見出し画像

スポーツ写真を撮る人のカメラ選び(デジタル編)3

スポーツ写真を撮影している三原充史@atsushi_38raです。私が使ってきたカメラ紹介もいよいよ4回目。これで最後となる予定です。お付き合い下さい。まずは前回迄に書いたカメラ紹介を以下にリンクしておきます。

長く使い続けたEOS-1DX

フルサイズのフラグシップカメラとしてCanonが満を持して発表したEOS-1DX。1Ds系とは違い、秒間撮影枚数も秒間12コマとスポーツ撮影に適した仕様。元々私は超望遠レンズをメインにして撮影していたのでAPS-Hのセンサーサイズによって得られる1.3倍大きく撮れるメリットを感じていたので、「発売されるんだ~」程度の気持ちだったのですが、友人から1DXの良さを聞き発売から3カ月後には手元に迎えていました。このカメラによってAF精度が格段に上がり、エクステンダーを付けての撮影での解像感もあがりました。サッカーの撮影ではスタンドから2倍のエクステンダーを使用して撮影することが増えたし、それでAFも問題なく動作していたので、2016年くらいまでは常にカメラバッグの中に入れていました。エクステンダーを使用しない際のピントに関してはほとんど文句がないものでしたし、ピントを外すということは自分がきっちりフレーミング出来ていないという事だと教わったのもこのカメラだったように思います。色に関しても、後継機のMark2よりもこちらの色の方が良い色だと思っていたので、後継機に手を出しませんでした。仕事として撮影をスタートしたこともあり、同じカメラを2台所有したのも初めてでした。それくらい信用できるカメラとして7年強メイン機材として稼働してくれました。今も2台所有していて、サブ機として常に持ち歩いている名機です。

サブ機を所有する意味

先に挙げた1DXの2台目を購入する前に1台所有したカメラがあります。それがEOS 5D Mark IIIでした。フルサイズで撮影する写真の解像感などを1DXで味わってから、全ての機材をフルサイズの機材に切り替えるため、購入しました。主に広角レンズをつけて撮影していましたので、秒間のコマ数についても困ることはなかったですし、1DXほど大きくないサイズ、静かなシャッター音が被写体に対して威圧感を与えないのも良いカメラだったと言えます。今でこそミラーレスの一眼レフでシャッター音を出さないことも可能になりましたが、この当時の自分の仕事では十分な静音性で、1DXを使わなでこちらを選択する場面があったのも確かです。仕事として撮影をする以上、どんな場面でもカメラが動かなくて撮れませんでしたということは許されません。その時に必要なのはサブ機になります。このサブ機が自分の仕事をどれだけカバーできるかを考えて選択することが必要です。予算との相談をしながら選んだことを思い出します。

超広角ズームレンズにハマる

前の記事で書いたEF24-70mm F2.8L USMは記録写真を撮影するのには適していたと思いますが、作品を撮ると考えた時に自分のスタイルに合わなくなってきて広角域のレンズを買い換えました。


EF16-35 F2.8L II USMを購入したことによって超望遠域は800mmから広角域は16mmまでの画角で撮影をすることが出来るようになりました。作品作りの中で被写体に寄ったものから、引いたものまでいろんな角度で表現することが必要だと思ったのが購入したきっかけです。超広角域はその名の通り広く写すので、余計なものが写り込まないように気に掛けることも増えました。この辺りは背景選びのセンスにも結びついてくるので、いい勉強になったレンズです。フレーミングについてもこのレンズで学んだことがかなり多いので、スポーツ撮影なのに超広角レンズが必要?と思う方にもぜひ試してもらいたいです。スポーツ写真を撮影していると大きな望遠レンズで撮影することは難しいでしょう?と聞かれることがあるのですが、私は望遠よりも広角や標準域の撮影の方が難しいと思っています。アップで撮影することで画面を整理することが容易なので、比較的背景を整理せずに撮影出来ます。

その後、こちらのEF16-35mm F4L IS USMに買い換えました。これは以前のレンズよりもレンズ設計が新しく、解像度が高く良いレンズです。今はEF16-35 F2.8L III USM が出ていますが、レンズのサイズ感や重量も含めてこちらを使うことにしています。

標準域は単焦点レンズで

EF24-70mm F2.8 L USMを売却したことで失った標準域をカバーするため、購入したのがEF50mm F1.4 USMです。

小さなレンズで、先にお話ししたEOS 5D Mark III とこのレンズの組み合わせは持ち歩くことで疲れない!これが一番。どうしても大きいレンズに大きいカメラで機動力を削がれる中で、持ち歩きやすさは大事です。このレンズでズームに頼らない被写体との距離の取り方を学んだ気がします。自分が最初にこの位置と思ったところから一歩二歩前に出て撮ることでより被写体との間の空気感を表現できるようになりました。その後、もう1本買い足した単焦点レンズがEF135mm F2L USMです。

このレンズを手にしてから、中望遠の大事さを痛感しました。発売からかなり時間も経過しており、SIGMAのArtシリーズでも135mmのレンズが発売されていますが、独特のボケかたが好きでこのレンズを愛用しています。スポーツシーンで被写体との距離を詰められない状況は結構あります。だからこそ超望遠のレンズを多用してシーンを狙うのですが、広いスタジアムの空気感と適度な距離感で被写体に向き合えるレンズが中望遠域のレンズでした。仕事の現場でこのレンズを使っている人はあまり見かけませんが、人とは少し違うレンズを使ってみることで思わぬ発見や写真に出会えるチャンスがあります。そのようなレンズに出会えると写真がより楽しくなってきます。

最新カメラでこれからのスポーツシーンに向き合う

EOS-1D X Mark III が今年2月に発売になりました。オリンピックが開催される年にはフラグシップのカメラが発売されてきましたが、私も最後の一眼レフカメラという覚悟でこのカメラを購入しました。秒間20コマ、ライブビューモードでのAF追従などを盛り込んだ製品スペックは、発表された時から楽しみでした。SONYのα9を筆頭にミラーレス一眼レフがシェアを伸ばす中での発売ということもあり、求められてるハードルの高さを感じる状況でしたが、そのスペックは私にとっては十分なものだと思いました。初めて発売前に予約して購入したカメラになりました。今はスポーツイベントも新型コロナウイルスの影響で延期や中止となっていますが、再開された暁にはこのカメラをメインに今まで撮影できなかったような写真に出会えるのではと楽しみにしています。

最後に

長々とお付き合いいただきありがとうございます。デジタル編だけでも3つに分ける形となりましたが、それだけ多くの機材を使って撮影してきたのだと思うと、それぞれの機材に感謝です。本格的に仕事で撮影させていただくようになり5年近くの年月が経ちました。決して写真が上手かった訳でもないし、自分が撮影する写真の特徴はなんなのか?と迷うことも多くありますが、使ってきたカメラやレンズが自分の写真を育ててくれたと思っています。撮影していてこんな風に撮影したいと思った気持ちを大事にして、それに見合うカメラやレンズを使うことが写真を成長させるし、何より楽しむことにつながります。この記事を読んだ方々がこれからの写真ライフも楽しみながら過ごせることを願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?