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飲食店未来学:専門店化時代の幕開け10:開業費用の2倍の年商が必要な時代

過去50年間を見ても、大まかには、10年おきに飲食店の生存ハードルは高くなってきています。

ほんの40年近く前までは、飲食店を出せば大繁盛して裕福になり、20年以上も経営すればひと財産出来た時代がありました。

このころの食材原価率は50%。消費税もなく、売価は原価の2倍で売れば充分儲かった。理由は飲食店数がずっと少なく、この辺に飲食店があると便利だよね、という需要より供給が少ない時代でした。

令和時代の今は、飲食店だけでも需要の1.2倍は飲食店があります。それに加えてコンビニやスーパー、弁当店などが食事や総菜を売っています。まさに、のんびり仕事をしていては取り残される環境です。

開業費用の回収がどこまで必要か

開業費用の50%は未回収で良い場合

半分が自己資金で、開業費用が50%未回収でも支障がない場合は特にがんばり過ぎる必要はありません。いま、客数減×客単価減の環境に変り、開業費用が全額回収できにくい飲食環境になってきています。

開業費用を全額回収する場合

開業費用が500万円なら年商目標は1,000万円。1,000万円の費用なら年商目標は2倍の2,000万円と考えて手立てを考える時代です。

この先もコストアップは続く

もはや飲食店経営は、損得抜きで「やりたい人だけやる」商売になるかもしれません。どう考えても、いろいろな面でコストアップが起こります。

●食材の高騰

生産者の減少、生産量の減少により食材コストは間違いなく上がり続けます。そして、正真正銘本物の食材は飛び切り高価な価格で売られ、ダミー食材は安価な価格~普通の価格で売られるようになります。

吉野家さんの牛丼も10年経てば大豆由来の牛肉もどき丼になるかもしれません。

今後増えるインフラの修理費用や輸送コストの上昇も加わり、食材価格は人類が生存する限り、未来永劫上がり続けます。

●人件費の高騰

最終的に飲食店はオーナーやオーナー家族で経営するお店だけになるかもしれません。連続調理も、クレームが多い接遇サービスも、働く従業員さんにとっては大変な重労働です。他の産業よりも高給を出すか、30分単位の細切れ勤務にするか、方法を考えないと、就労者はいなくなります。ですから、人件費は高騰します。

●消費税の上昇

消費税は特別の時期を除き、ほぼ5年おきに上がっています。税別価格(税込価格)の併記式にして、総額がそのまま売上ではありませんと伝えるメニューに戻す必要があります。

次は12%になり、その次は15%になります。ヨーロッパの国が先行しています。

●電気水道ガスの高騰

飲食店はこの確保をもっと真剣に考えるべきでしょう。電機は、太陽光発電と風力発電を自店で行う。水道は自前で地下水を確保する。ガスは供給がなくなれば、電気に変えたり薪に変える。

災害が起こっても何か月も元に戻らないインフラ不全も考えておく時代が近づいています。現状では、新設よりも補修費用がかさむようになります。

●銀行金利の上昇

1990年の手前頃のバブル期の銀行金利の最高値は「8%」でした。今のゼロ%がいつまでも続くとは思われません。少なくとも3%~5%になることは覚悟しておいた方が賢明と思います。

以上を総合的に考えると、やはり、売上と利益確保に励む必要があります。

FLコスト率50%の飲食店づくりをめざそう

サイゼリアさんも投資額の2倍の理想域には達していないようです。しかし、将来こうあるべきだと、しっかり考えています。

私も、投資額の2倍の年商はすぐにできなくても当面の目標とする。そしてフードコスト率30%、レイバーコスト率(人件費比率)20%に近づく工夫をするお店が、生き残ると考えています。

仕事の補償も人生の補償も、半分は自分でしくみをつくることを考えてみてください 行政を当てにした生き方は最後は不満しか残りません

この難しい世の中で最高の能力を発揮する行政官(政治家)がいると思わない方が賢明です

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