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たべものコンサル日記R46:複合施設は200%の集客力がないとテナントはすべて赤字経営になる!

アフターコロナやその前のウィズコロナでもそうですが、
複合施設の集客力が「単独街中店」の200%の集客力がないと、
施設側もテナント側も採算が取れないという説明です。

今後複合施設に入居を予定する人は、特に検討してください。

■全部家賃換算すると、
15%~25%のコストがかかる複合施設の入居!

家賃は交渉して15%を12%とか10%になりましたよ!という方が
おられると思います。

入居後の10数項目の店舗運営にかかる経費のうち、
確かに「歩合家賃」は、取り決めの通りの比率になります。

しかし、単独店に比べて隠れ家賃的なものが多くあります。

最低賃料保証金額の設定

多くは契約金を納付した後でないと、この条件を持ち出しません。
売上高が下がった場合でも、最低この金額を支払うという金額設定に
なります。

例えば、
月商800万円のお店で、歩合家賃比率が10%のときは、
月額家賃が80万円となります。

しかし、売上が半分になって400万円になった場合は、40万円でよいかと
いうと、そうではありません。
月商が200万円なら、破格の20万円でよいかということになります。

ですから、歩合家賃の「下限価格」を50万円と設定すると、
売上高に関係なく50万円を支払うことになります。

一時的に支払いができないで資金がない場合は、
独自のテナント用資金建て替えシステムのある施設もあります。
敷金の総額が担保範囲かと思います。
(*契約期間中の退去は追い銭を打たないと出ることはできません)

空調費

私の知っている2か所とも、売上歩合制で金額が設定されます。
1店舗は、45坪で売上が悪い時で35万円、良い時で55万円くらいでした。
まさしく、第2家賃の重さがありました。
この経費も詳しくは言いません。
請求書を見てびっくり!になります。

共益費・管理諸費

お店に関わる経費、売上に関わる経費、従業員に関わる経費、共益費
備品倉庫費、共同販促費など10項目以上がかかります。
45坪のお店の場合で、トータルで20万円以上の経費を支払いました。


■全部で売上の25%かかるなら、
一般店の250%の集客が見込めないと利益が出なくなる

  一般的に飲食店の「家賃上限額は売上高の10%以内」ということが、実務数字の上でも検証されています。

一般店の場合
 30坪  月商300万円  家賃30万円→ 家賃比率 10%

複合施設テナントの場合
 30坪  月商750万円  家賃75万円→ 家賃比率 10%

この例では、家賃比率が高い分「250%の集客力」で、
 「250%の売上力」が必要となります。
*基本的に複合施設での出店は、通し営業、完全年中無休が原則です。


■問題は、
150%以下の集客力の施設でも20%以上の施設費用を支払っているテナントは、
今後赤字撤退になると予測されることです!


<複合施設の飲食店の課題>

1,家賃を含む施設費用の高負担
  家賃負担額の下限価格、空調費などの施設側設備の償却・使用料
  が含まれます。平均的に見ても18%~20%かかっています。

2,食材費の高騰
  値上がり分はすぐにメニュー価格に反映できません。
  施設内のすべての飲食店がライバル店だからです。

3,人手不足・人件費の高騰
  短時間勤務希望者は高校生くらいです。
  しかし、学校で飲食店のアルバイトは多くは規制されています。
  大学生も、主婦の方も、生活に必要な収入が保証されないと来ません。
  
  時給1000円~1500円換算での雇用になります。
  作業のAI化、省力機器化が急がれます。

4,調理技術の低下
  最近どこでも聞くのが、調理職の社員のスキル不足です。
  生き方も考え方も違い、仕事第一主義でない人もいます。
  いても当然です。

  でも、おいいい料理を自らの手で生み出すのでなく、
  既製品に頼った味づくりをする弊害も増加しています。

5,冷凍既製品の多用
  食品売り場の弁当を見ても、揚げ物を見ても、
  既製品だらけでした。

  安くて、旨くて、価格が安い。いうことなしです。
  しかし、
  同じ味、味が濃い、輸入品、添加物がいっぱい。

  *大まかには、50%既製品、50%手作りなら、まだまし
   と言える状況です。


6,新商品開発力の低下
  既製品を多用し、既製品の調味料を多用しますので、
  「味づくり=味の組み立て方」が頭に中にない

  ことで、調理能力が落ちてきます。
  下手な調理社員よりは、主婦のパートさんの方が優れている
  場合も実に多くあります。

複合施設では、

長時間営業、年中無休のマラソン経営です!

●メニューを少なくして、調理効率を上げる

●席を2人掛け、1人掛けを多くして満席率を高める

●店内調理を最低限にして坪数を減らし売場に徹する

●施設の力にあった坪数以上は借りない


こんなところを守ると20%でも利益が捻出できると考えます。

何事も覚悟して、吟味して、勝つ目安を立てて取り掛かりましょう。
商売は、戦いです!

(了)



  

飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします