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鬼気迫る怪演

独断と偏見で、昭和の時代を彩った名優たちの、鬼気迫る怪演が見られる日本映画を、幾つか並べてみた。

⑴ 鬼畜 

原作:松本清張 監督:野村芳太郎 出演:緒形拳 岩下志麻 小川眞由美 岩瀬浩規(子役)他

本妻役の岩下志麻と妾役の小川眞由美の丁々発止のやりとり、妾役小川眞由美の長男岩瀬浩規とその父親役の緒形拳とのラストシーンは圧巻、子役のいたいけな、演技を超えた演技に、日本を代表する名優達の好演がかすんでしまう程の印象深い演出が見ものである。またそれぞれのキャスティングの妙が随所に感じられる名作でもある。

⑵ 花いちもんめ

映画脚本:伊藤俊也 監督:松田寛夫 出演:十朱幸代 加藤治子 千秋実

アルツハイマー型認知症の発症により日常生活が壊れていく元大学教授の晩年を綴った秀作。(日本アカデミー賞最優秀賞作品賞他)W主演の千秋実扮する元大学教授が、認知が進み廃人となりゆく過程が時間軸にそって演じ分けられる演技の凄さは、最後まるで本当に病を患っているのではないかと思わせるほどの熱演。

⑶ サンダカン八番娼館望郷

原作:山崎朋子 監督:熊井啓 出演:栗原小巻 高橋洋子 田中絹代

大戦前「からゆきさん」と呼ばれた、南方に実在した日本人の営む娼館で働いたとある娼婦の一生を追ったノンフィクション映画。物語の設定は栗原小巻演じる日本近代史の研究者が、天草に実在した元娼婦の老婆役を演じる田中絹代から、自分の素性を隠して当時の様子を聞き出すうちに心が通じ合うという展開、昭和の大女優田中絹代の最晩年の演技は、「正に自身の死生観について訴えるかのような体当たりの演技」といっても過言ではない。田中絹代の凄みをまざまざと見せつけられた一作。

お勧めの映画、一押しの役者さん等、教えていただければ嬉しく思います。

 

         

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