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バイクで乗鞍 急ぎ旅

 残雪の乗鞍岳、今まで冬には何度か訪れたが、夏の盛りの訪問は初めてである。
 
 乗鞍エコーラインという自動車専用道は、長野県側から乗鞍岳に望む乗鞍高原駅が起点となるが、2000年の初めから自然破壊を考慮してマイカー規制が引かれ、シャトルバスとタクシーのみの運行で、一般車の乗入れは全面禁止となっている。
 実はこのエコーライン、日本一高所を走るとされる乗鞍スカイラインよりも更に上まで到達できる自動車専用道である。
 
 この日現地入りしたのは午後1時過ぎ、帰りの時間を考慮して今回は畳平までのバスの旅を見合わせる結果となったが、いずれまた、時間に余裕をもって訪れ、北アルプスの大パノラマを満喫したい。
 
 今回の訪問は、自宅から高山経由だと約5時間近くかかるため、国道19号線で、中津川、大桑、上松、木曽福島、木祖村から県道26号奈川木祖線経由で奈川渡ダムの上を走る松本からの158号線と合流して乗鞍高原へのルートを選択した。
 途中には、大竹しのぶ主演の映画「ああ野麦峠」で話題になった野麦峠があり、時間の余裕があれば寄り道するのも一考である。

 それでもこの行程、オール下道利用だったため片道150キロ、所要時間約4時間のバイク行脚は、尻に火がつく寸前の苦行といえるものだった。

 昨年60で大型自動二輪免許を取得して以来、いい歳こいて近場の峠で腕を磨いたせいもあり、九十九折の坂が続く県道26号線も何のその、当日は快適なバイクツーリングを堪能した。
 改めて自分という人間は一度ハンドルを握ると、人格が豹変するタイプだと実感した。
 狼が豹変?差し詰め虎の威を借る狐がいいところかもしれない。

 このルート、云ってはなんだが中央道を使わずに国道19号利用の場合の北アルプスへの裏道なため、休日にもかかわらず交通量は極めて少なく、ドライブ好きな人には、お奨めのコースであるといいたい。

 そして信州の玄関口奈川村は、知る人ぞ知る隠れた蕎麦処で、近場の開田蕎麦や、戸隠、蓼科等の有名どころとはひと味違う素朴な味わいの蕎麦を堪能できる。
 20年以上前に訪れた蕎麦屋「福伝」今も昔と変わらぬ装いに懐かしさが込み上げ、思わず予定を変更して当日の昼食スポットに再度ご指名したわけである。

蕎麦処 福伝

 この日は、真夏日だったため天ざるを所望したが、この地方には、とうじ蕎麦という、鉄鍋に温かい汁を張り、とうじかごと呼ばれる竹籠に小割の蕎麦を入れ温め、山菜や、鶏肉季節の青物野菜と一緒にお椀にとって食べるというものがある。もう少し涼しい時期に訪れた折りには忘れず食べたい一品だ。
 その他にも、冬季限定の蕎麦ではあるが発酵させた山菜を具材に使うすんき蕎麦という一品も侮りがたい魅力がある。

奈川渡ダム

158号線と交わる場所に位置する奈川渡ダムは、さながら黒部ダムのミニチュア判といった迫力で、見るものを圧倒する。
 そしてその裏に広がる梓湖の景観は、日本の屋根の玄関口にふさわしい異彩を放つ。


乗鞍高原




 乗鞍高原観光センター、この前がエコーラインのバスの発着点になり、駐車場を挟んだ反対側では湯けむり館という温泉施設が営業を再開している。


湯けむり館

 乗鞍の泉質は、近くの白骨温泉と同様に硫黄泉だが、一時期白骨温泉の源泉が枯渇したことを隠蔽して、入浴剤を混ぜて物議を醸したことがあったが、ここ乗鞍に関しては絶対にそんなことはないと信じたい。
 20年ほど前訪れたときにはスキー帰りの客(自分もそうだったが)でごった返し、慌ただしい入浴となったが今回はコロナ禍の影響もあり、手足を伸ばしてゆっくりと露天の檜風呂を堪能した。

 ただ一つ残念だったのは、帰路の途中突然の夕立に見回れ、ずぶ濡れ状態で家まで帰る羽目に陥った事である。後からニュースで知ったのだが、どうやらこの雨でJR中央本線も一時運転を見合わせていたという事実も判明した。
 備えあれば憂い無し
近々、雨合羽とヘルメットのシールドもしくはゴーグルを購入して、次回のツーリングに備えたい。

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