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    • ワンマンライブについて

      2020年、まだまだ寒い夜に決まった『クコの実と塩こんぶ』リリースツアー。ヒサオさんの誕生日である6月27日をスタートとし、私の誕生日である10月7日をゴールとする。スタートとゴールは、どちらもワンマンライブ。 でも、その時の私たちは、コロナウイルスというものが今後どのような影響を及ぼして、どれだけのものを灰にしてしまうかなんて想像もつかなかった。 予定していた6月27日のワンマンライブは、残念ながら出来なかった。やれる状況ではなかった。普段ライブハウスに居ることすら他人

      • 202451044649

        1月 杏仁豆腐とおしるこ太郎にとって毎年恒例の新年反省会、いつもの喫茶店がやっておらず出鼻をくじく。ひとりでディズニーへ行ってみる。マイホーム、千葉ANGAでライブ初め。我々にとって膨大な量のレコーディング。the pillowsのライブを観る。 2月 BBHFのライブを観る。人の繋がりを本当に実感するきっかけとなる浅草GoldSounds初出演。少し遠くへ行きたくなり千葉県の南、館山へ。DragonAshのライブを観る。津田沼PARCOの長い歴史に手を振った。 3月 自

        • 快速急行1861レ

          「パパ、どうしてあの人は渡ったの?」 赤信号を無視して歩く男性を見て、幼き子どもが言う。 「多分ね、間違えちゃったんだよ。でもね、絶対にしてほしくはないんだ。覚えておいてね。」 パパと呼ばれる人は優しく笑い、繋いだ手を強く握った。 花束を片手に歩く昼下がり。大きなデパートが廃業となってからというものの、この街に目的なく来ることは無くなってしまった。最後に来た日はまだ肌寒く、夏を迎える前のこと。夕焼けがあまりにも綺麗で、イトーヨーカドーのエレベーターは変わらずにゆっくりと動

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          星の生まれる日 vol.15

          “星の生まれる日” 主催 アンドウミサです。 今年も旧暦の七夕に企画をやるわけですが、今回で15回目。本当にありがとうございます。 さらに楽しんでもらうために事前に紹介をしようかなと。当日の出演順に載せていきます。 Climbers 初めて観たときは山岳さんと海さんの二人体制で、使っているエフェクターのめずらしさに声を掛けたのが始まり。三人でのライブも調和が取れていて、Elton Johnの名曲を彷彿とさせるような、とても懐かしい気持ちになった。 くまね 二度、ライ

          星の生まれる日 vol.15

          どんな気持ちで

          3秒、数える。 信じてしまったら負け。 あまりにも簡単なルールだったのに、勝つことが出来なかった。少し経つと優しい日々は忽然と姿を消した。 どのような会話をし、一緒に何を食べ、どのくらいの時間に眠っていたのか。もう、ほとんど忘れてしまった。どこまでが現実で、どこまでが夢のことなのか。曖昧に揺れている、初夏。 “死亡”という記事を目でなぞると同時に、思い出が鮮明に笑う。 「今年の七夕も晴れなかったね。」と静かに喋りかけてくる。思わず振り返るが誰もいない。 凶器になった言

          どんな気持ちで

          ジャスミンと炭酸

          陶器が手から滑り落ち、粉々に砕け散る瞬間はスローモーション。まるで身体と連動しているみたいに、破片は遠くへ走って行く。2年前の記憶の蓋は固かった。それを、いとも簡単に開く。開いて、ざまあみろって笑う。とてもじゃないけど耐えられない。 「あ、無理だ。」思わず声が出たと同時に、扉を勢いよく閉じた。 音を立てて咲く花の見頃は過ぎたにも関わらず、朝の挨拶ですれ違う人で賑わう。誰かに声を掛けられたような気もしたが、ヘッドフォンで閉じていた。腫れた手首を撫でると、ちゃんと痛みを感じたの

          ジャスミンと炭酸

          嘘は匂う

          ラムレーズンは間一髪。 クッキーアンドクリームは瀬戸際。

          S2S2

          「今回のイメージは?」 いつも通りの質問に、しどろもどろな回答だったのは真実を知らないからだろう。明るさを失ったままリズムを奪い合うのは、目的から離れていくだろう。どしゃ降りに眠気を溶かし、スケジュールに愛をねじ込む。まるで正確さに欠けた快速電車に飛び乗ったのは、まだ朝のことだった。 想像していたような甘さは無く、もっとも劣悪なものを煮詰め、血を見るような色ばかりだった。油絵で描かれた指先に伝わるのは優しさではなく、憎しみに似た何か。 月を紫で塗り、海をピンクで広げていっ

          吉が更に

          おやつの時刻を過ぎたあたり、潔く眠ることを諦めて荷造りをする。事前にチェックリストを作り、抜かりの無いように。心地の良い夏日、前言撤回。目覚めたときには辺りは暗く、出発の30分前であった。 きっかけは、何だろう。正しさには欠けるが、大した記録が無いことは想像を容易く膨らませていき、思春期の脳みそにはぴったりの主人公だったように思う。 無人の駅から、随分と歩く。ビジネスホテルで借りた骨の折れた傘は心許ないが、確かな支えとして豪雨を共に進んだ。アディダスのスニーカーは水を吸っ

          100円玉を拾う

          携帯電話をいじったり、居眠りをするのが一般的だが、数学の授業で天文学の本を読むことは、明らかなサボタージュだろう。そんなことを考えながら、真面目な横顔を盗み見る。 ブレザーからはみ出たセーターは手の甲を半分ほど隠している。細い指が射手座のページをめくる。隣の席になってから随分と経つが、喋ったことはほとんど無い。天秤座になったら話しかけようか。少し悩んだ。 白いスニーカーを履いた彼女らは、トイレの鏡の前でアイラインを引いていた。放課後、秘密の花園。見てはいけないようなシーン

          太陽の塔

          駅前店の喫茶店。午後7時半、19時30分。見上げたガラスから空席を確認し、人が出たばかりの自動ドアを抜け、呪文のように読み上げたブレンドコーヒーのLサイズ。まるで見透かしたみたいに「喫煙室に居ます」と店員に告げ、確認して間もない自席に手帳やらペンケースやら。一気に息を吸い、潜水する。ええい、ままだ。布陣を整え、いざ。 もっと遠くに居るのかと思っていた、始めは。ありきたりな食事、ありきたりな言葉遣い、ありきたりなキス。そんなものだと、てっきり。 だけど、どうだ、初めは。月を

          何とか言えよ

          寝るときに見る夢を日記にした結果そして得たもの、というような内容の140文字のブルースクリーン。同じような経験をする人がいるのかと安心する。 まるで境目は蜃気楼のように曖昧になり、判断や区別という言葉は随分と遠くに感じる。必死に抵抗しようにも、薬を飲まされて殴り続けられるような現実を歩いていく。朝と夜は永遠に入り乱れ、カラスの鳴き声すら愛おしく感じられるようになった。 一つも求めてもらえなかったことを思い返しても、誰かに足を取られたところで、何を今さら。選択肢なんて毛頭な

          何とか言えよ

          手を繋ごう

          「わざわざ悪いことを教えてくれるんだろ、それを信じなくてどうするんだよ。」 頭をぶん殴ったのは正しそうな言葉だったのに、実際は、サスペンスドラマで出てくるようなガラス製の重い灰皿だった。思わず目を見開く。 散々な環境とはいえ、サンタクロースも、神さまも、真っ当な親も居ないということに気付くには早すぎたかな。寂しさを喰いものにするのは終わり。本当は何もかも遅すぎたはずなのに、インターネットカフェくらいの明るさの希望が通り過ぎて少し泣いた。 脈打つ心臓、鼓動は早い。一生に一度

          目玉焼きの花

          今ではない、今ではない。一駅ごとに目を覚ましては船を漕ぐ。赤子の足先が太ももにあたり、心地よさを超える体温は、赤子を抱きかかえる母親と私の眠りを容易に誘った。 おすすめされた二本の映画を観る。好きな人に「どちらにせよ君はそれらを感じない事柄なのだから深く考える必要なんてないだろう」と言われたが、経験の無い体験や価値観を否定することなく分析する。自分だったらどうするか、どう思うか。その“それら”は、とても楽しいことである。 ワンルームのキッチンに椅子をこしらえ、ワインを飲み

          目玉焼きの花

          残念とは

          “ソロモンの偽証”を熱心に読んでいた少年は、いつの間にか私の肩を借りていた。こんな小さな身体でも、働く大人と同じくらいに疲れる日々なのか。苦手な短編集をめくりながら、少しだけ想像する。明るい未来を、この少年は担うのだろうか。 人を肩で避けながら、慣れた足取りで改札を出る。さざんかさっちゃんを横目に左側の階段を登った。壁に貼られた麦焼酎のポスターはもう無かったが、代わりに梅酒のポスターが目に映る。当時、何度も通った道なのに懐かしくはなかった。あんまり思い出したくなかったのかも