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食べ塾:令和で繁盛する「居酒屋業」の生存対策<脱7か条>をご提案します!

  かって40年間、50年間と盛業を続けた居酒屋業は、
昭和の時代に全盛時代を迎え、平成の時代に専業化や細分化されて
現在まで生き残ってきた馴染み深い飲食業態が、いま時代の転換点を
迎えてきました。

  お店の規模や経営条件により、経営者の方の考え方如何により、
今後は様々な「変異」を遂げる居酒屋業の 
「考え直してみるポイント」を7つほど提起させていただきます。


■第1条:「脱アルコール」
    お酒依存売上から食事依存への経営転換を!

  もう酔っぱらい過ぎて道端で寝込んでしまう人もほぼ皆無になりました。店内で悪酔いするほどお酒を飲む人もめったにいなくなりました。

●『ほろ酔い程度に飲めたら十分』
 心地よい限度に酔うくらいの人達が中心のお客様になったと
 思います。
 ディナー業態といえども、22時までが中心の客層の業態は、
 料理がもっとメイン化して、お酒がサブになってゆくと予測されます。

 *ハイボールやチューハイ・サワー中心で杯数も少ない。

●『食事需要が中心の利用に変わる
 アルコール売上を重点に置いた居酒屋業の考え方を「転換」して、
 料理中心で、食事利用だけでも利用できる店づくりにする。

●『女性客の取り込み強化→店舗の女性化』が必要
 
男性客中心でなく、女性客だけで利用できる、料理や接客、
 客席のあり方などのみなおしも必要です。

 お酒はほんの少しであってもプラス売上と受け止められる
「新居酒屋業態」を再構築する ことが必要になってきたと考えます。


■第2条:「脱飲み放題」
 宴会売上がなくても食事コースで黒字化できる
 お店の仕組みをつくる!

  もう宴会はすべての人にとって必要不可欠にはならなくなって
きました。
「嫌いな上司や年配者の慰労会状態になるし、しかも会費負担がある」
「意思に反し強制で参加する」ことは、
多くの職場の方が時代遅れの仕組みと思ってきていることと思います。

『団体主導型飲食』の必要性がなくなった
 多人数での飲食の必要性がなくなってきました。
 むしろケースバイケースでコミュニケーションをとる「少人数会食
 の方が有効で必要な手段と言えると思います。

●『飲み食べ宴会コース』の享楽的イメージはそぐわない時代
 
世の中の風潮や外食をする人たちのニーズの変化があると思います。

●『飲み放題つき宴会コースは質の良い料理は出ない』
 
飲み放題で消費するアルコールの量により、コースの実際の原価率は、
 35%で収まるときもあれば、70%になるときもあります。
 
 飲み放題付き宴会コースは、少々飲み過ぎても、
 「損しない」料理原価しか料理構成に使えない のです。
 よって、
 予算が少ないから、料理の質も量も満足レベルにはなりにくいのです。
 *時間をかけてプロが組んだコースは充実しています。(念のため)
 

  <一例> 飲み食べ放題税込4500円を例に説明します。

 4500円税込→本体価格4091円+消費税409円
 本体価格4091円から「飲み放題料金1500円」を引くと、
 料理予算2591円となります。

 ★飲み放題1500円×原価率40%(店舗により変化)=600円
 ★料理コース予算2591円×原価率33%=約855円
    この855円で平均8品程度を出すことになります。
    平均1品当たり約107円でつくる計算です。
 
 ★40円~50円料理×5品=原価200円~250円
  200円料理×3品=原価600円
  美味しいものは3品~2品位しか出せないことをご理解してください。

  コース原価率=(料理原価855円+飲み放題原価600円)
          ÷税別本体価格(売上)4091円×100%
        =35.6%

  *飲み放題付の宴会コースを「食事コース」に置き換ええて、
   プラス厳選純米大吟醸酒○○付はプラスいくらとかの
  「味わい重視の料理やお酒の提供飲食店」作りを模索する
   必要があると思います。

 


■第3条:「脱団体用宴会スペース」
 年間で40%
%以下しか稼働しない客席づくりはやめよう!


『宴会スペースは稼げない客席』になった!!
 広くて仕切りのない宴会用和室や洋室は、年間稼働率が20%~40%
 しかなく、一般席の80%以上に比べると半分程度の貢献度しか
 ありません。

●『宴会スペースより個室』需要の時代
 
支払う料金が同じなら周りに気を使わなくて済む個室好みの傾向が
 一層強くなってきました。
 ・知り合いに顔を見られずに済む
 ・会話を聞かれたくない
 ・誰と会っているか知られたくない
 ・食べている時の様子を知らない人に見られたくない

 などのニーズが今後ますます高まってゆくと思います。

●『宴会スペースが一般席化』すると店舗規模も変えられる
 
キッチンが機能性の高い省スペース型に変えることができて、
 調理スタッフもストックスペースも広くとれ、
 全体として省力化店舗づくりが推し進められます。

宴会繁忙時間だけの宴会時応援スタッフ=ヘルプ(助っ人)は
 なかなかいなくなった


■第4条:「脱なんでも料理居酒屋」
 何でも作ります!では便利でも特徴がないお店!

  総合的に、揚物・焼物・炒め物、あえ物、刺身、サラダ、焼鳥などを
揃えて、他業種より安い価格で集客する居酒屋手法は、
昭和から続く庶民的な手法です。
その多くは、「宴会依存」「そこそこ美味しい料理」「多種多様」を
持ち味に経営してきました。


   こういうお店は、商品力を期待して行きたいお店ではなく、
   価格的に財布に優しい業態なので、
   ちょっと短時間寄るには都合が良い業態です。

当然なことですが価格を安くすると、大半が輸入物の冷凍品料理を
食べることになります。(*中には中国産の野菜や焼鳥串も使用)

今の自店の「持ち味・特徴・取柄」が何かを洗い出し、
その料理分野を専門店的に特化して絞り込んで、
<新たな居酒屋業態・飲食業態>を生み出す!
ことが必要とされると思います。

例えば、自店の特徴として、
刺身類が特徴
 →刺身居酒屋、鮪居酒屋、魚丼専門店、刺身定食屋など
焼鳥が特徴
 →焼鳥居酒屋、串焼屋、鶏もつ専門店、地鶏焼店など
新鮮な野菜が多種類手に入る
 ベジタリアン、ビーガン料理居酒屋、野菜料理店、野菜天ぷら店
 焼き野菜専門店、蒸し野菜専門店など。


■第5条:「脱オープン席」
プライベート性を高め、安心な客席作りをする!

  隣の席の他人の目線を気にすることなく、心からくつろいで飲食と
会話が楽しめる空間づくりは、これからの飲食店づくりには、
徐々に、今後の不可欠な要素に浮上してきた感があります。

<料理のプレミアム化>の次は、
<客席のプレミアム化>が望まれてきていると思います。

●個室(完全個室・半個室)がニーズになっている
 個室は空調や換気がも専用についており仕切り壁の上部も閉じられた
 造りになっています。隣の声が聞こえません。
   半個室は、空調や換気が共用で使う仕組みなので、仕切り壁の
上部が50cm~70cmほど空間があります。(*空気の流通の為)
当然ながら、隣の声はすべて聞こえますが、顔は見えません。
 
1室1卓設置(4~6名程度)
 1家族のファミリー使用、少人数グループ使用になっています。
 プライベート性が高いので、ある程度気兼ねなく利用できます。


■第6条:「脱深夜型営業」
 12時~22時の間で必要な売上をつくる時代に
 変わると思います!

   お客様が19時からひっきりなしに来店されて、30分で満席になる
時代はもう帰ってこないと考えています。
時代の変化とともに、ニーズが大きく変化しています。

夜型の飲食業は、
本来10時~22時までを主力の売上時間帯でがんばる業種です。

但し、14時~18時の間は、アイドルタイムという、営業効率のよくない時間帯です。
しかし、スーパーの総菜部門や弁当店の16時30分以降は結構繁忙度が
増しています。

今後は、
●ランチタイムに売上を生む店舗活動をする
 
・店内営業
 ・テイクアウト販売
 ・デリバリー営業販売

●アイドルタイムを営業する
 ・自店の立地を生かした活用をする
  (自店で売り上げを立ててもいい)
  (第3者に店舗や店頭を時間貸ししてもいい)
 

*最後の項目になります。


■第7条:「脱どんぶり勘定」
儲からなくなっても経費の使い方が、
儲かった時代のクセが抜けていない使い方です!

下記のような傾向の経営者の方が数多くおられます。

数字が苦手
 試算表や決算書は頭が痛くなるので全く見ようとしない

事務作業は後回し
 伝票類は棚に未整理のまま突っ込んでいる

整理整頓はしない(できないは言い訳)
 必要な書類がいつもどこにあるかわかっていない

昔ながらのアナログのシステム
 帳票類がエクセルでの管理でなく、アナログのノートと電卓

人間関係重視を偏重
 取引先との人づきあいが最優先で経費バランスは二の次

利益を生む食材原価の実態を知らない
 飲食店なのに食材原価計算もしたことがないので、日々の仕事が
 どれだけの収益活動になっているかわかっていない。
 試算表の売上高と仕入高の比率でみているだけの方が多い。


居酒屋業が悪いわけではありません。
少なくとも50年間以上続いてきた居酒屋業が、

令和の時代に大きく変わろうとしています。
そのことに気づいて、

お店を1年~2年で変化させていただきたいのです!


(了)

飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします