飲食企業の新業態開発は「戦術」の寄せ木細工であり明らかにうまくゆかない~私の業態開発論=飲食店の困ったを解決!相談所大分
春の日々を自由な時の流れの人生を送っています。
余分な欲をかかず、与えられた生活条件の中で、目いっぱい
精力的に楽しんでいる。
多少困ったことが起きようと、
「決して負けない。必ず勝つまでやる」と決めている。
今回は、以前より考えていた「間違った新業態開発」と感じることについて述べてみたい。
この記事は有料記事ではありません
しかし、内容的に飲食業界の人には参考になる情報です
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🍓難しい新業態づくり
飲食店の新業態、特に全国的なチェーン店を開発して成功させるためには
10年後、20年後の戦略ビジョンが描けていないと失敗する
上記の3つの業態は、新業態開発の時点で欠陥があると見ています。
🍓全国展開に必要な4つの考え方
🍌重要1:成功する難易度が高いこれから
先の全国展開をする必要があるのか
飲食店の生存条件のハードルが年々高くなってきています。
例えば現状で月間の食材原価率が30%(メニュー原価率幅20%~42%位)
のお店を作ったとしても、1年間に平均2~2.5%の食材価格の値上がりが
あると、わずか2年間で食いつぶし、次の年から慢性的赤字領域に入って
くる怖さがある。
全国展開店舗の大きな点は、
●都会感覚の街と地方感覚の街では金銭感覚も味覚志向も違っている
もう事実上、「全国画一のメニューと味」では売上が伸びない時代です。
個性化の時代であり、差別化の時代ですね。
●飲食業に人生を賭ける店長クラスの人材が枯渇している
コロナ禍の3年間で完全に排出してしまった感があります。
自分の首を切った世界に戻る人は半数以下でしょう。
たとえ確保できたとしても、
多くの百人百様の人材を一律に短期間に店長職に育成できるはずが
ありません。
難易度の高い全国展開をするだけのメリットがあるかどうかは、
その開発店舗コンセプトに「最適な場所」に1号店を出店して、
店舗の持つ価値と能力を調べる以外に方法はないと思うのです。
🍌重要2:全国展開、全国都市部限定展開、
全国地方都市以下限定展開の3つから
選択する
10日間前くらいのWEB記事で拝見したこのすかいらーくグループさんの
八郎そば1号店が、まさに実験店舗らしくて興味を引きました。
●全国展開店舗 ⇒20年先まで予測して戦略と戦術を組むべき
私が過去に一部関わったFRチェーン店の場合でも、人材育成やCK
(セントラルキチン)づくりをしながら全国展開をすると、目的達成まで
実に20年間くらいかかります。
今から先は、全国一律展開が、意思の伝達、食材や備品の物流コスト、
地元密着できないグループ規模の大きさが障害となり、
ますます難しい時代になると判断しています。
●全国都市部限定展開 ⇒10年先まで予測して展開すべき
この都市部限定のコンセプトに固めてうまくと予測しているのは、
いきなりステーキさんであり、焼肉ライクさんだと受け止めています。
東京もローカルも同じ市場であり、この業態は長く続くと判断したところに
落とし穴がありました。
いくらおしゃれで、今までにない斬新さでデビューしても、
所詮若木に合わない土壌の砂漠に咲く花。木は枯れます。
間違った判断をされている点は、
「人口の多いエリアで出店地を選ぶのではなく、飲食文化度の高いエリアに出店する」ということです。(新業態の新しさと同じ文化度の街)
街の人口はそこそこでも、出店するお店を指示する若者や女性などが、
3万人以上いれば、100席クラスのお店は十分成り立つはずです。
WEBで、チェックしても統計には、「飲食文化度」は見えませんね。
今はそうでもありませんが、
飲食文化度は、「シティーホテルの多さ」や「小型専門店の多さ」
により、およそのことは判断できます。
●全国地方都市以下限定店舗展開 ⇒こころを地方人にする
まだまだ地方都市では、東京並みの収入も文化度もありません。
東京や関東圏に住んでいる方から見ると、「地方の低さ」は見えませんが、
地方から東京を見ると、富士山のように東京が高いのがよくわかります。
「地方に適合するかどうか」が成功、不成功の分水嶺です。
●地方でセルフサービスを容認するのは低価格店のみ
例えば八郎そばさんは主力商品が2品とも税込1,000円。
価格ゾーンは単品600円(税込)~1300円(税込)までです。付属メニューを
考慮すると、平均客単価は固いところで1,100円(税込)、高くて1,180円(税込)あたりかと推測しています。
八郎そばさんが1号店を関東圏の埼玉県白岡市に出店したことに、
興味と違和感を感じます。
見るからに都会的商品構成と価格、サービスのあり方も、ローカルエリアでは馴染みにくいものが多々あると感じています。
その内容はこちらに要約しました。
このお店のこの場所での出店は、大分という田舎に住んでいる私から見ると、まさしく、土壌違いの場所に都会の若木を植えたなと思った次第。
もしかすると会社の判断は、
「深謀遠慮の作戦であり、この街で根付けば全国どこでもいけるぞ!」
なのかもしれません。
それならすばらしいことです。
でもしかし、この徹底したセルフサービスぶりはローカル立地の住民に
どこまで受け入れてもらえるでしょうか?
20年近く前にお冷のセルフサービスさえも、5年間くらいはサービスが悪い
といじられていました。
ローカルは、ワンコイン客でもホールサービスありを是としています。
まして、
トンカツや肉めしの素材ランクの説明もなく、蕎麦の説明もない。
出汁は本枯節使用とあるが、おおむねコストのかかるメイン食材は
輸入品中心だと推測できる。
この状態で、地方都市で1,000円超えの客単価が許されるでしょうか?
上手くゆけは良いのですが、とても気になります。
🍌重要3:マスコミを意識しすぎ
他社を意識しすぎ
なぜガサツに焦りまくる開発を
何社も何度も繰り返すのか
業態開発の基本戦略を考えずに戦術を戦略と取り違えている
全国展開をするのか、全国の文化度の高い都市系列を展開するのか、
全国の共通したローカル文化度の地方都市系列を展開するのか、
加えて、
全国展開の飽和年度を決めて、その年度まで通用する「戦略」を
根幹としなければ、
最新ビジネスモデルとして作り上げた新業態が、実は戦術部品の寄せ集め
だったりする。
何だか仏作って魂入れずに見える。
マスコミ受けしたいのか。
社内で称賛されたいのか。
突然脚光を浴びることを急ぐのか。
いきなりステーキさんや、焼肉ライクさん、そしてすかいらーくグループさんの3つに、同じ共通点を見てしまう。
🍌重要4:企業の想い80%、民意の想い20%
をマリアージュしてこそ成功業態だ
繁盛店になるひとつの要素は、「お得感であり満足感、充実感」
リピート要素になる原点と思う。
●お得感 いろいろある
価格が安く感じる ボリュームがある ワンランク上の美味しさ
●おもてなし 人材不足、人件費の抑制で従業員数は少なくなる方向
お店とお客様が使いやすいAI機器の開発、提供、普及
現状で私が考えるセルフサービスの上限は999円(税込)以下と思う。
●お客様が納得する1,000円超え売価の条件
・セットが安い 八郎そばさんはここは半数の商品が押さえている
・食材の品質や生産地が明確になっている
・食事ニーズに適したボリューム管理ができている
ここ数年間の新業態開発において、なぜか何十年と続けて来れたことが
突然違う迷走を始めたように見えてならない。
やはり、
将来が見通せていないから、勝てる戦略が見えていないと理解するしか
ないのだろうか?
もっと余計なことを気にせずに、本筋を考えてみよう。
今こそ真のグローバルな考えが必要であるし、
庶民の心をないがしろにした企業オンリーの戦略も、本当は成り立たない
戦術に過ぎないと気づいてほしいと願っています。
(了)
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