しませんか、しますか。

しませんか、しますか。
長く生きていると、どちらかを選択しなくてはならない場面に何度も遭遇する。
ずっと一人なので、相談できるのは親を除けば自分だけだ。親とはいえ、配偶者と違って今回のケースのような問題には相談しづらいというか。決められない問題である。
自分的には大事な事だけど、他の人に話せば「そんなこと」であり「わたしもそう」と言われる程度の説明しづらいものだし、癌とかもっと大変な病気の人もいるので生死に関係しないけどだからって誰にでも言えるものでも無い。
大病でなくても月経困難症や、チョコレート嚢胞の方々にはずっと及ばない。そちらのほうが何倍も余程かわいそうなことだと思っている。
病院に長く務めていたのでそのへんは患者さんそれぞれですよ、などと声をかけたりするが自分は別だ。(うん、別ではないんだけれど遠慮しがちな性格なので)
取り敢えず、内臓をひとつ取る事にしたのだ。
今のところ、失うのは子宮。と卵管。あと、四、五年なんかミラクルがあれば子供一人くらい産めるので。そりゃ悩むわよ。現に。私の最近お気に入りのインスタグラマーは私と同じ年で1歳のお母さんだもの。
でも。突然の話ではないのだ。

ここ何年か(子宮)取りますか?と聞かれては、”まだ使う事もあるかもしれない”と、低用量ピルやミレーナなど。あの手この手で温存してきたのだ。しかしミレーナは2回とも落ちてくる(あとから見たら奥に入る余地などないわけだ)し、そのたびに出血がゴボゴボ音がするんじゃねえかと思うほどで一晩中止まらないなんて状況が続いてきたのだ。
そして、大きい病院に紹介してもらってMRI画像で見たあの人はもう以前の姿ではなかった。
子宮くん。彼は本来はニワトリの卵くらいのサイズなのに、どう見てもゴブリンみたいな姿になってしまったのである。
病名を言うたびに「子宮筋腫!私もあるよ」は宛にならない。飛行機や新幹線で移動する間にもたないとか。それを止めるために薬を使ったら一般的な2日目が3週間続くとか。1ヶ月血が止まらないのでいつも真っ白な顔で貧血だし。ナプキンも昼も夜も最大なので勿体無い。それより、CTの通りいつまでも内臓が圧迫されたままで苦しいし足の浮腫と5ヶ月の妊婦さんのような生活がって、水を飲めば30分でトイレに行きたいし。映画とかうっかりすると途中で立つ事になる。妊婦さんはそうよ!って言っても何年も産まれて来ない赤ちゃんいないじゃん。産まれてたらもう年少さんくらいよ。
つまり、働くにも遊ぶにも、寝るのにも不便だし膀胱と大腸がしぬ。(あと、5年前に筋腫分娩もした多分ももの種みたいなやつ)。ゼリー状の謎の出血をゴボゴボしすぎて自分の病院で日直した帰りでトイレで動けなかった…。よく生きてたな。患者さんから電話来てたら救急車で来い!と私ならいう。
そんな感じで、あときっと7、8年くらいしたら自然に無くなるでしょうが。ずっとひきこもってるわけにも行かないし。ホルモン療法の注射の副作用がなかなか辛い。(途中でやめちゃう人がいるのわかる…わかるぜ)ちなみに、私は高校生からずっと自律神経失調症で更年期みたいな症状には慣れっこだったけど本当にこの副作用は辛かった。
あいつを。モンスターになってしまった。あいつを撃つしかない。
そういう事なので。
今月おさらばするのですよ。あと二週間で。
だが、術前のホルモン注射をした人が陥る(あれ?!ちょっと筋腫小さくなったし!生理止まるし!元気になったんじゃね?)みたいなオペ回避してもいいのでは?みたいな気持ちにならなくもない。でも2ヶ月もしたら元のサイズになるとは主治医の弁。(だいたいみんなそう言うらしい)と言う訳で振り出しに戻りそうになったが、やはり投薬の副作用には勝てず。誰も”産め”とも、”産むな”とも言わぬ一人親方。さよならする気持ちで今日は朝の9時から夕方迄、大学病院で入院の準備を進めてきたのだ。

つまるところ。「そうだね、寂しいね。」とだけ言ってくれる友達がいたらそれだけでいいのだ。そういうことなのだ。


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