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特別展「佐伯祐三-自画像としての風景」 (東京ステーションギャラリー)の感想

新年最初の展示はこちらから。

セルフポートレイトから始まり、作者にとって見慣れた下落合の風景、留学中のパリの風景と作品は進んでいく。

特に印象的なのがパリの街角の風景。全体的に明度が低く、何もこんな天候の街角を描かなくても、というような風景が続くのだが、大胆に歪められた構図、歩きながら撮ったストリートスナップのような動きのある街角の風景に惹かれた。シャドーは思い切りよく黒が多用され、コントラストが強い。ただ黒一色なわけでもなく、間近で見ると塗りが豊かで絵肌の煌めきに見入ってしまう。古い建築の外壁や煉瓦積みなどに見られる重厚感は強烈な引力を放っていた。また、一時期はセザンヌの影響を受けたようで淡く幾何学的な描き方の作品もあっりと、模索の期間がわかる作品もあった。

そしてパリ時代には奔放な線を使うようにもなり、アクションペインティングに先立つこと約 40 年とは思えない自由さに突入している作品などもあり、夭折が惜しまれる。


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