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 藍は祖母の写真整理を手伝っていた。昔風なばらばらの写真を紙製のアルバムに1枚ずつノリで貼りつける。

「ここに藍の初めての発表会のがあるよ」

 写真で記憶が蘇った。

「そうそう、この傘を広げて踊った。ふち飾りのヒラヒラがうれしかったな~」

 祖母は笑った。
「これ、ビール傘なのよ。これのせいでじいちゃんと離婚しかけた」

「ど、どうして?」

「傘の飾りつけが終わって藍に渡す直前にじいちゃんが傘に缶ビールをこぼして…」

「ああそういえば、何の匂いだろうと思いながら踊ったけどあれはビールだったのか」

「藍ちゃんは気にせず堂々と踊ったよね。私や先生は泣くかもとハラハラしていたが、度胸の強さに驚いた。いずれ舞台のアクシデントに強いバレリーナになれると褒めたよ」

「離婚は?」

「無事踊りきった藍に土下座して謝ったからやめました」

「おじいちゃんが私を抱いて泣いていたのはそういう理由だったの…踊るのが嬉しかったのでそこまでは覚えていなかった」
 
 

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たらはかに様の企画に参加中です。
今回は光栄なことに、当バレエ文学をご紹介していただいています!

※画像は拾い画ですが、愛野藍の初舞台イメージです。

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