえ。運営に聞いてみたらいいよ。」と返ってきた。

なるほど、そんな会があるのか・・・!

その方は「他の会社のはこれくらいやってるから、そんくらいやらないとね。」と若干厳しい事を言いながらも、「こういう事もできる」「あの会社はああやっている」と一緒に色々と考えてくれた。

自分で商品の話すらできない、取引の可能性もない会社の人間にこんなに親身になってくれるとは、なんとありがたい。

いただいた提案は全てメモして、時間を割いてもらった事に改めてお礼を言って、面談を終えた。

最初のオンライントラブルの時間を含めても、たったの25分程度だった。




面談が終わった後、私は色々とアイデアを得られたのでほくほくしていたのだが、隣に座っていた同僚は「3Kさん・・・、ちょっといいかな?」とフィードバックを返してくれた。

先にお客様の事情を聞いておくこと。
(うちの主力商品を提案できそうか、情報を集めておくこと。)
会議のアジェンダを決めて事前に共有しておくこと。
よほど大事な会議でないなら、上司の参加は不要なこと。

どれも至極ごもっともだった。

「その場を和ませたり、営業とお客様の意志疎通がスムーズに行く様にサポートする事」を強調されてきていたので、会議を設定さえできればどうにかなると思っていたのだ。

今すぐ全部できなくても仕方ないが、あまりにも他力本願だった自分に気づいて反省した。

そして、その後、上司にもほぼ全く同じフィードバックをもらったのだった。

はい・・・。全くその通りです。ごめんなさい。

今回の会議で私の状況が分かったのか、上司からは、
3月中は焦って新規のお客様との面談を入れない事。
既存顧客との挨拶や面談への参加から開始する事。
慣れてきたら新規顧客の面談を始める事、を提案された。

「こちらもあまり時間が割けなかったから、ごめんね。」と言われて、ほっとして泣きそうになった。

空いている時間が多く、何もできていない様な罪悪感から、
前任者と比べられている焦りから、
早く結果を出したい気持ちが空回りしてしまって、
かえって同僚や上司に迷惑をかける事になってしまった。

私は喜んで上司の提案を受け入れた。

もう少し時間をかけてもよいと分かってほっとした。

経験もなく、自分の既存顧客もいない私には、もう少し時間が必要だ。



その日は午後にもお客様との面談があった。

これは同僚が設定してくれたもので、二人の同僚が同行し、元々アジェンダも決まっていたから問題はない。

約束の時間は結構過ぎていたが、私は相手側の連絡先を知らないので、黙ってついて行くことにした。

なんか言われたらどうしよう笑。

しかし、向こうもインドがどんなところか知っているのか、到着したらにこやかに迎えてくれた。

アジェンダを一通り話終えた後、少し雑談の時間ができた。

その時、午前中の会議で教えてもらった「なんとか会」の事が唐突にひらめいたので、聞いてみた。インド全土にネットワークがありそうな方だったからだ。

すると、「ああ、はいはい。知ってますよ。」とあっさり返って来るではないか。

「ええ、招待してもらえませんか?それとも運営の方を知ってます??」と前のめりに聞いてみると、

「え~っとね、XXさんって人がいるから、連絡してみたらいいですよ。あ、これ電話番号ね。」とこれまたあっさり連絡先も共有してもらえた。

なんと・・・!わらしべ長者みたいじゃないの・・・!!
(違ったかな、笑)

しかも「私に番号もらったって言えば返事くれると思いますよ。」と。

あああ~ありがたい。聞いてみるもんだね。

もらった番号に連絡して、「『なんとか会』に参加させてもらえますか?」と聞くと、「どうぞ~」とこれまたあっさり快諾してもらった。

よし・・・!最初の会議は失敗したけど、転んでもただでは起きないのだ。



この件で学んだのは、立場が上の人ほど、意外なところで色々と助けてくれるものなのだと分かった。

最初から頼ろうとするのはもちろんいけないが、努力した末に助けて欲しい時は言うだけ言ってみるのも大事だ。

ちなみに、この会に参加したからと言って、私の評価がすぐに上がる訳では全然ないのだが、営業をやっている以上、とにかく人が集まるところに行ってみる必要がある。

色んな人と出会っていく中で、たとえすぐに自分の数字にはならなくても、思いがけないご縁があったりするものなのだ。

だから、ひよっこ営業としては満足の第一歩だった。

これからもゆるゆるとがんばっていこう。

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