#65　Oliviaからの手紙

くるくると巻かれた手紙を広げると、
葉書より少し大きいくらいの羊皮紙2枚だった。

内側にあった1枚目の
上の方に日付が3つ走り書きされていた。

ひとつめは
私が前回あちらの世界へ行った次の日。

ふたつめに書かれていたのは
その日から10日後の日付。

みっつめは
さらに12日後の日付。
手紙を受け取った日から7日前の日付だった。

その少し下にフクロウ便についての
説明がされていた。

フクロウに水をやってね。
必要最低限しか飲まずに行ってると思うから。
少し休んだら一旦自由にしてやって。

食べ物は自分で狩りに行くと思うけど、
もし、あなたの住んでいる周りでそういう場所がなければ
何か用意できるかしら？

そのフクロウ、往復便だから
あなたが手紙を書けた頃に
またあなたのところへ戻ってくるわ。
そしたら同じように手紙を括り付けて
私のところへ戻るように言ってちょうだい。

返事の手紙には
送った日の日付を必ず書いてね！
何日くらいかかるのか知りたいの。

2枚目の内容はこうだった。

親愛なるM.ちゃん

この手紙はいつ届くかしら？
あなたはさっき帰ったばっかりだけど
もう寂しいわ。

ほら、わたし、
洞窟のことの罰で外出禁止になったでしょ？
これから2ヶ月外出禁止なんて耐えられそうにないから
早く会いに来てね！お願い！！

Oliviaらしいお願いだった。

前回洞窟へ見学に行った時の
私達の好奇心で行動してしまったことで
Oliviaは最低限の外出しか許されなくなった。

お父さんのカフェの手伝いで
楽しそうに外出を楽しむお客さんを見ながら
自分は許可なく出られない状況は
Oliviaには耐えられないのだろう、と
容易に想像できた。

あなたに紹介した場所もあるし…

そうだ！私の彼にも会わせたいわ。
今は深海都市で働いているんだけど
すごく忙しいからなかなか会えてなくて。

来月、彼の誕生日だから
プレゼントを持って行きたいんだけど、
あなたも深海都市に一緒に行きましょうよ！

実は、こっそり街を抜け出そうと思ってるの。
あなたの案内のためにって一緒に出掛けるのなら
きっとパパも許してくれるわ。（パパは私に甘いもの。）

この手紙の返事を書いてフクロウに持たせたら
すぐコッチに来てね！
楽しみに待ってるわ。


Oliviaより

最後まで読み終わると、
私は急いで便箋を取り出した。

水を飲んだフクロウは
再び窓の桟に移り
小さくコチラにホーッと鳴くと
外へ飛び去って行った。

一旦窓を閉め、
私は急いでペンを走らせた。

Oliviaへ


私が帰ってすぐ手紙を書いてくれたんだ！嬉しい！
ずっと楽しみに待っていたの。

フクロウには慣れていなかったから
少し戸惑ったけど
水を飲んで、今外に出て行ったよ。

フクロウの止まり木は用意しないといけなさそうだね。
あと、簡単な餌なら用意してあげたいな。
ネズミとかそういうのはちょっと常備できないけど…

あなたからの手紙は
あなたが最後に書いた日付から7日で届いたよ。
フクロウが帰ってきたら
また配達してもらおうと思う。

Olivia、外出禁止に苦しんでるみたいだね…
明後日、そっちに行くね！
と言っても、この手紙を受け取る方が数日遅いだろうけど。

また手紙をもらうのが楽しみです。
残りの外出禁止の間も頑張って！


M.より

私は書いた手紙を
Oliviaからの手紙と同じように
くるくると巻いてフクロウの脚に括れるように
用意した。

これがOliviaからの手紙が来た時のおはなし。
続きはまた次回に。

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