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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #64

こちらの続きです

 ホワイトランの自宅で睡眠をとると、久しぶりにぐっすり眠り、十分な休息をとることができました。ウェアウルフの血を得てからというもの、ずいぶん長い事不眠に悩まされましたが、ついに解放されたようです。

すっきり!

 その後、ファルカスさんのドラゴン討伐に付き合ってロストタン高台へ。武器や付呪効果のおかげか、はたまた私の技術が上がったのか、ドラゴン相手もあまり苦労しなくなってきました。

がんばってね

 さて、そろそろ次の旅に出たくなってきました。しかしアエラさんとはウェアウルフの件で気まずくなってしまったので、今度はファルカスさんへ従者となってもらうようお願いしました。
「いいぞ、友人だからな。時間がもったいない。いくぞ」
 ファルカスさんの言葉は単純明快で、裏表もありません。楽しい旅になりそうです。

よろしくです

『デイドラの親友』


ファルクリース近郊

 ファルクリースの鍛冶屋ロッドさんから野犬の捕獲を依頼されていた件を思い出し、餌の生肉を片手に野道をブラブラ歩いていると、
「おっ、あのイヌじゃないか?」
 ファルカスさんの声で立ち止まり、よく見ると、向こう側から一匹のイヌが近づいてきました。 

 イヌはこちらを見据えて立ち止まったかと思うと、口を開けて話し出しました。
「ずっとお前さんを探していたよ」

!?

「イヌが、しゃべった!?」
 目を丸くする私に対し、イヌは呆れたように言いました。
「今やスカイリムは巨人や空飛ぶトカゲ、二本足の猫男だのの巣窟だというのに…何を驚くことがある?ああ、喋ったとも。黙るつもりもないがな」
 確かに、ドラゴンだって独自の言葉をしゃべっています。喋る犬がいたって不思議ではありません。しかし、初めて見ました。四足歩行で、こんなに流暢に、且つ偉そうに喋る犬がいるなんて。
「俺はバルバスってんだ。困っているんだが、手を貸してもらえないか」

困ってる?

 先ほど私を探していた、と口走っていましたが、一体何用だというのでしょうか。今まで何かイヌが関係することに深入りした覚えはありません。
「何ですか?」
「マスターと喧嘩しちまったのさ。つい口論になって少し…熱くなりすぎてね。この口論を仲裁してくれる誰かを見つけろって追い出されちまった。そこにお前さんがやってきた次第だ」
「なんだ、飼い主とはぐれた迷子の子犬ちゃんってわけですか」
 あまりにささやかな依頼だったので、思わず笑いながらそう言うと、バルバスもまた表情が緩んだように見えました。
「愉快な奴だな。俺のマスターは、願いを司るデイドラの王子、醜いクラヴィカス。分かると思うが、きわめて重要な存在だ」

ゲッ

 まぁたデイドラの王子ですか…。どうしてこうもデイドラ公のいざこざに巻き込まれてしまうのでしょう。
 しかし、デイドラ王とその部下の関係修復を手伝ったのはこれが初めてではありません。こちらには実績があります。

「任せてください。さっそく探しにいきましょう」
「ありがとよ。俺がヴァイルに追放されて以来、彼の力は弱くなっている。祠から遠く離れたところには力が及ばなくなっているんだ」
 ほう、近くにいないだけでデイドラ王子の力が弱まるなんて、どういうことかわかりませんが、バルバスさんはクラヴィカスにとって重要な存在なのですね。だからこそ彼は仲裁を望んであえて距離を置いたのでしょう。勢い余ってバルバスを殺せば自分がどうなってしまうのかを危惧したのか、はたまた単純に仲直りをしたかっただけなのか――

「”ハエマールの不名誉”に彼を信奉する教団がある。そこに行けば彼と話せるはずだ」
 聞いたことのある地名だと記憶を辿ると、トーテムを発見した吸血鬼のアジトでした。彼らはクラヴィカスの信者だったのですね。

 ということは、おそらく私のしたことはすべて見られているはずです。仲裁どころか、制裁されてしまうかもしれません。
 苦い顔をした私が及び腰になったと感じたのか、バルバスさんが言いました。
「もしこれがうまくいけば、必ず礼はする。だから彼の申し出は一切信用するな。いいな」
 クラヴィカスの申し出を信用しない?どういうことでしょうか。

全然簡単そうではない

 その場でデイドラ全書を開き、クラヴィカスのページを確認してみます。読むと『「醜いクラヴィカス」は儀式的な祈祷や契約による力の授与や願いの成就をつかさどる』とありました。妙な契約をふっかけられないようにくれぐれも気を付けましょう。

 全書をしまい、走り出したバルバスの後を追いかけます。ファルクリースを抜けるつもりのようなので、鍛冶屋のロッドさんの元に立ち寄り、野犬を捕獲できないことを謝罪することにしました。

お散歩スタート!

「ロッドさん、すみません。ご依頼のイヌは見つけたんですが…彼はどうも…えーと…問題がありまして」
 デイドラ王の愛犬だったと説明するわけにいきません。しどろもどろになりながら言い訳を探しますが、ロッドさんはあっけらかんと「いずれにせよ、済んだことだ。もういいよ」と許してくれるだけでなく、むしろ丁寧に感謝を述べて礼金を払ってくれました。 

え~?

 なんだか妙なことになりましたが、これもまたデイドラの力なのかもしれません。

 ロッドさんと別れたあと、ファルクリースを通過し、ヘルゲン砦を超え、雪山を駆けのぼり――

まってまって~

 再びハエマールの不名誉にやってきました。

ハエマールの不名誉

きたで~

 洞窟の中は先日私が一掃したばかりなので、静かなものです。最奥までたどり着くと、角が生えた仮面を高々と掲げる中世的な男性の像が建っていました。この場所に初めて来たファルカスさんは感嘆の声を漏らし、二度目の私は違和感に気が付きました。

ん?
一人…

 そう、この像は以前傍らに大きな犬がいたはずです。あの時は知る由もありませんでしたが、これこそデイドラ王クラヴィカスで、あの時隣にいたのは、彼と喧嘩別れをする前のバルバスさんだったのですね。

 バルバスさんは立ち止まり、像から距離をとってこちらに視線を向けました。どうやらここからが私の仕事になるようです。像の足元に近づき、声を掛けます。
「クラヴィカスよ。お願いがあります」
 すると、いつものように頭の中に声が響きました。女性の低い声のような、男性の高い声のような、中世的な声色です。
「いいだろう、聞いてやる。お前には既に、最後の崇拝者の死に際の願いを叶えてもらったからな…せめて頼みの一つでも聞き入れてやろうじゃないか」

崇拝者の願い?

「信者達は吸血症にとても苦しみ、治癒してほしいと俺にすがりついてきた。そこにお前が現れ、あいつらの苦痛を終わらせてくれたんだ!俺が考えもつかなかった方法でな」
 生命を絶つことで彼らを吸血症から救ったというような言い回しで、私の行為を揶揄しているのか、称賛しているのか、その真意はわかりかねますが、とにかくこちらへ怒りを抱いている雰囲気は感じません。
「それで、心から望むものはなんだ?どんな取引をしたい?」
 むしろ何か愉しんでいるような、無邪気な残酷さを感じます。

「取引などではなく、バルバスさんと仲直りしてもらいたいだけなのですよ」
 私の希望を聞いた途端、あんなに愉快そうにしていたクラヴィカスの声は不機嫌になりました。
「なに、あの忌々しい奴とか?冗談じゃない。頼みは断る。なしだ。奴を始末出来たらどんなに嬉しいことか。たとえ、このみすぼらしい祠の最深部…いや、どこかに閉じ込められる事になってもな」
 バルバスさんは「自分が追放されてからクラヴィカスの力が弱まった」と言っていました。つまりクラヴィカスはここから離れることができない状態のようです。
「うーむ、おそらく奴が俺の力を奪った方法があるはずだ。だが確証はない」
 どうやらクラヴィカスはバルバスさんが意図的に力を奪ったと考えているようです。実際はどうなのかわかりかねますが、クラヴィカスが力を取り戻すことを強く望んでいることは間違いないでしょう。バルバスさんと仲直りしてほしいという私の望み、力を取り戻したいというクラヴィカスの望み。この場に双方の望みが並びました。そして相手は取引を司るデイドラ王です。

「それで、私はどうすれば?」 
「斧だよ、非常に強力な力が宿っている斧。俺が手にしても十分に満足できる程に強い斧だ。それを持ってきてくれれば、お前の願いを叶えてやろう。無条件でな。突拍子もない悪ふざけもなしだ。まぁ、少なくともお前にはな」
 しっかり交換条件を出しておきながら、『無条件』とは。すでに悪ふざけを聞いているようですが、バルバスの警告も気になります。

――彼の申し出は一切信用するな。いいな?――

「斧は確か、ライムロック窟に眠っているはずだ。バルバスが先導してくれるだろう。あのイヌっころめ、俺から力を奪う気でいるかもしれないな」

 どこまでも疑心暗鬼なクラヴィカスです。よほど遺恨が残っているのでしょう。

バルバスさんいきますよー

ライムロック窟

 斧があるという洞窟へやってきました。

ここかー

 中に入ると、炎の精霊がうろうろしていました。そっと近づき、遠方から射抜きます。気が付かれることなく消し去ることができました。

 洞窟は広くなく、少し奥へ進むと魔術師が一人潜んでいました。氷魔法を打ち込んでくる魔術師にファルカスさんが突っ込んでいき、私は同士討ちしないよう気を付けながら後方から援護します。

 魔術師はあっけなく倒れ、柄の長い斧、『悔恨の斧』を見つけました。

これか

 斧を握り、バルバスさんに「これは何なんですか?」と見せると、ため息をついて教えてくれました。
「いつものクラヴィカスの悪ふざけだよ。さっきお前が片づけた魔術師、セバスチャン・ロートというウィザードにハーシーン信者の娘がいたんだが、その娘がウェアウルフになるのを見て、セバスチャンは正気を失っちまった。愛する娘が獣へと姿を変えたのが見るに堪えなかったんだな。あのウィザードは娘の呪いを絶つ力を求め…そして、クラヴィカスが斧を与えた…てわけだ」

この斧が…

 セバスチャンがその斧で娘のために何をしたのか、娘がどうなったのかは教えてくれませんでしたが、そもそもこれはクラヴィカスが与えた物だったのですね。結果的に強奪したことになってしまい、倒れたセバスチャンに罪悪感を覚えてしまいました。
 バルバスさんからは私が斧を持っていくのを躊躇っているように見えたのか、「彼に悔恨の斧を渡すんだ」と念を押しました。
「クラヴィカスの秘宝は斧だけじゃないのさ。俺達が再開した暁には、醜いクラヴィカスの仮面をお前さんにやるよ」
 クラヴィカスが掲げていた、角の生えたお面のことでしょうか。どちらにしても約束した以上は出来ることをするまでです。

ハエマールの不名誉

 クラヴィカスは私が斧を見せると喜びの声を上げました。
「おお、悔恨の斧を持ってきたか!それに俺のイヌまで連れてきてくれたのか。素晴らしいぞ、よくやった。勇者とその忠実な仲間が、古代の秘宝を王子のために持って帰ってくる。まるでいっぱしのおとぎ話だな」
 この状況に酔っているかのような言葉を一通り並べますが、斧はなかなか手の内から無くなりません。
「あぁ、でもそんな風に武器を献上するのは恥ずかしいだろう?お前にその斧を持たせてやってもいいんだが…」
 斧によって力を得ようとしていたはずなのに、私に譲ろうとしているようです。おかしい。どうにも怪しげな空気になってきました。
「ただし、バルバスを殺すのに斧を使う場合だ。簡単な事だろう」

で、でた~

 バルバスさんが言っていたのはこういう事だったんですね。本当にやっかいなデイドラです。

「いや、斧はいらないので、バルバスさんを戻してください」
 私がそう言うと、クラヴィカスは心底退屈そうに「はーん、本当につまらないやつだな」と悪態をつきました。
「他で楽しいことを見つけるしかないか。あの犬が俺に戻ったら、完全な力を取り戻すことができるんだ。世界中の人々が俺を待っているんだよ!」
 どうにも情緒が定まらない神様です。

「お前さんを信じていたよ!」
 許しを得たバルバスさんが歓喜して叫びました。
「はいはい、イヌは飼い主を得て、飼い主は魔法の斧を得ましたとさ、めでたしめでたし」
 クラヴィカスは呆れたようにそう言うと、「さっさと来い、イヌっころが」と吐き捨てるように言いました。

よかったですね

「心配すんな。俺がお前さんを信じたように、今度は俺を信じてくれ」
 バルバスさんはそう言い残し、紫色の光に包まれて消えました。

さようなら~

「ああ、素晴らしい気分だ!洞窟に数年間閉じ込められた後、強大な力を手にする事がどれだけ最高の気分か、お前には想像できないだろう」
 隣にバルバスさんを従えたクラヴィカスが、サウナ上がりのオヤジのように恍惚とした声で言います。
「あの犬っころを元に戻せなんて、実につまらない事を望むとは残念だな。お前にしては随分と夢のない事を言うじゃないか」
 私の何を知っているというのか…自己中心的思考であることを隠そうともしません。
「そういう野心のない人間には罰を与えるべきだな。お前を芋虫に変えたり、もしくは数十年間……まあいい。願いを叶えるのをやめるだけだ。それよりも、俺には魅力的な取引があるんだ」

いや、願いはもう叶いましたけど…

 クラヴィカスは私に興味を失ったようで、それっきり声が途絶えました。どうやら全て終わったようです。帰りましょう、とファルカスさんに声をかけようとした次の瞬間、ずしりと荷物が重くなり、見てみると奇妙な仮面が入っていました。

なんだこれ

 これがバルバスさんが言っていたもう一つの秘宝のようです。被ってみるとなんだか買い物が上手にできるような気がしてきました。

どうですか?
「似合わん」

 またもデイドラ王のいざこざに巻き込まれてしまいましたが、芋虫に変えられなかっただけ良かったとしましょう。

仲良くしてくださいね!

 

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