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掌編小説にチャレンジです。

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思いつきで気ままに不定期で、書いてまいります。お暇な時にでもお立ち寄りください。
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#戯言

なもないみせ

なもないみせ

 私が、その店に行こうと思ったきっかけは、メディア情報に惑わされたわけではなく、誰かから聞いた微かな記憶が甦ったからだ。

 本当の事を言えば、その店のある町を訪れたことは未だない。たまたま仕事の都合でその店の二駅先にあった会社へ出向き、一仕事終えた帰り道、ふと何処かで夕食を済ませてしまおうと思いたった。その後しばらくして家のある方角に向かって走る快速電車に乗り込んだ時、向かいの出入り口の上に貼ら

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半端もんの兄ちゃん

半端もんの兄ちゃん

「兄ちゃんあんたねー、いい加減にしときゃーよ。突然仕事辞めてまって、これからどうするつもりー?まだ楽隠居出来る歳でにゃーことぐらい自分が一番よー分かっとるでしょう」

「なにいっとりゃーす、お前に言われんでもそんなことは分かっとる。にーちゃんだって好きでプラプラしとるわけやない、おみゃーにゃーわっからへんだろうけど俺だってつらいもんがあるんだで。今じゃうちン中みんなあきれかえってまって家族崩壊警報

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