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クライミングシューズ痛すぎて履いてられない問題の解決策を考える

アルパインクライミングやマルチピッチクライミング講習会の際、1番よく聞く質問に「クライミングシューズが痛すぎて履いてられないんですが講師の方はどうしているんでしょうか?」というものです。

「履いて試さなかったんですか?」と聞くと、店員さんからクライマーはみんなこうやって履いていると言われた。と言います。「ビニール袋履きました?」と尋ねると、クライミングシューズ痛いという人の約半数の人がビニール袋を履いてからクライミングシューズの試し履きをして足のサイズとピッタリのものを買った、とのことでした。

おそらく、クライミングシューズを勧める店員の多くが、クライミングジムでのボルダリングを想定してお客さんに勧めていると思います。スタッフの中にも、特に若いスタッフの傾向の一つにクライミングジム以外でのクライミング経験が少ないことも一因として挙げられます。自然の岩場のクライミング経験者であったとしても、ボルダリングやスポーツクライミング以外はあまり経験がないことも多いです。

私の講習を受講される方の多くはマルチピッチクライミングや、アルパインクライミング、バリエーションルートを志向される方々です。ボルダリングやスポーツクライミングにおいて、長い時間クライミングシューズを履き続けることはありません。クライミングが終われば脱いでしまうからです。しかし、特にアルパインクライミングでは、1ピッチのクライミングも長く、ビレイ中もクライミングシューズを履いたまま行うことも多くあります。スラブもあれば、フェースもあるし、クラックもあります。地面を歩くようなシーンもあります。つまり全てのシーンに対応できるクライミングシューズが必要になってきます。

ボルダリングでは、傾斜や課題の傾向に合わせてクライミングシューズを変えることがあります。アルパインクライミングでは、そんなことは滅多にしません。なぜなら山では軽量化を求めるからです。

このように、クライミングシューズと一言に言っても用途によって大きな違いがあります。クライミングシューズ選びで大切なことは、自分がどのようなクライミングを志向するのかをはっきりさせること。その上で、クライミングシューズを選ぶことが必要になってきます。

クライミングシューズを買うときは、必ず履いて買いましょう。そのためにはお店に行く必要があります。お店にはアルパインクライミングの経験者が居ることが条件です。なぜならアルパインクライミング経験のない人には、その環境のイメージを作ることが出来ないからです。イメージできない人は経験に基づく選択が出来ず、想像の中でアドバイスすることになります。お店のスタッフにとってもそれは大変な作業になります。なので、下調べの段階で、経験のあるスタッフがいるかどうか確かめると良いでしょう。ですが、くれぐれも角の立たないようにしたいです。今の時代は口コミもあるので、大凡の参考にすると良いですね。

スラブ〜クラック、地面の歩行までをカバーするにはそれなりにゆとりのあるクライミングシューズが必要です。ダウントゥ、ターンイン、痛いほどのサイズは、アルパインではほとんど必要ありません。フラットで、つま先もあまり細くなく、ある程度のゆとりのあるクライミングシューズを選んでください。

お店に行った時は、対応してくれるスタッフが普段どんなクライミングをしているか聞いてみると良いです。ちなみに私だったら雑談から入ります。最近行っているルートや山の名前を出して、相手の反応を見てから質問の内容を決めます。全く知らないようであったら、自分で判断するか、お店を出ます。近年の物価高の影響を受けてクライミングシューズも以前のように安くはありません。高い買い物ですから、皆さんには失敗しないように、自分に合ったクライミングシューズを手に入れてほしいと思います。

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