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ずっと好きだった。 1

学校を卒業して1年が経った頃
知らない番号から電話が鳴った。


ちょうどその時私は友達と
知り合いのオープンしたてのお店に出向いていて
22時を回った頃
お酒も入って気分も良くなっていた時だった。


もしもし、
三葉さん?


知らない男の人の声だった。
どんなに記憶を辿っても
思い出せない声だったけど
確かに電話の向こうのその人は
私の名前を呼んでいる。


そうですけど。


私の返事に安心したのか
聞きなれない声の人は自分の名前を名乗った。


白川です。


私は一瞬動揺した。
もし私の知ってる白川くんなら
私がずっと学生時代に好きだった人だったから。


えっ?
どうして??


明らかに動揺した私に
白川くんは共通の知り合いから私の番号を聞いたと
教えてくれた。



個人情報云々が今みたいに浸透してたら
もしかしたら白川くんは私に
電話をかけて来れなかったかもしれないとおもうと
これもまた奇跡としか言いようがない。



白川くんは
ちょっと話したいことがあって
と私に伝えながら、
電話の向こうが家でないことを察したのか
今日が無理だったらまた明日にでも掛け直す
これ、僕の番号だからっていって
すぐに電話を切った。


私は電話を切って
なんだか信じられないような
ふわふわした気持ちで
友達が待つテーブルに戻った。


そのあとは心ここに在らずで
友達をほったらかしてしまったかもしれない。
どうやって家に帰ったかもわからない。


白川くんが私に電話してきた。
たったそれだけなのに
私は頭が真っ白になってしまった。



私は初めて白川くんをみた時に
その瞬間に彼に恋をした。


背が高くて
制服の着こなしが素敵で
身につけてる小物やカバンもとてもセンスが良かった。


まともに恋愛をしたことがなかった私が
白川くんを好きになる理由なんて
これだけで十分だったと思う。



話したこともないし、
これからも私たちには接点はないと思ったし
まず、まともな恋愛もしたことがなかった私は
その先をどう進めていいのかも
その先があるなんてことも
皆目見当もつかなかった。


ただみてるだけで幸せだった。


たまにすれ違って
たまに駅で見かけて
ほんとにそれだけで幸せだった。


その白川くんが、私に電話してきた。


今私になにが起きてるんだろう?
私はドキドキが止まらなかった。

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