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高コスト時代の飲食店対策2:調理作業負担の軽減

このテーマの記事は10回のシリーズで投稿します。
飲食店の業態変更や仕組みを変えて繁盛店づくりに役立つ内容です。
*10の記事のうち1本は有料記事になります。

高コスト時代の飲食店は、売上高に応じて変動する食材費という
一番大きな経費の次に大きな、
「人件費」という超過重な経費負担を軽減するために、
この「調理の軽減」が必要です!
調理の軽減が「ホールサービスの軽減」につながってゆきます!

調理作業の軽減対策は、
調理の人件費を軽減する目的の他に以下のことも解決する効果がある。

1,調理技術を持つ人が年々少なくなってきている
  年齢的なリタイアやコロナ期での飲食業界離脱などで調理人不足です。
  ここ10年余りは、特に全産業従事者が減りつつあるのを感じます。

  食材の吟味や仕込み作業など人間しかできない作業を除けば、
  調理作業の半分以上を調理ロボットが受け持つ時代になってきて
  います。

2,調理スキルのレベルは年々低下している
  調理技術の「単純化」「簡単化」を行う必要が出てきています。
  
  過去40年前から10年毎に世の中のプロの平均技術レベルは
  少しづつ落ち続けていると本当に思います。

  一方、一部の人々により素晴らしい進化を遂げています。
  仕事のできない公務員、犯人を捕まえきれない警察、他国の相手の
  気持ちがわからない外交官など身の回りに、スキル不足減少が増えて
  きている危機感があります。

  そのうちに社会インフラの保守点検も怪しくなるのではと思う。
  だいじょうぶになってくれたら嬉しい!

  もはや、
  オーナーシェフの専門店でないと美味しい料理は食べられない時代
  に半分以上なってきていると感じる。それも5年以上続いたお店か。

3,AIロボット調理機器が年々進化している
  素早く正確に行えるAI調理ロボット機器が増えている。
  しかし、まだまだ誤作動も故障もある開発途上にある段階と思う。

では、現状で何がいま私たちにできるかを説明します。

■調理の軽減策1:
 メニュー数を30%~50%削減する

  40年以上飲食業界に関わってみて、今までのような、
「メニューの多さ」で売上をつくる贅沢な時代ではなくなったと、
つくづく思います。

食材ひとつひとつに金銭を払って、しかも毎月毎年それが値上がりすることを考えれば、
「食材は必要最小限度でいい」と考える方が時代即応な考えと思うのです。

<メニュー効率化>のためのメニュー数を削減するポイント
手間と付加価値で判断する
 下仕込みに時間がかかる食材で、付加価値が高くなるメニューは
 継続して、付加価値があまり上がらないメニューは削除する。

廃棄ロスの有無で判断する
 廃棄ロスが多い食材のメニューは削除する。
 B、Cランクメニューの見直しが必要です。
 要売上貢献度チェックです。

消費期限の短い長い食材を組合わせる
 鮮度の良さは美味しさの基本です。日持ちがしなくても、
 人気のあるメニューは「売り切り」でロスなく販売する。

 消費期限の短いメイン商品の周辺食材は、日持ちのする食材で
 固めて、廃棄ロスが出ないようにする。

食材原価率の低減効果のあるメニュー削減比率は、
「全体の20%以上50%以内」ですが、
「30%削減して10%新規メニューを加える」方法をとるのが
プロの行う方法です

メニューを減らしただけではお客様は喜びません。
減らした一部を、興味ある新メニューを加えることがとても必要です!

■調理の軽減策2:
 ひとつに絞るならどの食材がいいかで絞り込む

  現在多くの食材を使っているからこそ、
メニュー価格の値上げと同じように、食材を減らし、メニュー数を
減らすと売上減が怖いと思うでしょうね。

でも、それは、「やってみたことがないから怖い!」だけです。

私は過去にメニューのご相談があったお店は、
徹底的にメニューのオーダー比率の分析と実際の商品の商品力の確認
を行うことで、20%~30%のメニューの削減を繰り返してきました。

それで、売上が落ちたかというと落ちていません。
<売り上げが落ちなかった理由>
1,各商品の全メニューから見たオーダー率、部門別メニューから見た
  オーダー率を調べて、継続メニューと削除メニューを仕分けした

 コツ1:
 お客さまの80%が食べたいと思うメニューは確実に残す

 コツ2:
 1日にひとつ以下しか売れないメニューは削除する

 コツ3:
 削除したメニュー数の30%~50%は新メニューで埋め戻す
 食べていたメニューがなくなった方は新メニューに
 乗り替えてくれる

2,売れ筋商品を全品自分で食べて商品力を自ら体感で計算する
 
料理に愛着があれば「その料理の価値」は舌が教えてくれます。
 料理の見た目と価格、食器、美味しさなど。


 メニュー作りで成功するコツは、
メニューデータというお客さまの「声」を大切にしながら、
どの範囲が許される範囲で、
どこが変えてほしくないところかを、見極めることと思います。

数多くのメニューに使う食材からたった一つのメイン食材を選ぶとなれば
どれを選びますか?

ひとつ選んだお気に入りの食材、強みを発揮する食材を軸に、
全体のメニュー構成を再編すると、素晴らしい効率の良い次期メニューが
誕生します。


■調理の軽減策3:
 調理人が1.5人しかいないと思えば、
 メニュー内容をどうするかが決まる

  今までキッチンに3人いたお店が2人に、2人いたお店が1人とアルバイト
1人に変わった時に、
調理に支障のないメニュー構成に変える必要があります。
この1.5人態勢キッチンの時に効率の良いメニュー構成をどうするか?
考えてみることが効率化の推進力になるのです。

コツ1:
多くのメニューを少なく絞り込み、必要な調理ノウハウを少なくする
2~3日に1オーダーしか出てこないメニューは、調理手順を覚えておくことも仕込んだ食材を管理することも大変です。

コツ2:
反復調理メニューの比率を増やすようにする
メニューを20%絞り込んだお店は、オーダー分析してみると、
残ったメニューのオーダー比率が少しずつ上乗せされています。

削除メニューを食べていた人が、他の残ったメニューにオーダーを
振り替えてくれたのです。

メイン食材が共通した他のメニューがあるメニューは削除リスクが
少ないと言えます

コツ3:
食材数を減らす
取り扱う食材が多いと、どうしても管理不足で廃棄ロスが生まれます。
しかも、仕入れるために毎回、在庫数を調べる手間も結構大変です。

コツ4:
調理作業範囲を「2m四角」に収まるように改造する

これは経験則です。
廊下のように長いカウンターキッチンも大変です。長方形でも
長すぎない方が便利です。

同じ厨房であっても、ピーク時は複数の人数で作業しても、
アイドルタイムは1人で効率よく動けるキッチンの機材構成が必要
となります。


■調理の軽減策4:
 調理人が1.5人しかいないと思えば、
 火入れ手段を1つか2つに絞り込める

  キッチンに1人とアルバイト1名しかいないと思えば、
ガスコンロで炒める、揚げるをすれば、横の作業台上で、刺身やサラダや
鍋料理を準備するので手一杯になります。

煮物、蒸し物、和え物など予約分で仕込みをしていない限り、営業中には
出来ない作業になりますね。
火入れ手段を絞った調理作業にまとめることで作業負担は軽減できます


■調理の軽減策5:
 調理人が1.5人しかいないと思えば、
 新規導入機材の種類と配置が決まる

  売上が厳しいから新規で機材は買えないと思うでしょう。
多くのリース会社もコロナ過で苦しみました。

過去の実績でリース信用度に傷のないお店に限っては、
リースを活用して、機材の導入を積極的に行ってください。

1人の従業員に18万円支払っているならば、
年間216万円支払っていることになります。

リースを組んだ場合は、100万円につき月額2万円で5年間リースくらいと思います。(*もっと安い場合もあります)

仮に全部で300万円のリース機材をそろえた場合は、
月額6万円程度。
ピーク時に5時間いる人を3時間に縮めれば、人件費は10.8万円です。
リース代を組み込んでも、16.8万円で済みます。
時短になった人の時給を100円~150円アップしても合います。

パート、アルバイトの人も勤務の希望を聞いて、
普通時給×長時間か、高時給×短時間か雇用確認をする時代でもあります。

キッチンの効率化も、飲食店の売上が伸びない時代に生き残る
大切なファクターになります。

(了)
シリーズ3に続く


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