見出し画像

薄利多売飲食店は食材高騰で絶滅危惧種化する~解決法は?=飲食店の困った!を解決相談所大分

■食材値上げはあと18カ月は続く見通しです

 私は経済学者ではありませんが、食べ物を扱う業界の一員として、
今年も12か月間ずっと食品メーカーの心理や動向を研究してきました。
私の個人的な意見ですが、よろしければご覧ください。

出てきた結論は、
「日本人は価格の値上げがヘタクソ!」ということです。

控えめで抑え気味にギリギリちょっとだけ値上げする
 値上げしたよく翌月には、もう次の値上げを検討しなければ
利益がどんどん目減りする事態になっている。

目の前しか見ていないから、遠くが見通せていない(近視眼的思考)
 世界の食糧事情を知る(食料高騰の根深さがわかる)
~世界の食料の予測をする(生産拡大より減産情報が多いと気づく)
~国内の動きを予測する
(コストアップ➡値上げ➡高騰で節約志向➡売上減➡コストアップへ)

小刻みに繰り返し値上げ、しかも上げ幅が大きくなっている
 大企業であっても、売上げ欲しさに奔走して「確乎たる考え」を持たないままに、行き当たりばったりの値上げを繰り返しているように見える。
・・・この拷問的値上げは購買意欲を失わせる値上げの仕方です。 


■23年度は売上が伸びない年になると予測

 さほど収入が伸びない状況で、やはり節約の第一番のターゲットは、
「外食産業」です。

<外食利用者の傾向予測>
ワンコイン飲食店ランチ➡テイクアウト利用、コンビニ弁当に格落ちする
 安い価格の店内飲食から、脱飲食店のランチへ移行する。
従って、割高なデリバリーよりも、割安なテイクアウトランチが伸びる。

500円超えランチのボーダーラインは999円(税込)
 今まで利用してきた飲食店のメニュー価格は100円~180円ほど1年間で値上がりすると考えています。
飲食店が23年度に最大2回だけ値上げをするとすれば、

   23年4月と10月が値上げ好機

となります。
 22年10月期~23年3月期の6か月間の値上がり分を、4月に反映できます。
次に、23年4月期~9月期の6か月分は10月に反映できます。

恐らく、利益率を落とさない値上げ幅は20%の値上げ
4月に15%値上げして、10月は5%+α(状況次第)と考えています。


皆んなが利用できる外食から、行きたいときに行く「ごちそう外食」に
転換する時代になると思うのです。


■安売り店が自ら設定した「価格の壁」が敵になる

〇200円が壁  ・・・・上限199円の商品
〇300円が壁  ・・・・上限299円の商品
〇400円が壁  ・・・・上限399円の商品
〇500円が壁  ・・・・上限499円の商品

これから先は、もう100円上の壁の商品群の価格構成に
乗り替える必要が出てきました。

スシローさんが100円(110円(税込))の壁を壊し、
120円、130円、150円の1皿売価(税込)に転換して、
平均20%の値上げができたように、私たちも実行しなければいけないのです


■価格の壁の引上げ方法(案)

 いずれもお店を利用する顧客の心理的な抵抗感を和らげる方法です。
「値上げをしなくても」23年1月から「利用客減少」は始まります。
従って、値上を行うことで売上よりも利益絶対額を確保することが
至上命題となります。

1,人気メニューだけ選んで先行で価格を上げる

 人気メニューだけ値上げする方法であっても、オーダー数が最多の商品の値上げですから、値上げ効果は絶大にあります。

コツ>人気商品をすべて値上げではなく、2品くらいわざと値上げしない 
    で、ストレス解消メニューにすればなお効果的です。

2,競合しないオリジナル商品を先行で価格を上げる

 自店のオリジナルメニューは、価格に左右されにくい商品の場合が多いため、この分だけ先行で値上げすると、お客様の値上げに対する反応が、
毎日のオーダー率の集計で、YESかNOかわかります。

コツ>値上げして急激にオーダー率が落ちた失敗れの商品の場合は、
    2週間以内に元に戻せば被害は最小限度にできます。

3,23年4月に「上限の壁を100円or200円」上げる

 これが王道の考え方ですね。
鳥貴族も、サイゼリアも、スシローもみんな「価格の壁破り」をしないと
生きてゆけない時代です。
 最終的には、外食はレジャーであり、
 幸福を得るためには対価を払うことが当たり前 の商売です。

コツ>店の利益だけでなく、お客様に対する品質改善、従業員の待遇改善
    にも生かすことをアピールしてください。

4,食材原価が安く売価が安い商品の上げ幅を大きくする

 選択肢の一つとしての提案です。
例えば、枝豆280円が380円になっても大きなショックはありません。

コツ>ワンコイン以下の値上げ価格は心理的な抵抗感が小さい。


5,食材原価が高く売価が高い商品の上げ幅を小さくする

 売価が高額な商品ほど、値上げ幅が小さくても「利益額」はちゃんと
増えます。これも抵抗感を和らげる方法です。

コツ>1000円の壁、1300円の壁、1500円の壁、2000円の壁を
    超えない値上げで値付けする。(高額単品、定食、セット料理)


今後は値上げの上手なコツを身につけた飲食企業が一番利益を残す
時代になってきたと感じています。

(了)


飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします