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2020/04/11 女王陛下のお気に入り

「女王陛下のお気に入り」を観た。友人が Twitter で感想をつぶやいていたのに触発されて。その友人に教えてもらって去年の今頃一緒にオールナイトでヨルゴス・ランティモス監督作品を三本一気見したのだが、そのとき既に観るか観るかと話していた気がする。

史実を元にしたイングランド王朝もの。アン女王の寵愛を受け、女王を意のままに操る公爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)と、謀略に長け宮廷でのし上がろうと試みる侍女アビガイル(エマ・ストーン)の争い、その狭間に位置し、心身ともに不安定な女王との関係を描いている。小説のような、演劇のような章立てがなされた構成。まず衣装が豪華絢爛すぎて眼福だった。ゴシック趣味の爆発とでも言うべきか。でも綺麗なものばかりでなく、宮廷生活とか当時の貴族階級の露悪的な部分も同時に描いていて、なおさら王室の華美な装いが強調される感じ。音楽も。。。すごい。同監督の作品は開始0秒でいきなり、手加減しない音量と盛り上がりで曲が入る気がするのだが、今回もそれは同じで、キムチを食べる手が止まった。そのままエンドロールまでキムチには手をつけずじまい。一杯やりながら観ようと思ったが甘かった。

映像はというと静と動の間の取り方が印象的で、間髪入れないセリフ回しの歯切れの良さ、突沸する感情とその後の気まずい沈黙の描写の二点はすごく演劇っぽい。特に突然の折檻とか、爆発する嫉妬の描写とか、これは「ロブスター」、「聖なる鹿殺し」でも観た効果だ...と思う箇所があった。かと思えば、不安になるほど長い間静止した女王のアップのカットがあったり。この数十秒、観客は女王の表情だけからその心情の変化を読み取らなければならないわけで、俳優としてものすごいプレッシャーだったのではないだろうか。。余談かつ勝手なイメージだがヨルゴス・ランティモス作品って出演者にかかる心身の負担が凄そう。中心的な人物はだいたい肉体的に傷つく場面があるし。

それはさておき、全体を通じてサラとアビガイルの対立が印象的で、女王は二人にとっての立身出世の道具に過ぎないのかと思いきや、やはり主人公はアン女王だったと思わされる結末だった。ある意味女王の自己実現の物語なのではないかと思うが、他の人の感想も聴いてみたいところ。

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