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NASA Strategic Design Studio⑥:カレーは飲み物。宇宙は生き物。〜問題定義編(続)〜

こんばんは、みかどです。前回の更新よりしばらく間が空いてしまいました。2週間ほど謎の微熱・頭痛・咳などに悩まされております。コロナ、インフルは陰性だったのですが、なんなのでしょう。気を取り直して、書いていきます。そろそろ別のことを書きたくなってきたので、駆け足気味で🏃

複雑味のある概念をビジュアルで考えてみる。

さて、前回の記事で、NASAを通してデザインしたい世界観である”flourishing existence”が誕生しました。ただ、この時点で下記のようなコンセプトが乱立しており、それぞれの関係性がわかりません。

flourishing existence
resilient
regenerative
balance
interdependent elements

おさらい:前回誕生したHEALTHの定義

いろんな概念を生み出しすぎた結果、相当な混乱を招いており、議論は堂々巡りです。そろそろ中間発表を控えています。ここいらで一度コンセプトを整理しておく必要がありました。ここが15人で取り組む難しさなのですが、15通りの考えがあるので、Divergeは強くてもConvergeにはめっぽう弱い。結局われわれは何を目指しているのか?どのようにしてそれを達成していくのか?今一度皆でお話しようとのことに。

各々が考えていることを事前に整理した上で打ち合わせすることになっていたのですが、案の定準備の上で臨む生徒は3分の1くらいです。ちなみに先輩曰く、「めっちゃ多いじゃん!」とのこと。慣れているので何も感じませんが。

英語で思考するとどうしても戦闘力が削られるので、個人でワークする際はは基本的に図で考えていきます。情報が削ぎ落とされすぎるのであまりよろしくないとは思いつつも、国籍も年齢もキャリアも全く違う15人でコンセンサスを取るならシンプルに概念図で表現できるくらいがよいだろうと。

まずは、Ideal World(理想の世界)を妄想します。

軸となっているIndividual → Planet & LEOは前述のTerry Irwin先生の”Holarchy in the natural world”インスパイア系です。個々の人間 → その集合体としてのコミュニティ → コミュニティの集合体としてのSociety(システムにする?とかの議論もありましたが)→ それらを取り巻く地球・宇宙 という具合に。相互に関係しあっている有機体のレベル感の広がりを表しています。本当はIrwin先生の図のようにフラクタルな関係で表現したかったのですが、visualizeスキル不足で断念。別でその話はしていたので皆理解してくれました。

このIndividual ~ Planetがinterdependent elements(相互に依存する要素)の正体だよねとのコンセンサスが取れました。

円の大きさの意味は明確に定義できていないのですが、包括的な意味合いでのアセットの大きさを表しています。

イメージ的にはインパクト投資とかの指標になっているようなものたちの総体。これがinterdependent elementsの各レベルで存在しており、それらは相互に関連しあっているイメージです。

でもって、Ideal Worldに対して現実世界はこうなっていないか?の図

とその説明。

ポイントとしては、行き過ぎた不均衡・格差(disparities)が存在することと、人間活動がplanetary boundaryを超えちゃっているよ〜という指摘。(表現の仕方間違ってるけど、誰も気にしなかった。)

その上で、われわれの目指すFlourishing Existenceはどんな状態だ?の考察

重要なのは、Ideal Worldと違って、disparities(不均衡・格差)は一定範囲で認めるが、その拡大に対してはNASA・Natinal Lab(NL)を通して動的に調整されることが実現されている世界。そして、その調整により人間世界の活動はplanetary boundary内に収まっている状態。このIdealではないがBetterな状態こそがFlourishing Existenceであり、それを達成するための動的な調整行為こそが、そう、

BALANCE!

じゃないかな?という話をしました。

そして、このBalanceは何を調整することなのか?というのが最も重要な問いだと思うのですが、ここでは私個人に馴染みのあるSCMの分野からフレームワークをお借りして、モノ・カネ・情報(ナレッジ)の流れとしています。

ここまでで、flourishing existence、interdependent elements、balanceは一旦倒しました(自分の中では)。残るはHealthを定義する過程で生み出してしまったresilient、regenerative。この時点で、こいつら邪魔やな〜と思っていたのですが、長い時間議論して生み出したものは葬るにも相当なエネルギーが必要になります。自分の中で理解していることと、15人全体でコンセンサスを取ることは全く違います。

一応自分の中での整理としては、regenerativeでない状態とは、material(モノ)が循環せず使用後に捨て去られる状態(というよりどこにも還っていかない)であり、

対してregenerativeな状態は、それがきちんと循環している世界であると。

regenerativeに関しては知識やお金の循環も含むのか?という議論もありましたが、これは物質の循環だけを意味する言葉だね〜と整理できました。(Circulationなんて、また要らんこと言ってるな、このスライド)

今思えば、人類だいぶ特殊なことしてますね。自然界でregenerativeでないものなんて逆にないですもんね。生命が誕生して38億年もの間、Circulationしかなかった世界をぶっ壊せた人間は逆にすごい。虚構を信じるパワーで自然法則を逸脱できてしまうのだな。

そして、resilienceに関しては潔く諦めました。笑
resilienceはこのエコシステムが崩れた際に修復しようとする性質のものなので、GrowthかBalanceのどちらかの一部じゃない?と、ふんわり思いながら時間&燃料切れで諦めました。(確か中間発表の前日で、骨折後の治療のため日本から14時間の時差のなか議論していた。)

結果、私からチームへの提案はこうなりました。

Growth(個々の円がでっかくなること)+ Balance(でっかくなった分を循環させること)によってFlourishing Existenceを目指しましょうよ。

寝ている間に色々議論があったようで、結果的に中間プレゼンではこのようになっていました。

Much better!

“Innovation”はNASAがMissionとして掲げていることなので、今やっていることにBalanceという新機能(哲学?)を追加しましょうとの提案になりました。

個人的に不要説を唱えていたresilient・regenerativeに関しては、うまく説明しきれず、resilient・regenerative・justiceと形を変えて残りました。Justiceてなんや。

こうやってみると、Flourishing Existenceの評価指標みたいなものに落ち着いた印象です。日本時間の真夜中で既に戦線離脱してしまったいたので詳細は不明ですが。

中間プレゼンは頼もしきネイティブメンバー陣がバシっと決めてくれました。ありがたいです。理解していることと説明できることは全然違うもの。

個人的には、このスライドはいろんなところで使えそうな気がしている。ストラテジックデザイナーが持っておくべき世界観みたいなものにも通じるのでは。

これらの相互関係の中でどのレベルのどこのツボを刺激して(Intervention=介入 と表現する)全体の系をbetterなものに変えていくのか。よく鍼灸師に例えられるが、個々の部位と人体そのもの、血流などの全体をとらえた上で必要なポイントに針を刺して体から苦痛を取り除くように、世の中の複雑な系を認識し、介入どころを見極め、必要なプロダクト・サービス・仕組みなどをデザインすることで全体のエコステムをより良い方向へ導く。そんな実践には欠かせない世界観をNASAを通じて獲得できたと思うと、良き機会でした。

その後。

ここからは1週間の春休みを経て、Ideation → Prototype → 最終プレゼンと進んでいくのですが、ニューヨークでのヤブ医者による怠惰な治療によって負った負債(できないほうがいい変な骨が成形されてしまっていた)を解消する方途を探るため、日本で1ヶ月以上もスタックする羽目になりました。色々ありまして、2週間ほど授業をスキップすることになり、Prototypeくらいから復活することになりました。
結果的には大手術を免れ、今後一生アスリートにはなれないよ、との条件付きでリハビリのみの治療で右腕は完治しました。大丈夫です。目指しません。


三話くらいで一気に最後まで書き上げようと思っていたのですが、いざ書き出すとものすごく鮮明に記憶が蘇ってしまい、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き殴っていると、授業前半(7週間)分だけで6話分になってしまいました。

Problem Definitionにここまで時間を割くのか〜と少々驚きですよね。デザイン思考でいうところのHow might we ~ を作るところまでに15週間の半分以上を費やしました。Parsonsではデザイン思考は1つの授業で取り扱うくらいで、あまり重要視はされていないので特にそういったフレームには囚われていないのですが。

余談ですが、教授のMarkはDesign thinking is bullshit派閥で、他にも数名そういったロックな感じの先生もいました。もちろん、がっつりデザイン思考を極めて実社会でプロジェクトをリードしまくっている方もいます。全体のカリキュラムを見る限りは、Strategic Designをやる以上、基本のプロジェクトを進めるフレームワーク程度で知っておいてね、くらいのスタンスです。

この後のIdeation・Prototypeからは小チームに分かれて、各チーム割と好き勝手に発想して、作りたいものを作っていた印象です。後半重要な部分で離脱していたので議論の詳細は謎ですが。スーパーダイジェスト版ですが、私のPortfolioよりどうぞ。

そしてここでプチサプライズですが、大きな問題のフレーミングまでを終えたところでそろそろ他のことを書きたいのでNASA編は一旦ここで終了します。またどこかで気が向いたら続きを書きます。

授業の記録は、日記程度にゆる〜くいきましょう。

道頓堀かに道楽の看板が目の前で派手に踊ってら〜。あんまり調子乗ったらポキっといくからきーつけや〜。

ではまた。


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